第19話 大晦日

◇久方ぶりの小坂一樹視点


 ナレーションの声聞くのも久しぶりだなぁ。五月と関わりだして以来、度々聞く様になったナレーションの声。


 最初、ナレーションの声が聞こえてきた際、そういうものがいることさえ知らなかったので、目を奪われた。いや、耳を奪われた。


 大晦日。今年は色々とあったが、来年はいいことありますことを。


 そして来年は五月と付き合いたい。いい関係を築きたい。そう願っている。


 にしても今日は珍しく平穏な朝だ。雲一つない天気で草木が花笛を吹き、風が囀っている。


 雪は積もり、雪の精と鳥羽族が飛び回っていた。


 それに体調も良好。偏頭痛起きていない。


「あっ、おはようございますっす!」


 悲報、平穏な一日終了。


「ゲッ、田中……」


「ゲッってなんですっか! まるで僕に会いたくなかったみたいな。それはそうと寝取り具合のあるカップルを見かけなかったすか?」


 大晦日でも田中はブレずに寝取り魔やってるなぁ。来年もそうなのだろうか?


 嫌だなぁ。寝取り癖さえなんとかすればマトモなのに。


「仕方ないからそこのクソガキを犯すっす!」


「はっ?」


「自分、ショタもイケる口ます!」


 当たり前にショタって言うんじゃねぇぇぇ!


 ちぃっ、田中が迷いなく可愛げある少年に向かっていく。マズイ、雰囲気的にもガチなやつだ!


「一秒で服を剥ぎ取り、二秒で結合。三秒で果てさせてやるっすゥゥゥ!」


「ギャァァァァァ!?」


 少年の声が住宅街にこだまする。


 やめろぉぉぉ! この世界が謎の圧力で消させてしまうぞ! 止めなければ(使命感)


 このあと田中を羽交いしめにしてその隙に少年を逃したり、てんやわんやな大晦日だった。

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