第4話
「明日先生にチクるからね!!」
「ホント、男子ってサイテー!!」
少女達は走り去った少年達に大声で言い立てると、こちらに向き直した。その顔はまるで口喧嘩をしていた時とは別人のような笑顔だった。
「ありがとう。ところで...ここに猫がいなかった?」
微苦笑した彼は、話題を変えようと少女達に尋ねる。
「うん、白くて可愛い猫がいたよ。でも、私たちが来たら逃げちゃったんだ。あの猫、お兄さんの?」
「ううん、違うよ」
そうなんだーと、少女達は言った。そして青年が無事だと分かると、彼女達はお大事にと手を振り、どこかに行ってしまった。
少年少女が去っていったあと、彼は一人ため息をついた。
『結局、あの猫は一体何だったんだろう...』
昨夜、確かに一緒にいたはずの真っ白な猫。ここまで導いてくれたのは、単なる偶然だったのだろうか。
ひとまず彼は、現在自分の置かれている状況を再確認した。夜が明けたからには、いつまでもこうしている訳にはいかない。早く、行かなければ。でも...何処へ?
「あ、あの...」
彼が悩んでいると、前方から聞き覚えのある声がした。―――彼を心配そうに見守っていた、亜麻色の髪の少女だ。彼はフードを深く被り、返事をした。
「...僕に何か用?」
彼女はそのどこか冷やかな返事と声のトーンに、肩をびくりと強張らせた。それでも懸命に言葉を紡ぎ、彼女は話す。
「えっと、もし...もしよかったら、私の家に来ませんか?」
「...え?」
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