第3話 水面下

そうして私達は夏休み明けから秋休みまでの間、仲を深めていった。

クラス一の美男子の話や、マイナーなバンドの話、アニメの話、

それからゲームセンターでプリクラを撮ったり。

いたって普通の高校一年生をやった。

楽しくも、なんとなく駆け抜けていく日々。

なんてことない幸せなjk生活。

それは秋休みに入る少し前のこと。

彼女は突然語りだした。


_さくちゃんね、私早く死にたいって思ってるの。

 ずっと死にたいと思ってるの。

 だけど死ぬのって怖いじゃない。

 だから生きているだけなの。

 死ねないだけで生きているの。


私は内心傷ついた。死ねないだけで生きているのなら、

私と過ごすこの日々は彼女にとって一体何なのだろうか。

よく笑い、ホラー映画で眠れないと夜中に電話してくる

彼女からは想像もつかない、死を渇望しているような。

そんな言葉の数々。

そんなことを言いながらも、彼女は静かに微笑んでいた。

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そして蛾は落ちる 浅瀬 凛 @sakura-60003

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