いきなりの抜擢

「え〜、コホン! それじゃ話を本題に戻すわね♪ ミナちゃんが描いてくれたこのモモちゃんの絵だけど、とても丁寧に描かれていて凄く分かりやすいわ♪」


「うんうん、確かにすっごく分かりやすいよね♪」


「わ~い、やった〜♪」


「良かったねミナちゃん♪ また褒められたね♪」


「うん☆!」


 そして話は本題に戻り、師匠とマリア先輩はミナちゃんが描いたモモちゃんの絵を再び評価していたの♪


 ミナちゃんがとても丁寧にモモちゃんを描いてくれたおかげで、どんな特徴があるのかもすぐに伝わるんだよね♪


 そんなミナちゃんが描いてくれたモモちゃんの絵には、クマのぬいぐるみであることはもちろん、足にはピンク色の靴下と靴が履かれていて、胴体の部分にはピンク色の服が着せられており、更に服の上にはローマ字で「MOMO」と文字の刺繍が施されていたの。


「この靴や服とかって元々付いていた感じなの?」


「ううん。くつやふくはママがつくってくれたものなの♪」


「そうなんだ♪ リタさんとっても凄い♪」


 ミナちゃん曰く、モモちゃんが着ている服とかはどうやらリタさんが全て作ったみたいなの。


「モモちゃんはね、わたしのおたんじょうびにママがプレゼントしてくれたものなの」


「そうだったんだ……」


 ミナちゃんが大切にしているクマのぬいぐるみのモモちゃん、それはリタさんがミナちゃんのお誕生日にプレゼントしてくれたものだったの。


「わたしね、ぬいぐるみがすごくほしかったから、ママがわたしのおたんじょうびにクマのぬいぐるみをプレゼントしてくれてとてもうれしかったんだ……♪」


「そっか……」


「それでね……、わたしはクマのぬいぐるみにモモちゃんってなまえをつけてすごくかわいがったりしてとてもたいせつにしていたの。それからママはモモちゃんのためにふくやくつとかをつくってくれて、モモちゃんをさらにかわいくしてくれたんだ……♪」


「そっか……、そうだったんだね……」


 ミナちゃんの話を聞き続けていた私は、その素敵なエピソードにとても共感していたの。


 ミナちゃんがモモちゃんをとても大切にしているのを見て、きっとリタさんはミナちゃんが更に喜んでもらえるようにモモちゃんに服や靴とかを作っていたんだね……♪


 

「それにしてもこの絵を見る限り、服や靴とかもとても丁寧に作られているのが分かるね♪ リタさんって普段一体どんな仕事をしているんだろう……?」


「ママはようふくやさんのおしごとをしていて、ようふくをうったりつくったりもしているの♪」


「なるほど、そういうことね♪ つまりリタさんは洋服屋さんの店員だけじゃなく、洋裁師もしているわけね♪」


 リタさんがどんな仕事をしているのかマリア先輩が気になっていると、ミナちゃんはリタさんの仕事が何なのかを話してくれて、それを聞いたマリア先輩はリタさんの仕事が分かってとても納得していたの♪


 ふむふむ、なるほどね♪ リタさんのお仕事って洋服屋さんで店員をしたり、洋服を作ったりする洋裁師だったんだね♪

   

「ようさいし……?」


「服を作る人のことを言うんだよ♪」


「へぇ〜、そうなんだ☆! とてもべんきょうになったかも♪」


 そして私は、洋裁師という言葉にあまりピンと来なかったミナちゃんに洋裁師が何なのかを説明したの♪


 いつか私もリタさんに頼んで、可愛い洋服とか作ってもらおうかな♪


 

「ん〜……」


「アリシアおねえちゃん、とってもものしりだね♪」


「ふふっ♪ ミナちゃんありがとう♪」


 ナデナデ♪


「エヘへ〜♪」


「そうだ♪ ねぇ、アリシア」


「はっ、はい! 何でしょうか師匠?」


「今回の依頼、アリシアが担当してみるのはどうかしら?」


「えっ……、ええええぇぇぇぇ〜〜〜〜っ!?」


 師匠は何を思ったのか、今回の依頼を私が担当することを突然提案し、それを聞いた私は驚きを隠せなかったの。


 それにしても……、まさか師匠がいきなり私を抜擢してくれるなんて……。うぅ〜……、何だかちょっと荷が重いかも……。


「師匠、どうして私を今回の依頼の担当に……?」


「そうね、まずは説明しなくちゃね♪ 理由としてはアリシアが絵のアイデアを思い付いたことかな♪ あのアイデアのおかげでこうしてモモちゃんの手がかりを掴むことが出来たしね♪」


「はっ……、はぁ……」


「それにさっきも言ったように、アリシアの魔法もかなり上達してきているから、ここはアイデアを思い付いたその特典として今回の依頼を任せてもいいなと思ったの♪ せっかくの機会だしね♪」


「なっ……!? だっ、だからっていきなり抜擢することはないじゃない! むぅ~! 心の準備だってまだ出来てないのに……」


 未だに驚きを隠せなかった私は、師匠に今回の依頼を私に担当させようとしたことについて理由を聞いて多少納得したものの、やっぱりいきなりの抜擢には少し戸惑いの感情があったの。


 師匠……、いくらなんでも早過ぎるよ〜……。まあでも、気持ちとしては凄く嬉しいんだけどね♪


「まあそう思うのも無理はないわ。だけど心配しなくても大丈夫よ♪ さっきも言ったように私とマリアが陰ながらアリシアを支えるからね♪」


「そうそう♪ 私と師匠でアリシアを全力でサポートするから♪ ねっ♪」


「師匠……、マリア先輩……。そうですね♪ 確かに2人の言う通りです☆!」


 2人から再び励ましを貰った私は、気持ちを切り替え決意を新たにしたの☆!


 師匠とマリア先輩のおかげで、不安な気持ちを払拭することが出来たんだよね♪


「おっ♪ どうやら再び元気が戻ったみたいだね♪」


「はい☆! おかげ様で♪」


「その様子だと、心の準備も出来た感じね♪」


「はい、バッチリです☆! あと、覚悟もしっかり決めています♪」


「ふふっ♪ それなら良かったわ♪」


「ん〜、なんだかよくわからないけど、アリシアおねえちゃんがまたげんきになってくれてよかった♪」


「ありがとう、ミナちゃん♪ ごめんね、しんぱいかけちゃって。でももう大丈夫だから♪」


 気持ちを切り替え決意を新たにした私は、心の準備を整え覚悟を決めていたの。


 これ以上、依頼者であるミナちゃんを心配させるわけにもいかないしね♪


「それじゃ、改めて聞くね♪ 今回の依頼、アリシアが担当してもいいかしら?」


「はい、もちろんです☆! 今回の依頼は私の担当で行きたいと思います♪」


「わ~い、やった〜☆!」


「アリシアも遂に依頼を担当する時が来たね♪ 先輩の私も何だかとっても嬉しいよ♪ ガンバレ☆!」


「ありがとう、アリシア♪ それじゃ今回の依頼をお願いね♪」


「はい、分かりました☆! ミナちゃん、一緒にモモちゃんを頑張って見つけようね♪」


「うん☆! わたしもがんばる♪」


 改めて聞かれた師匠の提案に私は迷いなく賛成し、こうしてミナちゃんからの依頼は私が担当することになったの♪


 まさかいきなりの抜擢になるとは思わなかったから、初めて依頼を担当することになって緊張はかなりあるけど、ミナちゃんのためにもモモちゃんを必ず見つけられるように全力で頑張らなくちゃね♪

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