人間の価値観
シン君昨日は本当に大変でしたね。という言葉をかける女性に、セっちゃんの凄さよく分かったよ。メチャクチャ身体が柔らかいし。と素直に賞賛するのは主人公。
昨日の感情はどこへやら愛称で読んでる時点で、ホテルから出てきた時点で察するには充分。
今もつぶれたカエルの様に伸びているであろうモブとは、比べるのも失礼な程の強靭さを見せつけたのはヒロイン。
まぁ、コンナシーンの前など撮ってる訳ないのだから説明だけで済まされる。
二人もとい一神一人が今から目指すのは進矢が持つ領地。
それは女神が恋した幻想郷。
人としての時間を楽しめたのは……キットここを去るまでで有っただろう。
無論、管理する能力は欠落していたため、雇い主たる
昔ほど笑顔を見せなくなっていたから心配していた事もあり……その元凶は親友の嫉妬を知らずに笑う。
まぁ、同性との話は今不要であろう。
肩に手を置こうとしたら払われる。
腰に手を回そうとしても払われる。
それ程に人の意思を現人神は嫌う。
「セっちゃん。本当に帰らなくていいの?一応連絡くらいはした方が、つーか俺も父お……じゃなくて遺伝子提供するんだからイビルディア帝国に顔くらいだした方が良くない?」
何故か先程払われた行為を促され、狭い肩には太い指が、細い腰には太い腕が応える。
男女の差よりも、人と神の差は圧倒的。
故に下の意思が介在する事など許されない。
事実、何も悪い事してない。といわんばかりに女神は涼しい顔。
「えっシン君は
惚れた女性に、貴方の近くにいたい。と言われて嬉しくない雄はいないであろう。
すこぶる引っかかる部分はあるが……
逆にセレナは、最強の雄が持っていてはならない価値観にどうしても引っかかる。
馬車の中で揺られるは二つの影。
ここで進矢は早速セレナと価値観のすりあわせを始める。
ハッキリ言えば平行線にも程がある故。
「セっちゃん、彼女や妻になってもらう相手に男は金を出させたくないんだ……だから分かるよね?あんな面倒な手続き!さっきのホテルが最期だからな。」
本当に好きな相手が財布を開く瞬間が……惚れた相手に献身できない事を残念がらない男はいないであろう。
何よりも相手にとって、女にとって都合がいい条件……普通なら首を喜んで縦に振るだろう。
もしセレナが人間ならば……というありえない前提条件を必要とするが
「いえいえ、あくまでもシン君は
普通と違う扱いをされ、それを常識と教えられてきた彼女には、そもそも理解できないのだ。
好んだ相手とはいえ、所詮は人間。だから対等な関係になる事はできない。と……故に取り付く島が無い。
世間より自分だけに合わせて欲しい。と願うのは傲慢か。と自分に問うは現人神。
授かりの儀ですら、性欲に溺れている時ですら女神としての矜恃を捨てないセレナ。
進矢は時間をかけてゆっくりとすりあわせを……否自分に合わせる様に教育しようと思っていた。
そこには雄の傲慢さが滲み出ており。
好みじゃない銀色の髪をいつか好みな色である黒に染めさせうと……それくらいはすぐにヤッてくれないかな、と彼は不遜に構えていた。
馬車が揺れる。
それに合わせて話したい内容を作り出す。
セっちゃん食べ物の事だけど、ウチの領地はいい牛を育っていてね。という発言には
「
宗教状の解答が即座に返される。
何で頂点がコンナに縛られてんだ。という言葉には……女性に産まれたからが全て。
事実男神には何一つ束縛は無い!強いて言えば自国の女を抱け。という世間体だけであろう。
我慢と修練にうちこんだ女神を待っていたのは、父が起こした大ポカの尻拭い……さえもイビルディア帝国を支えし英傑達によって終わっていた。
聖帝とセレナの性別が逆だったら……治世からは多様性が消えていたであろう。とは未来の談。
即ちイビルディア帝国の勝利、完全なる統一のジツゲン。
逆を言えばそこまで言われる逸材ですら女に産まれた瞬間、徹底的に政治から遠ざけられた。……いや父の失敗が凄すぎて男であっても同じように遠ざけられただろうが。
ただ傑物は燻らされる状況と、いつ殺さてもモンクが言えない現状に不満を思っていた。
この程度でどこが傑物だ。という意見には、強すぎる性欲も男なら長所だろう。と返す。
もし証拠があるだけで、一万二千六百六十人と性行為をした男がいたら……スゲーナこの
この旧文明に刻まれ、嘘だな。と破棄されたリザルトを女がやっていたら……君はどう思うかな?
男女平等という概念の遠さを感じるはず。
そんな古い時代の与太話は不要だろ。という演者からのツッコミもあり物語は先へ。
「そうだ!あと俺の領地は温泉が自慢で……」
温泉!そこで授かりの儀をたくさんヤりたいです!という叫びが女神の口から。
返答の早さが意思の強さと純真さを表す事など言うに及ばず。
おっ、とんでもなく好感触。と進矢は素直に喜ぶ。
今この段階で二人もとい、一神と一人の間で唯一にして絶対に動かない境界線。
それは子供が欲しいという事だけである。
手段と目的が入れ替わる事を馬鹿にする人間ですら、当たり前の様にそちら側へ持っていかれる行為こそが……まぁした事無い人意外は分かるでしょ?
「一度見てもらえたら……フフン絶対気にいるだろうけど。いや間違いないね。」
進矢の自信は過信にあらず、何故なら東亜皇国の政を司る五摂家が取り合い……その勝者から
十歳の時に自分で勝ち取った場所……故に絶景だという自負が、贔屓目ありで世間知らずな彼にはあった。
「ほえ〜、凄い自信ですね。でも
太い腕に抱き寄せられれば、強い力を感じとればそこからの言葉は続かない……はずなのに
人が獣と同じ様な反応を示す以上、神ですら逃れられぬのが摂理……ではないのか!
あぁ、この目の色だけは本当に嫌いだな。と女神に、さぁ心の準備も出来ましたし今なら来ていいですよ。と言われた彼は改めて思う。
好きな相手と食べる格安チェーン店のイタリアンと、どうでもいい相手と食べる予約必須ドレスコードありのイタリアン。
どちらが良いかなど……聞く必要もないであろう?
第一子たる長女の誕生日から、下衆共がこの辺だろうなと……歴史家がこの時期であろうと判断するは次の舞台。
そんな縁起の良さにあやかろうと神の湯は子宝祈願として後世で語りつがれる事……は無かった。
神話を知れば知るほど……隣にいる異性が、パッとしていない事に気付かされ……別れが多発。
それは比べるという行為の愚かしさ。
乱世が誇る一番星の全盛期をいつでも映像として見れるせいで、圧倒的な雄の性能によってベンチマークを狂わされるは女。
肖像画を見て、何だこのデカイのは。と嘆息した後着ていたドレスを見て、何で腰回りだけホッソイんだ。と想像という悪意が作り出した雌の色香によってベンチマークを破壊されるのは男。
人の分際で神と比べるのは……時代の流れが伝説を薄めたからであろう。
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