第5話 ミツルとお母さん真凜

「私って、人を好きになるって、正直よくわからないの。昔から一人でいることが多かったし、人と触れ合うことも少なかったから、どう向き合えばいいのか全然わからない。自分がどう思っているのか、どう感じているのか、まったくわからないままで、意識して考えたこともなかった。でも、真凜だけは別で、最初からすごく特別だった。一緒にいると心地よくて、とてもどきどきして、『好き』だって実感したんだ。ほんとに真凜だけが特別で、女の人が好きって感じじゃなかった。他の人には、男の人に対しての親愛みたいな感情はあるけれど、それはお父さんみたいな人に対するものだし、同じ年頃の人にはあまり意識が向かなかった」



「おかしいかな、私?」



「そうかな……」



「でも、それでも私は真凜から離れたくない」



「そんなことしなくてもいい」



「私の幸せは真凜とずっと一緒にいることだよ?」



「そんなこと言わないでよ。真凜がいないと、私は……」



「そんなこと考えたくもない」


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