女神の執着
抱きたい。と思った女がトンデモナイ化物だった事もあり、進矢はモンモンとした気持ちで夜の町を寂しく歩く。
頭二つは周囲よりデカい上背、男性ホルモンの蓋がガバガバに開いているとしか思えない太い腕と厚い胸板。
コンナのが生活圏内を歩いていれば、どんな観察眼や記憶力が鈍い馬鹿ですら……スゲーのがいるな。と口から正直に漏らし脳髄に刻む。
「すっごくタイプなんですけど、今から時間あったりします?お金はコチラが出しますし、せめてお茶だけでも……無理ですか?」
そんな中一人の女が進矢に近づいてくる。
目の色が好きな色だった事もあり、進矢は笑う。
ええ本当に不思議なモノで、ある一定基準を越えたガタイの雄は職業や経歴の採点が重要視されなくなるのです。
規格外の身体ってだけで、好感度をカンスト状態に持って行かれる異性がいてしまうのです。
故に強き雄は、雇い主から高い報酬を貰っているにも関わらず、割り勘という言葉を知っていても未経験。
とりあえず相手の方から我慢できずに飛び込んできた以上……異性の値踏みをするのは男の性か。
(あのクソ異常者!俺の女に対するベンチマークを破壊しやがって!!!)
目の前にいる異性は、顔と髪は彼が東に多い人種が好きな事もあり……いいや合格点超えだろ。と高評価。
「えっ?進矢って名前なんですか?変とか合ってないとか失礼な事は思っていないですよ。ただ髪の色的に、体格的に外国人かと思っていましたから……えっ、しかも年下なの。ジュルリ!」
年齢を四つもサバを読んだかいもあり、進矢は女の興味を引くことに大大大成功。……ココ時代が時代なら捕まるだろうな。
声も可愛らしく、今出しているモノと違う音が聞きたい。と思わされる程のため……評価に加点。
おい!さっきから女の事凄く褒めてるじゃん。全然ベンチマーク破壊されてないじゃん。と天の視点では心中すら見えるだろうが……名無しのモブな時点で彼女の役割は察して欲しい。
俺はガザールの巨人に、親父が認知してくれなかったせいで外国人の男が大嫌い!と進矢は酷い産まれのせいか……そこそこ価値観が歪んでいた。
そんな強き理想たる雄との縁を、性欲に狂う女神は手繰り寄せる。
デカイ図体がスパイや諜報に向かない理由は、ただ純粋に目立つから……それ故に目撃情報は痕跡へと変わっていた。
天のはからい……もとい嫌がらせ等知らず異性間の意見が一つの店で合致。
喫茶店の椅子に座る際、遅れて追従する部位。
揺れる胸に目線をとられるは、強弱優劣問わず平等に与えられた男の性。
メニュー票に目線を持って行かれたせいで……どれだけ反応速度や反射神経が優れていようが見えないモノには対象できないのだから……その隙に捕食者はつけ込む。
コレが飲みたいんだけど。と慣れている進矢のおねだりには……もう遠慮しなくていいよ。と狙ったとおりの解答。
だからこそギバーに対して、テイカーは一番高いデザートを要望。
凄く大きいみたいだし一緒に食べようね。という真摯な視線に、エエっマジで嫌だ。と思いながらも……そうだね。とつれない一言。
二人の目線が結ばれない理由は、進矢が目の前に座る女の胸しか見ていないからである。
(どうしよう。全然貧相なサイズじゃないはずなのに……さっきのイビルディア人が規格外だったせいで物足りなく思えるよ。体型もしっかりしてるのに……ヤバイ脳裏によぎる相手が悪すぎる。)
そんな主人公の心などモブは知らないせいか……イケる。と判断し、異性故に後々を期待した。
「
最強の雄に異常な執着を見せる
先に席まで持ってこられたのは二人分のコーヒー。
眠くならないようにするため。という先の布石等、飲み物選びで誘導された鈍い性は知らない。
意中の雄がアルコールを飲みたそうにしていたが、逆ナン故の引け目から過量を止められない可能性に対処したのは鋭い性。
乾杯の時でさえ究極の動体視力は見逃さない。
それなりに揺れているはずなのに……あの圧倒的なサイズが頭をよぎる!脱がして揉んでから離れれば良かった。相手もソレを望んでいたし……と下劣極まりない後悔が彼の脳内で頭をもたげ始める。
アッチの方が良かったな。と口から漏れ出た言葉を、飲み物の事だと誤認するのは脇役。
逃した魚は大きく、手をつけなかった据え膳は美味そうに……どこまでも後悔は虚像となり膨らんでいく。
進矢君ウルトラスーパージャンボパフェきたよ。という、どうでも良くなったモブの言葉にも性欲から食欲の方へ視線が向くは空腹な生物の性。
「はいあ~ん。」
その時、幻影と思われる存在が見えてしまった。……この瞬間、モブの役割は手を動かし口を動かすだけへと成り下がった。
「美味しい?」
カウンターで持ち帰り様のドリンクを受け取る姿は現実。……もはや噛ませ犬は最後の役割がために映っているだけである。
怒りに震える女神は、狙った雄に擦り寄せる雌豚に恥をかかせるために歩を進める。
それはとても美しく、修練を感じさせないモノだった。めちゃくちゃな努力をしているにも関わらず
もう自分が選ばれている事など、パフェが予想より美味かったせいで、雛鳥の様にモブへ催促する進矢を見て……理解しろという方が無理であろう。
だからこさ、持ち帰り用容器のフタが悪意によって開かれる。
この時点で主役は次の行動がよめた事もあり、流石にそこまではしないよな?と思いながらも……ヒロインのエゲツない表情を見て少し腰を浮かす。
まぁ、絶対にしますけどね。股では無く頭を濡らす方が雌豚にはお似合いですよ。と言わんばかりに……後者の方は口にしながらモブの頭上で、中身満タンの飲料容器は傾けられた。
「ねぇ、ずっと私ばかりだし……進矢君も一度くらいしてくれないかな?」
画面外から聞こえる可愛らしい猫なで声と、へ〜シンヤって名前だったのですね。これからもよろしくねシン君。と中央を陣取るは冷たい声。
その少し前に強靭な筋繊維が爆発し、圧倒的な反応速度が純然と通う神経回路が屈強な五体を使いこなす……他人はそれを抜群な運動神経と評す。
圧倒的な膂力が、セレナの手を抑えることで傾きはを押さえられ……当然中身は溢れない。
えっ!何この女?何でこんな事しようとしているの?という画面外からの音に、ヒロインは隣の席から椅子を拝借。
えっ、今パパがトイレにいっているんだけど。という、あっ活動しているなコイツと思わすアバズレの言葉は……残念ながら自己中な女神様には届かない。
勝負所を見抜くは天性の強者故か……主人公のの隣にソレを置き堂々と座る。と同時に腕を絡ませ、自信の源たる馬鹿でかい両胸を押し付けた。
肥大化した幻影は、想像以上の柔らかさをまとう実物。
そこで向けられる目の色が進矢は嫌いだった。
「ハッ!いやそんなの聞いてないんだけど!女はいないって言ったよね。女子の心を傷つけるなんて!進矢君これは流石に許されないよね。責任をとらないとね!」
となるのは貧弱で足りない男の浅い想像。
当然こんなセリフは収録されない。
実際、優秀な雄が別の相手を連れていた時に責められるは……競争相手たる雌である事等言うまでもない。
ちなみに不思議な事に女が浮気した時は、競争相手をなじらず異性の不貞を責める……自分より強い雄に、世間体を後ろ盾に喧嘩を売れる雄は……そもそも浮気されないであろうが。
「外国では愛し合う二人の楽しい時間を過ごしている時に……邪魔をするのがマナーなんですか?早い者勝ちという真理も知らないのですか?頭イカれてますね!とにかくさっさと離れてくれませんか?進矢君は私が世話しますので!その無駄な脂肪の塊をさっさと離せ!!これみよがしに揺らして見せるな!!!どうせ頭に栄養いってないから脳はスカスカでしょ。」
アドリブによって、自らの才で再び顔が映るようにした女の顔は猛っていた。
どんな職種だろうが、目標に届くかは分からないが小さな積み重ねは光輝く。
「フフフ、面白いですね。
ヘラヘラ笑うヒロインの隣で、パフェを食い終わるのは主人公。
美味しかった?という言葉と、不思議そうに?な表情を浮かべた後に、再び二人は大舌戦。
愛し合う二人や授かりの儀とかいう訳わからん言葉を聞いたこともあり……何よりも修羅場か?と言い出す世間の目が気になり始めた。
「なぁ、二人ともここじゃ邪魔だし。別の場所に行かない?」
女二人はヒートアップしている事もあり、互いの罵倒以外耳に入らない。
進矢の、どこでもいいよ。という言葉が二人にとってはカクテルパーティー効果。
ん?どこでもいい?とエゲツない量の性欲がキャットファイトを終わらせる。
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