第18話 告白未遂と二俣と 映画館後編
◇前回のあらすじ。有象無象蔓延る映画館で小坂一樹は感動の涙を流していた。五月はバナナが告白した流れで少女漫画脳が発動。ついでにティンコラス2世と狙撃手は将棋を始めていた。
やっと見つけた。お兄ちゃんと五月ちゃん☆
二人はいつのまにか映画館の外に出ていた。盗聴してみると、どうやら映画の内容を語り合っているようだ。
よかった。うちの尻拭いは無駄じゃなかった。ここまでお兄ちゃんの敵を潰しに回ったのは無駄じゃなかったんだね☆
いや、結構無駄なことしたなぁ……☆
「いやあ、今日の映画は感動したなぁ。まさか犯人は毛利小太郎だったなんて」
「そうですね。それより、その……」
「おっ、ちょっといいか!」
「えっ!? まっ!?」
お兄ちゃんが五月ちゃんの手を握ってズンズン前へ進んでいく。五月ちゃんは大分困惑していた。
「思った通りだ。綺麗な夕焼けだなぁ……」
「……はい。そうですねぇ……」
お兄ちゃんと五月ちゃんは、オレンジ色に輝く光と大きな川が流れている所を眺めていた。これは、いい雰囲気なのでは?
邪魔しない様に、柱の隅で隠れておこう。
(この気持ち。この感情。やはり好きなのですね。正直な言葉をあなたにぶつけたい!)
「えっと。その……私たちもあの恋人みたいに……」
お兄ちゃんも五月ちゃんの空気感を察したのか、露骨に話を合わせにいく。
「えっ、ああ。なんというか、映画館の告白もロマンだよな」
「そ、そうですねぇ。それでなんですけど……」
五月ちゃんが口を開くその瞬間だった。
後ろから轟音と共に何かが発射されたのは。その発射されたのは勢いよく映画館の外壁に突き刺さり、たちまち爆発した。
何事と思い、後ろを振り返ってみると、ロケットランチャーを持った愛斗さんがそこにはいた。
◇愛の戦士•純愛マスター見参!
「二俣ぁ! 何やってんだお前ぇ!」
お兄ちゃんの悲痛な叫びが映画館の外でこだました。
◇
「何って、見れば分かるだろ。略奪婚の映画を放映している映画館をロケランで潰しまくってる」
「なんだと随分面白いことやっゲフンっ! 過激なことしてるな!」
なんでか愛斗さんを見てると能力がつかえなくなるんだよなぁ。どうしてだろう?
「いや待てや! 映画観てないんか? どう考えても純愛だろ!?」
「黙れ! 映画は純愛物以外認めん! NTRをぶっ壊す!」
「そうだそうだ! 五月ちゃんは私達、五月親衛隊のものよ!」
「殺人、完全犯罪、分解して魚の餌にする」
あっ、お兄ちゃんのストーカー達がゾロゾロと映画館の外へ出てきた。
「なんだお前ら。二俣に加えて五月親衛隊かぁ……あの……その……お前ら全員皆殺し」ピキッ
こうしてブチ切れたお兄ちゃんは集団の中に突っ込んでいった。
ああ、カッコいい……☆好きピ☆
◇結局、小坂一樹及び五十嵐五月は大幅に予定を狂わされて告白することが出来なかった。
◇尚、いつのまにか五十嵐五月好感度メーターは85/100になっていた模様。例:50以上友達。80以上友達以上恋人未満。
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