救いの手を差し伸べられ
「ルミーナさんのお気持ちは私としても凄く嬉しい限りです。ですが、どうして私を雇おうと思ったのですか……? それが今でも信じられなくて……」
そして私は嬉しい気持ちを押し殺しながらどうして私を雇おうとしたのかルミーナさんに聞いてみたの。
ルミーナさんが私を雇おうとしてくれることにもちろん私としては凄く嬉しいんだけど、どうして魔法を使うのがそんなに得意じゃない私を雇おうと思ったのかちょっとばかり気になったんだよね。それに面識もそんなにないはずだし……。
「それはね、アリシアがとても頑張り屋さんだからだよ♪」
「「頑張り屋さん?」」
ルミーナさんが私を雇おうとした理由を聞き、私と先生は一瞬頭の整理が追い付かずどこかキョトンとしていたの。
「そう♪ 私が以前ここで特別授業をした時、その帰りでアリシアが一生懸命魔法の練習をしていることに気付いたの♪」
「えっ、ルミーナさん私の練習をあの時見ていたんですか!?」
「そうだよ♪ アリシアが魔法の練習を頑張っている姿に私はあの時心を奪われ、つい夢中になって見ていたの♪」
「そっ……、そうだったんだ……。何か急に恥ずかしくなってきちゃった……」
ルミーナさんは魔法学校で特別授業を開いたあの日、その帰りに私が魔法の練習をしていることに気付くと、そのままつい夢中になって見ていたことを話してくれたんだけど、私はそれを知って顔が赤くなり何だか物凄く恥ずかしくなっていたの……。
うぅ〜……、ルミーナさんがまさか私の練習を見ていたなんて……。凄く嬉しいことだけど、同時に凄く恥ずかしいよ〜……。
「それからたまたま近くを通りかかった別の教員に話を聞いて、アリシアが放課後いつも欠かさず毎日魔法の練習をしていることを知り、とても頑張り屋さんで素敵な人だなと思ってアリシアのことをバッチリ覚えていたの♪」
「そっ……、そうだったんだ……。だから私のことを覚えててくれたんですね……♪」
ルミーナさんが私のことを覚えてくれた理由を知り、私はとても幸せに感じてそのまま嬉し涙を流していたの♪ ルミーナさんが私を雇いたい理由も分かって何だかとっても嬉しい♪
確かにルミーナさんの言う通り、私は一日でも早く魔法を上手く使えるようにするため放課後毎日居残って練習をしていたの。だけどその努力も虚しく、ほんのちょっとだけしか上達することが出来なかったんだけどね……。あはは……。
「そうだよ♪ 本当のところを言うとね、あの時アリシアにすぐにでもアドバイスをしたかったんだけど、他の生徒たちの質問攻めにあって結局アリシアとは話すことが出来なかったんだよね……」
「あっ……、あはは……。それは多分仕方ないと思う……」
そりゃ……、ルミーナさんが何たって凄腕の天才魔法使いだからね……。
「ちなみに、ルミーナさんがやるお仕事って一体どんなものですか?」
「う~ん……、今はまだ仕事自体立ち上げてないけど、いつかみんなのお悩みを解決して幸せになれるようなそんなお仕事にしたいと思ってるの♪ といってもそれはまだこれから先のことだけどね♪」
「ルミーナさんとっても素敵すぎます☆!」
「私もそう思います☆!」
そもそもの話、ルミーナさんがやるお仕事が一体どんなものなのか先生が聞いてみると、ルミーナさんはみんなのお悩みを解決して幸せになれるようなお仕事をこれから作っていきたいと話してくれて、私も先生もそれを聞いてルミーナさんにとても感激していたの♪
それが後の「ルミーナお悩み相談所」になるんだよね♪
「というわけで、アリシアにはまずお仕事をする前に私の弟子になってもらいたいの♪ どうかな?」
「えっ、いいんですか!?」
「もちろん♪ それに元々最初はそのつもりだったしね♪」
「ありがとうございます☆! 私、喜んでルミーナさんの弟子になります☆!」
ルミーナさんから弟子にならないかと救いの手を差し伸べられた私は、目をキラキラと輝かせながら迷わずルミーナさんの弟子になることを決めたの♪
それにしてもまさか……、私が凄腕の天才魔法使いであるルミーナさんの弟子になれるなんて……、何だかとっても幸せすぎます♪
「良かった♪ それと私の弟子は既に1人いるんだけど、その子とっても良い子だからアリシアもきっとすぐに仲良くなれると思うよ♪」
「そうなんだ♪ その人と会うの何だかとっても楽しみです♪」
続けてルミーナさんは私以外にもう1人弟子がいることを明かしたの♪
そのもう1人の弟子と言うのがマリア先輩のことで、実際にとても仲良くなったんだよね♪
「あと、私が立ち上げようとしているお仕事の方は私とアリシアともう1人の弟子で合わせて3人で一緒に頑張ろうと思ってるの♪ 人手はやっぱり多いほうがいいしね♪ それに3人で一緒にお仕事するの私自身とっても楽しみだしね♪」
「はい☆! 私もルミーナさんやもう1 人の弟子と一緒にお仕事するのとっても楽しみです♪」
ルミーナさんがこれから立ち上げるお仕事はどうやら私とルミーナさん、それともう1人の弟子を合わせた合計3人で一緒に働くもので、私もルミーナさんもこれから一緒に働くことをとても楽しみにしていたの♪
実際に3人で一緒に働いてみると、私も師匠もマリア先輩もとても楽しく過ごせて毎日が凄く幸せな日々だと感じているんだよね♪
「それじゃアリシア、これからよろしくね♪」
「はい、もちろんです☆! こちらこそこれからもよろしくお願いします♪」
「良かったねアリシアちゃん♪ 先生もアリシアちゃんの職場が無事に見つかってとっても嬉しいよ♪」
「はい☆! 先生も本当にありがとうございます♪」
こうしてルミーナさんから救いの手を差し伸べられた私はその後弟子入りし、師匠の教えを乞いながらマリア先輩と一緒に魔法の特訓をしつつ、ルミーナお悩み相談所で楽しく働いているという現在に至るの♪
師匠とあの日出会った出来事は私にとって思い出の宝物です♪
「ふふっ♪」
「こ〜ら! アリシア手が止まってるよ」
「えっ? あっ、ごめんなさい!」
私は師匠と出会ったあの日の出来事をしばらく振り返っていると、マリア先輩から掃除の手が止まっていることを怒られてしまったの……。うぅ〜……、思い出すことに夢中でうっかり手が止まってたよ〜……。
「珍しいわね。アリシアの手が止まるなんて」
「あはは……。その……、ちょっと考え事をしちゃってそれで……」
「ふ〜ん、そうなんだ。ちなみに何の考え事をしてたの? もしかして、好きな男の子のことだったりして♪」
「なっ!? ちっ、違いますよ、もぅ〜! 第一私に好きな人なんていませんし! むぅ~!」
私は途中で掃除の手を止めてしまった理由として、考え事をしていたからだと話したの。まあ、考え事をしていたのは一応事実だからね!
すると、それを聞いたマリア先輩から考え事は好きな男の子のことなのかどうかと質問され、私はその質問に動揺からか顔を物凄く真っ赤にし、それから頬を膨らませながら慌ててそのことを全力で否定したの。
もぅ〜、マリア先輩ったら何とんでもない爆弾の質問をぶつけてくるのよ!? そりゃ、いつか私にも好きな男の子とか出来たらいいなと思ってるんだけどね……。
「な〜んだ、つまんないの」
「わっ、悪かったですね! 私に好きな人がいなくて! むぅ~!」
「ごめんごめん、冗談だよ♪ それじゃ本当はどんな考え事をしていたの?」
「そっ……、それは……、今日のご飯どうしようかなってちょっと考えてたんです♪」
本当はどんな考え事をしたのかマリア先輩に聞かれた私は、今日のご飯について考えていたという嘘を付いて本当のことを誤魔化したの。
師匠との出会いを振り返っていたって明かすの、何かちょっと恥ずかしく感じたんだよね……。
「なるほど、今日のご飯ね♪ そういえば今日の当番は確かアリシアだったよね♪」
「はい、そうなんです♪ だけど何を作ればいいのかちょっと迷っちゃってて……。あはは……」
「うんうん、その気持ち分かる♪ 私も今日のご飯どうしようかと結構悩むことがあるんだよね♪」
「ですよね☆! 今日のご飯考えるだけでも結構大変だと思うんです♪」
良かった、多分誤魔化せたっぽいかも♪ あと、マリア先輩がご飯のことで共感してくれたりして話が弾んたのも何だかとっても嬉しいね♪
「そっか♪ 今日のご飯考えるだけでも結構大変なんだね♪ 何だかとても勉強になったわ♪」
「師匠が感心してくれて何だかとっても嬉しいです♪ あっ、そうだ♪ もし良かったら師匠が今日のご飯作ります?」
「ふぇっ!? 私がご飯作る!? 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理、そんなの絶対に無理!! もし私がご飯作ったら、きっとこの世のものとは思えないものになるわ!!」
「あはは……、ですよね……」
「師匠が作るご飯を美味しく食べることが出来たら、その人がある意味本当の勇者になるよね♪」
「うっ……! ひっ……、否定は出来ないわね……」
せっかくなので今日は師匠にご飯を作るのを勧めてみるも、師匠は全力でご飯を作るのを拒否していたの。
ちなみにこれは私が師匠に弟子入りした後で分かったことなんだけど、師匠の家事スキルはどうやらとても壊滅的であることが発覚し、そのため料理や掃除などの家事は専ら私とマリア先輩でそれぞれ分担している感じなの。
最初はそのことを知ってちょっとびっくりしちゃったけど、それと同時に何だかとっても安心した気持ちになったんだよね♪ 師匠のことをてっきり完璧超人で雲の上のようにどこか遠い存在の人だと思っていたから、欠点があると分かって人間らしさや意外と身近にいる存在だと感じてどこか少しだけホッとして嬉しい気持ちになったんだよね♪
でもいずれは師匠にも家事全般を任せるようにしなくちゃね♪ 2人だけだと結構大変だから……。とりあえずまずは料理から教えてみようかな♪
コンコン……、ガチャッ……。
カランコロン♪
「あの〜……、すいません……」
「あっ、は~い♪」
「どうやら新しいお客様が来たみたいだね♪」
「えぇ、そうみたいね♪」
私たち3人で楽しく会話をしていると、ここで1組のお客様がルミーナお悩み相談所にやって来たの。
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