第38話

それを聞いた遥は、思わず飲んでいたジュースをこぼしそうになった。その反応を見て、友人はさらに質問を続ける。

「で、ホントのところどうなのさ?」

「えっと...」

ニヤついた表情の友人に、遥は返答に困った。本当のことを話すわけにもいかない。しかし、友人達に嘘はつきたくない。―――良心の板挟みになった結果、彼女はなるべく核心に迫らないよう、話をもっていくよう試みることにした。

「えっと、付き合うとかそういう関係じゃないの。ただ...」

「ただ?」

友人達はみな耳を澄ませ、遥の言葉を待つ。彼女たちの真剣な表情に、遥は思わず小声になった。

「一緒に住んでるだけで...」

「はぁ!?」

バンっというテーブルを叩く音と友人の形相に、周囲の視線が集まった。両隣の友人が、彼女を落ち着かせようと必死になだめる。その光景に、遥は完全に委縮してしまった。

「ど、どうしたの?朱音(あかね)ちゃん」

「ちょっと遥、その話、詳しく聞かせなさ―――」

「オレにも聞かせてくれないかな」


遥たちが振り返った背後には、不良な格好をした少年達が立っていた。

「...痛い目に遭いたくなきゃ、大人しくついてきてもらおうか」


***


「ちょっと、アンタたち何するつもり!?離しなさいよ!」

遥たち4人は、公園の木の根元で拘束されていた。理由も分からず連れてこられ、彼女たちは戸惑うばかりであった。また、眼前にいる彼らは、同じ学校の生徒でもあったため、より一層事の不可解さを増した。先生も手を焼くほどの問題児たち。それが一体、何故自分たちをターゲットにしたのだろう。彼女たちは、全く身に覚えがなく、ただ恐怖を募らせる。

「勘違いするな。あくまでもお前らは人質だ」

少年は訳のわからないことを言っている。すると、黒髪の少年が近づいてきた。

「え―――」

遥は、彼を一目見て驚愕した。少年は、そんな彼女の反応にも無表情で、こう口を開く。

「銀髪のあいつを呼べ。仲間が酷い目に遭わされたくなきゃな」

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