〜Ⅲ-Ⅲ〜情報

ワープした先。

ユーリスの目に見えたのは、『近代未来』を形容したような巨大な国。

感想を述べるなら、この国とは友好を結ぶのが得策、という感じか。

国の入り口に向かい、ユーリスは歩き出す。

途中すれ違う人々は皆立派な服装をしていて、ユーリスから見れば誰もが国の重鎮となる人物がするようなイメージだった。


「…俺、何か場違いな感じしない?」

『…まぁ…正直に述べるなら直ぐに他国の人物、と認識されるだろうな』


Blanの感想に少しばかりメンタルにダメージを受けるが、気を取り直し入国チェックを受ける人々の列に並ぶ。


「…それにしても、この国、何もかも発展し過ぎじゃない?」

『最先端の科学技術、とエデン王が言っていた意味がわかるな』


入国チェックの順番が回って来て、ユーリスは『楽園』で述べた事をまた伝える。

すんなり入国を許され、キョロキョロと辺りを観察しつつ、この国の王が居るであろう場所を探す。

やはり城に居るだろうか、と国の中央にそびえ立つ城に向かおうと歩みを進めると、前方に人集りがあるのを認識する。


「…凄い人いっぱい…何かあったのかな?」

『行ってみないとわからないな』


Blanと共に人集りに向かい、密集する人々をかき分けて進むと、ユーリスの目に見えたのは、アルビノの、見た目はエデンに少し似ているが何処か女性寄りな顔立ちの美丈夫。

ユーリスより若いか、判別はし難い。

その美丈夫が、ユーリスに視線を向けた。


「貴殿は、『紫蛸の国』のユーリス王かな?」

「あ、はい…貴方は…」

「俺はレオラルドという。この国を統治している者だ」


レオラルド、と名乗った美丈夫は、気を利かせてくれたのかユーリス達を城の方へ案内する。

レオラルドに付いて行きつつ、回りに視線を配る。

すれ違う誰も彼もがレオラルドを見るなり恭しく頭を下げる。

若干居心地の悪さを覚えながらひたすらレオラルドを追うと、一つの部屋に通された。


―――――


その部屋には数々のモニターがあり、オペレーターが忙しなく仕事をこなしているのがうかがえる。

ユーリスが部屋の中を観察していると、レオラルドから声がかけられる。


「何か、俺に聞きたい事があると見受けるが、話してくれるかな?」

「えっ?あ、はい」


思わず素っ頓狂な声を出して恥ずかしい思いをしながら、ユーリスはレオラルドに今までの経緯を説明した。


「『赤い悪魔』か…思い当たる場所、というなら…『冥府谷』かな」

「『冥府谷』?」


聞き慣れない言葉に、ユーリスは思わず問い返す。


「『冥府谷』は殆ど人々が近寄らない。何も無い、荒廃した場所だ」

「………荒廃した場所、」

「よって、『悪魔』が好む場所として『冥府谷』と呼ばれるようになった」

「!」


レオラルドの言葉に、ユーリスは目を見開く。

可能性が、かなり高くなる。

そんな予感がユーリスには感じ取れた。


「知りたい情報は、手に入ったかな?」

「はい、ありがとうございますレオラルド王」


ユーリスは感謝の気持ちをレオラルドに告げ、また人気の無い場所を探してBlanに頼む。


「Blan、『冥府谷』に行きたい」

『わかった』


そうしてまた、ユーリスはBlanとワープする。

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