第3話 古代の悪(トレイター)との邂逅

朝起きると、ヤンキー犬は筋トレをしていた。

「…いやなんで筋トレ?」

「己を鍛えることは、真のヤンキーへの第一歩だ…」

おそらくあのヤンキー漫画だろう

あの漫画はクソダサい名言や、人を間違った道へ進ませることで有名なクソみたいな漫画である。

実際ヤンキーあいつも変な道を進んでしまっている。

はぁ、とため息をつき、俺は一階へ向かう


顔を洗い、朝食のシリアルを食べ終え、歯磨きをして自分の部屋へ戻る。

「なぁ、今日なにする?」

「…知らん」

どうやら今日も暇になりそうだ

そしてこれはフラグになりそうだ


そして1時間後、フラグは回収された。


「ゴガァァァァ」

「……イャァーーーアァァァ!!?」

優太は奇声を発した

だがそれも仕方がないだろう


床から茄子紺色(濃い紫っぽい色)の円柱の上に半球をあわせたような形の、(ついでにそこから手が生えている)バケモノが現れたのだから


おそらくこいつがトレイターだろう

足がすくむ

手が動かない

怖い、やばいどうしよう…!

トレイターの手が近づいてくる

「くそっ、ここまでか…!」

トレイターの手が俺の目の前まで来たその瞬間―


「おぉ、それかっこいいな」


バゴッ


筋肉ムキムキになった手がトレイターの手を殴る

決して幻ではない

「…っ!本ッ当にお前なんでもありかよ…」

「でもありがとう、助かった」

俺は素直に感謝を伝える

まさか犬に命を救われる時が来るなんて思ってもみなかったな

「…で、こいつトレイターだろ?どうやって倒すんだ?」

「とにかく殴ったり斬ったりしてダメージを与えれば死ぬ」

そうか、じゃあよろしく―と、言おうとしたとき

「てことでお前が倒してみろ」

「……は?」

ヤンキーこの犬は頭がおかしいのだろうか

今まで戦ったこともないやつが倒せるわけ無いだろ

―ん?ちょっと待てよ?―

優太は前、兄が何かあったとき用においてあった剣が押し入れにあったことを思い出した。

―あれなら、もしかすると…!―

倒せるかもしれない

そう思った優太は

「少しの間頼む!!」

そう言い残して押し入れにダッシュした



_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _




「んっと……あっ!あった!!」

押し入れで剣を見つけた

それを持ってヤンキー犬のところへ戻る

「待たせた!!」

「よし、かませぇ!!」

俺が剣に力を込めると―剣が燃えた

「えっ…?」

「おぉ!それは【火の剣】だ!!」

いやなんだよそれ、てか剣に火が付いてるけど家に燃え移ったらどうすんだよ


俺はそんな思いを断ち斬るように剣を振り下ろした

「はぁぁぁっっ!!」

ザシュッ

火を纏った剣はトレイターの頭から胴までを真っ二つにした。

「ガァァァァ」

シュウゥ

という効果音と共にトレイターは消え去った。

「フッ、初めてにしてはなかなかの出来だな」

「ハァ…ハァ、そりゃどうも…?」


それから部屋に戻り、あの剣のことについて聞いた。

「…あの剣は【異能剣】といってな、人に眠る異能の力を引き出す剣なんだ」

人によっては異能の力を持っていない人もいるそうだが…俺は運が良かったらしい

「てことで今日からお前も【悪滅団】の仲間入りだな!」

「…は?なんそれ?」

【悪滅団】とは、どうやらトレイターを討伐する団体(非公認)らしい

これまでにも人の命を何度も救っているらしい

「…わかったよ」

せっかく異能の力を持っているのに使わないのは宝の持ち腐れだろう

俺は今日、悪滅団に入ることを決めた




翌日


「……は?」

俺の隣においてあったはずの異能剣が2つに分かれていた

…つまり

剣が折れていた



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