第7話 7月7日
仕事の方も慣れて来たし、彼女は誰よりも可愛いし、順風満帆じゃん そう今の自分は、彼女のおかげで作られた物だなと、改めてそう思った。そう言えばそろそろ彼女の誕生日7月7日、七夕だ。何買ったら喜ぶかなぁ?やっぱ花束でしょ そうだ、花束にしよう。いやまてよ、花束もいいけど、もっと心のこもった物があるじゃないか、そうだ、今日花束にしよう。そう思い、知人がやってる花屋へ行った。ベルベットローズをあしらった薔薇の花束を下さい そう言って1万円渡した。その日、車の中に花束を入れて彼女の家まで行った。どうしたの いや、君にと思ってさ、ついつい買っちゃった ありがとう 彼女は、花束を胸に抱きかかえて、少し笑っていた。彼女は黒のロングスカートに、黒のシャツを着て僕を待っていた。僕は、父親に借りた車の中で始めてオリジナルを歌った。 三日月と砂浜と海と君を 今日は彼女の誕生日、夜空の星達は僕と彼女を今日の日を心から歓迎してくれてる。そして今夜、告白しなきゃいけない。 結婚しよう 彼女にそう言ってみた。すると彼女は、私まだ離婚したばかりだし、あの子、あなたの子になるのよ 構わないさ、だってこの出会いは、まさに運命的だよ、まるで織姫と彦星みたいじゃないか でも 沈黙がまるで永遠の命を与えたかの様に長く黙っていた。 いつもとは違う。今夜を逃したらもうチャンスが来ない様な気がした。今夜は、寝ないでずっと車でぶらぶらしようよ 僕は彼女にそう言ったが、彼女は、明日仕事だし子供の事も心配だし 何故だろう今夜を逃すと、未来がもう来ないんじゃないかと思えた。それと同時に何だか無性に怒りに満ち溢れ、別の人格の僕が現れた。気がついたらエンジンが掛かっていた。ライトを付けて、思いっきりアクセルを踏んだ。キャ、キャ、キャ、キャーッ物凄い音をたて車が走り出した。何もかもが邪魔に思えて、車をブッ飛ばした。彼女は、キャー と言い始めた。そしてそのうち大声で泣き始めた。僕はもう僕じゃなくなっている。いつもちょくちょく出て来る嫉妬の神だ彼女は泣き叫んでる。その彼女が急に男達にいつも姦淫されてる精神的売女だ、と思えてならなかった。僕に出会うまで何人の男と寝たのか?僕はただの中継ぎで、本命は、フコク生命の男じゃないのか? 殺してやる 絶対に許さない 僕は気づいたら彼女の首を両手で力強く締めていた。死んでいた。もう息をしなくなっていた。恋は盲目、誰もが恋をすると回りが見えなくなる物、愛じゃなかったのか?あの日々は、嘘っぱちのでっち上げの日々か?彼女は、金やSEXをしないだけの精神的売女だった。くそっ! とんだ勘違いをしたもんだ。数時間後、僕は死んだ彼女を乗せたまま、警察署に行った。朝なのに、蝉がじーじー鳴いていた。 END
7月7日 J.F.K @docomo96
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