第5話 ミツルとお母さん真凜
「私って、人を好きになるって、正直よくわからないの。昔から一人でいることが多かったし、人と触れ合うことも少なかったから、どう向き合えばいいのか全然わからない。自分がどう思っているのか、どう感じているのか、まったくわからないままで、意識して考えたこともなかった。でも、真凜だけは別で、最初からすごく特別だった。一緒にいると心地よくて、とてもどきどきして、『好き』だって実感したんだ。ほんとに真凜だけが特別で、女の人が好きって感じじゃなかった。他の人には、男の人に対しての親愛みたいな感情はあるけれど、それはお父さんみたいな人に対するものだし、同じ年頃の人にはあまり意識が向かなかった」
なるほどね……
「おかしいかな、私?」
美鶴の場合、育ってきた環境が特殊だから、自分の気持ちに向き合うのが難しいかもしれないね。でも、これからの経験を通じて、自分が何を望んでいるのか、どう感じているのかが見えてくるかもしれないよ
「そうかな……」
うん、きっとそうだよ。だから、これからの人生の中で、自分が本当に望むことを見つけていけると思うよ
「でも、それでも私は真凜から離れたくない」
それは気にしなくてもいいよ。私は美鶴の力になることはできるけれど、それ以外のことはサポートできないからね。わたしはあなたが自分の幸せを見つけるための手助けができればって思っているんだ
「そんなことしなくてもいい」
美鶴が自分の幸せを見つけることが、私の願いでもあるんだよ
「私の幸せは真凜とずっと一緒にいることだよ?」
それは嬉しいけれど、私が剣である以上、止まった時間の中で変わらずにいるしかないから、あなたが成長していく中で、他の形の幸せを見つけられるようになってほしいんだ
「そんなこと言わないでよ。真凜がいないと、私は……」
いつまでも私に頼ってたらだめだって。もし私が消えてしまってもいいように、今からしっかりと自分の未来を考えてほしいの
「そんなこと考えたくもない」
それは理解しているけれど、少しずつ努力してほしいんだ。私の存在がその一部になればいいと思っているから
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