親子からの依頼
「いらっしゃいませ♪ ここルミーナお悩み相談所にようこそ♪」
「こちらで依頼をしたいんですけど……、今からでも大丈夫でしょうか?」
「グスッ……、グスッ……」
ん、泣いてる……?
ルミーナお悩み相談所にやって来たのは1人の女性と1人の幼い女の子の計2人で、女の子の方はなぜか凄く泣いていたの。
「はい、もちろん大丈夫ですよ♪ ではこちらにお掛けください♪」
「すいません……、ありがとうございます……」
「グスッ……、グスッ……」
そして私はそんな1組のお客様を笑顔で応対し、相談席の方へと案内したの。
見たところ……、このお客様は親子連れっぽい感じね……。娘さんの方は今もずっと泣いていて、お母さんの方はそれを見て娘さんのことを凄く心配しているわね……。一体何があったんだろう……? 恐らく多分、今回の依頼内容に関係しているのかもしれないね……。よし☆! 娘さんが笑顔になれるように私たちが頑張らなくちゃ☆!
私は今もずっと泣いている女の子を見て、必ず女の子を笑顔にすることを心に誓ったの。
「師匠、応対無事に終わりました♪」
「うん、ありがとう♪ お疲れ様♪ それじゃ、マリアは私と一緒に、アリシアは飲み物とお菓子の用意をお願い♪」
「うん、了解☆!」
「はっ、はい、分かりました!」
私がお客様を相談席の方へと案内すると、師匠は私とマリア先輩にそれぞれ指示をし、マリア先輩は師匠と一緒に相談席の方へ、そして私は飲み物とお菓子を用意するため台所の方へと向かったの。
「すいません、お待たせしました♪ 私の名前はルミーナで、一応ここの代表を務めています♪ そしてこちらが――」
「助手のマリアです♪ 師匠ことルミーナさんの弟子でもあり、師匠の元で日々魔法の特訓をしています♪ よろしくね♪」
「こちらこそよろしくお願いします……」
師匠とマリア先輩は相談席に座ると、まずはお客様に対して自己紹介をしていたの。
「それではまず、お客様のお名前をそれぞれお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「はい……。私の名前はリタで、こっちは娘のミナと言います」
やっぱりこのお客様はどうやら親子だったみたいね……。
私の予想通り、ルミーナお悩み相談所にやって来たこのお客様はどうやら親子連れだったみたいで、名前はそれぞれお母さんの方がリタで、娘さんの方はミナであることが分かったの。
「リタさんとミナちゃんですね。分かりました♪」
「失礼します……。こちらハーブティーをお持ちしました」
「ありがとう、アリシア♪」
「アリシア、本当にありがとうね♪」
「すいません、ありがとうございます♪」
「いえいえ、こちらこそ♪ 喜んでもらえてとても嬉しいです♪」
そして私はまず最初に、淹れたハーブティーを師匠たちの所にそれぞれ置いたの。
「はい♪ ミナちゃんにはオレンジジュースを持ってきたよ♪ それとお菓子も用意してあるから良かったら食べてね♪」
「うん……、ありがとう……」
続けて私はミナちゃんの所にオレンジジュースを置き、机の真ん中辺りにお菓子を置いたの。
「それじゃせっかくだから、アリシアも2人に自己紹介をしよっか♪」
「はっ、はい、分かりました! えっと〜……、私の名前はアリシアです。私もマリア先輩と同じく師匠の助手をしていて、弟子でもあります。なので私も師匠の元で日々魔法の特訓をしています♪ よっ、よろしくお願いします!」
「うん、こちらこそよろしくお願いします♪」
私が飲み物とお菓子を机の上に全て置くと、師匠からせっかくだからと自己紹介を勧められ、私は少し緊張しながらもリタさんとミナちゃんに自己紹介をしていたの。
うぅ〜……、何かちょっと恥ずかしいかも……。
「ではそろそろ本題に入りたいと思います。本日はどのようなご依頼でここにお越し下さったのでしょうか?」
「はい……。その依頼なんですが、実はミナの方からになるんです……」
「ミナちゃんからの依頼……ですか……?」
なるほどね……。依頼はミナちゃんの方からになるんだね。
「はい……。実は――」
「ううん……、ママだいじょうぶ……。わたしがじぶんではなすから……」
リタさんが依頼のことを話そうとすると、ミナちゃんはそれを遮り自分自身で話すことを母であるリタさんに伝えたの。
「ミナ、本当に大丈夫? 別に無理しなくてもいいんだよ」
「ううん……、しんぱいしなくてもだいじょうぶだよママ……。わたしちゃんとじぶんではなしてみせるから……」
ミナちゃんが自分自身で依頼内容を伝えようとすることにリタさんは凄く心配したものの、ミナちゃんは泣きながらもちゃんと自分で話してみせることをリタさんに覚悟して伝えたの。
ミナちゃんの意志はどうやら相当の覚悟があるみたいだね。
「うん、分かったわ。ミナ、ちゃんと自分で依頼のことを話すんだよ。でも無理だけは絶対にしないようにね」
「うん……、わかった……。ありがとうママ……♪」
ミナちゃんの覚悟が伝わったのか、リタさんはミナちゃんに自分自身で依頼を話すことを許可してくれたの。
ミナちゃんの覚悟がどうやらリタさんにもちゃんと伝わったみたいだね♪
「それじゃミナちゃん、依頼内容について聞かせてね♪」
「うっ……、うん……。えっとね……、ウッ……、ウッ……」
「ゆっくりで大丈夫だよ♪」
ミナちゃんは依頼内容について話そうとするものの、泣いている影響からか上手く話すことは出来ず、それを見て心配した私はゆっくりで大丈夫だよ♪とミナちゃんに優しく話したの。
「うん……、ありがとう……。えっとね……、モモちゃんが……、モモちゃんがいなくちゃったの……! うっ……、うわああぁぁ〜ん……!!」
ミナちゃんは勇気を出して依頼内容を私たちに話してくれたものの、これ以上耐え切れなかったのか感情が爆発し、しばらくの間泣き叫んでいたの。
なるほどね……。ミナちゃんが泣いていた理由はそういうことだったんだね……。きっとそれぐらい……、モモちゃんがいなくなってとっても辛いんだね……。
「そっか……、大好きなモモちゃんがいなくなってしまったことにとても寂しい思いをしていたんだね……」
「うん……。わたしモモちゃんのことすごくだいすきで……、いつもいっしょにすごしたりかわいがったりしていたの……。だけどね……、とつぜんいなくなっちゃって……、はなればなれになってしまったの……」
「そうだったんだ……」
ミナちゃんの話を聞いて、私たちもとても悲しい気持ちになっていたの……。
「そうだったんですね……。ちなみにそのモモちゃんっていうのは一体……?」
「はい……。クマのぬいぐるみのことです……」
「なるほど……、そうでしたか……」
ミナちゃんが言うモモちゃんとは一体何なのか師匠が聞いてみると、それはクマのぬいぐるみだということをリタさんが話してくれたの。
そっか……、なるほどね……。ミナちゃんはクマのぬいぐるみさんにモモちゃんっていう名前を付けるくらいとても大切にしていたんだね。
「つまりミナちゃんからの依頼は、失くしてしまったクマのぬいぐるみのモモちゃんを見つけてほしいってことですね」
「はい……、その通りです……」
「ありがとうございます♪」
ミナちゃんからの話を聞いて、マリア先輩はその話を整理し依頼内容が合っているかどうかリタさんに聞き、合っていることを確認したの。
リタさんとミナちゃんからの依頼、それはミナちゃんが失くしてしまったクマのぬいぐるみのモモちゃんを見つけてほしいというものだったの。
ミナちゃんを笑顔にするためにも、私たちが絶対にクマのぬいぐるみのモモちゃんを必ず見つけてみせるからね☆!
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