第12話 キャンピングカーを求める乙女
カーナビ弄って探してみると意外にそこそこ近場にある事を知り出発。もうこの車に未練がないとばかりにゾンビを跳ね飛ばしながら到着する。
「......で、どうすんだよ。レンタル品だから同じ奴がズラッとあるぞ、取り敢えず事務所?みたいな所に入って漁ろうかね」
そう言いながらハンマーを背負い拳銃を持ち降りる。
「うーん......1番良いのと思ったけどぱっと見全部同じ車かぁ。でもさっき朔が言っていた通り燃料がほぼ確実に入っているのはレンタカーだろうしね〜」
そう言いながら改造木刀とマスケットを持って降りるブラン。
「鍵は持ち帰る訳ないし事務所内漁ればいいんじゃない?......ドアに鍵閉まってるね」
そう言う未奈はARとナイフを持って降りる。
「退いて、叩き壊すッ」
ハンマーで強化ガラスのドアを数回殴りぶち破ると手を入れて内側から鍵を開けて入った。そこまでの破壊力があるんだなと2人は感心していた。
「はぁ......疲れたぁ......臭い的に死人はいないみたいだから気を楽に漁れそうだね......にしてもタバコ臭えな。未奈は入り口で見張りをしてて、その立派な銃を任せているんだ。信用しているぞ、未奈」
そう言いながら未奈と軽くハグして言う。
「うん♡任せて♡」
チョロい。
「チッ......」
怖い。
十数分くらい漁った朔が言う。
「はぁ......在処はわかったけど、どれがどの鍵だよ............まあこれからしらみ潰しだ。サーシャ助かったよ、ありがとな」
とブランにも軽くハグをした。
「気にしないで♡」
怖くない。
「ん?思ったより早く終わったね?」
「まあ他にも盗んでいたけど鍵はわかりやすい場所だったからね。時間がかかるのはこれからだろう......だが番号が鍵に振られていたから選べるかも............これが1番綺麗そうだな......お!開いた!」
「まじ!!?」
「わあい!」
普通にここの管理がしっかりしていた為に簡単に車に乗れた。
「すごいっ!エアコン!冷蔵庫!えっ?なにこれ?トイレ......?」
興奮するブラン。
「わあ、ベッドあるよ!3人で寝られそうだよ!朔!......朔?」
車内には朔が居なかった、2人は浮かれ過ぎていたので気が付かなかった。焦り外に出るとハンマーでゾンビを撃退する朔が居た。満身創痍とまではいかずとも全身に怪我があるのに、ドンドン身体能力が向上している様に見える朔。
「悪ぃけどこの車は汚されたくねぇんだっ!」
そう言いながら正面のゾンビを蹴り倒して首を折る。背後に迫るゾンビにノールックで後ろ蹴りをして振り返ると同時に追撃に重い蹴りをかまして足だけで首を折る。
「......いや、いくら何でも強くなり過ぎじゃない?」
「......確かに出会った時より遥かに痩せて筋肉質な身体つきになってエロい............かっこいいと思っていたけど......」
本音が漏れるブラン。2人に駆け寄る朔。
「すぐ気づけて良かった......また2人を守れて......」
自分の異常さに微塵も気づいていない朔はふたりのしんばいをしていた。
「いや、朔さ......流石に身体能力上がり過ぎじゃない?それも頭に包帯巻いた怪我人が何人も1人で倒しているんだよ?ヤケになって変な薬やってないよね?」
ハイになれる覚醒剤などの使用を疑う未奈。
「それは流石に100年の恋も冷めます......」
恋は盲目でもヤク中はNGなブラン。
「えっ......え?違うって!多分アドレナリンも出ているし、嫌でも運動するしサプリ飲んで栄養もあるし健康的な生活しているからだよ!2人だって筋トレに素振りしたりシャドーボクシング?してるじゃん!第一ヤクやっていたらこうやって普通に会話できないし、2人の目を盗んで継続的に摂取するなんて無理でしょ?マジにずっと一緒にいるし、トイレの時だって誰かしらドアの前や後ろに立っているんだからさ!......てか、いつ手に入れるんだよ!!」
必死に私はシロですとアピールする朔。本当に思い当たる事など無いのだから本気で否定する。
「疑った私がバカね。朔はそこまでバカじゃないもんね?だよね?そうだよね??」
顔と顔が至近距離になる程詰められ未奈に聞かれる。
「な、何でそんなに心配するんだ......大丈夫だよ」
とついでに顔が近くにあったので軽くキスする。
「ズルい!」
ブランは朔の頭を鷲掴みしようとしたが怪我をしていることを思い出して自分から高速で移動してキスをして離れる。
「な、なんだよ......嬉しいけど何がしたいの............」
(でも確かに俺如きがここまで筋力と体力つくものかな?昔からの怪我に対するタフさは変わらない気がするけど......)
そう思いつつ2人に指示をしてエンジンがつく事を確認すると必要な荷物を全て移した。
「よし、この古い車を廃棄するのは勿体無いから暫くは俺が運転する。未奈はそっち運転して」
「えーこんな大きいの......私普通車だけしか無理なんだけど良いのかなぁ......他に走行している車なんてほぼいないしいいか!ATみたいだし楽でしょ!」
キャンピングカーを手に入れた喜びでいっぱいなので今はポジティブな未奈。
「もし何かあったら危ないよ......それに廃棄じゃなくて何処か絶対に忘れない場所に停めておこうよ。映画だと1人で運転している方が爆発して死んだりするし......」
「......確かに、でも自宅跡に今行くのは早すぎるし......取り敢えず、コンビニに駐車して店舗名を覚えておこうか。よし、そっちのカーナビの方が新しいっぽいから先導してくれ、こっちも設定はしておく」
そう言うと古い方に乗る朔。
「もう......話を聞かないんだから......サーシャは後ろで足伸ばして休んでて!」
「ありがとう!私は免許持ってないから運転の練習しないとなぁ......」
そうしてコンビニに向かう3人。何があると思い生きた心地がしない朔だったが普通にコンビニ到着し目立ちにくい方に停車し外に出て合流する。
「あー......本当に何にもなくて良かったぁ」
「ね」
「いや俺もゲームとかのイベントならば、またあの化け物みたいなの出てくるからヤバいと思っていたよ......取り敢えず、コンビニあるし略奪しようか」
3人は既に荒れているコンビニに入る。
「あー何も無いね......パンとか弁当もないって事はかなり早い段階で盗まれているね............変な味のジュースはある......取り敢えず持ち帰るかぁ」
「よいしょ......えーっと......」
朔がレジの中に入り漁り始めた。
「えっ?なんでタバコなんか集めているの?吸わないって言ってなかった?」
「いや、さっきのレンタカー屋のタバコ臭さで思い出したんだけどタバコ吸っている人って中毒になっているから、一般人で喫煙者に出会ったら物々交換とかに使えそうだと思ってね。ゲームでもかなり高額で売れるアイテムだったりするし、タバコの臭いで別の何かの臭いを掻き消せる事も出来るだろうしね。という事です、吸わんので心配しないで。吸うのはCBDとか吸うカフェインだけだから......それもそろそろ無くなりそうだけど」
と長々と説明する。
「あー!確かに!」
簡単に納得するブラン。
「まだ酒あったぞぉぉおおーー!!!」
後方で酒の瓶を両手に持って1人で踊りながら喜んでいる未奈。3人はレジの金も一応奪ったり、カッターや鋏など文房具もスタッフルームなどから盗んでキャンピングカーでおやつタイム。
「当たり前だけどテーブルもあるなんてすごいなぁ......と言うかかなり広いな乗った事ないけど普通のやつよりかなり高級なヤツかな?」
「貯水タンクと一体化した水道もあるしキャンピングカーで必須な物は全部あるね!それにしてもこの変な味のジュース意外と美味しいわね......これスイカ味だったんだ......今冬だけど......」
「未奈、貴女ジュースにお酒混ぜでいるから美味しいんじゃあ............」
「まあ......前からそうだから......俺もなんか他に食べれる物無いかな〜〜............コンドーム?」
コンビニからパクってきた物を入れた袋漁っているとコンドームを見つけた朔。
「あぁあ!!それはね......」 「あーそれは......」
と未奈とブランが言おうとすると遮って朔が、
「コンドームが止血に役に立つって知っているなんて意外だな!意外と2人とも雑学を知っているのか?」
「へっ?」 「んん???」
「コンドームの先端を切ってただの筒状のゴムにすると腕とか足にハメれる様になって圧迫して止血できるからね〜返り血浴びるのもも防げるし便利だね、忘れていたよ」
と笑いながら言う朔に対して2人は思う。
(怪我した手と足にハメるんじゃなくて貴方のブツにハメて私をハメるんだよ......)
とまだ性行為をした事ないブランは思う。
(確かにそんな感じのライフハックの動画見た事があるけど今したいのはファックなんだよ......)
早く全てを上書きして欲しい未奈は困惑していると、
すぐ使える様に加工する為、ハサミを取り出し始めた朔を2人は無理やり理由つけて止めて食事続行し雑談。
「もう下手したら2度とこのコーラも飲めない日が来ると思うと嫌だなぁ......」
「もうパンとかも保存食用以外は消費期限切れだしね......私は5個入りチョコクリームパンが好きだったなぁ......最近に4個入りになったけど............」
「キャンピングカーが手に入ってから言う事じゃないけど、早いところ安全に移住出来る場所を見つけて農業とかもした方がいいなぁ......まともな肉はみんなで食べたあのクソ高い奴が最後か............っ......ちょっと外出て鍵かかってない自転車探してくる、車の後ろに乗せれるみたいだから」
朔は両親の事を思い出し泣きそうになるがブランの方が酷い目に遭っていて彼女は耐えているので我慢した。気を紛らわせる為に外に出る事にした。
「......危ないから、こっちから目に見える範囲で探してね」
慰めの方があの人は辛く感じると思ったブランは忠告だけした。
「ああ、安心して」 ガチャッ
いつもの装備で外に出てコンビニの駐輪場をまず見る。
「何もない、次は向かいのファミレスかな。ぱっと見あるにはあるな」
そう言い道路を渡り駐輪場に行こうとすると奇声が聞こえて来る。その方向を見ると小学生低学年くらいの女の子のゾンビがこちらに走って来ていた。今までたまたま子供のゾンビには出会っていなかった朔は怯んでしまう。
「こ、こんな子供が......ううぅ......こんなっウイルスをばら撒いたクソ野郎はどこのどいつだよッ」
「おかあさあ!ウぎゃああァアああ!!!!!」
と叫びジャンプして飛びかかる。とても人間が飛べる高さでは無く顔にしがみつきに来たので、朔は咄嗟にしゃがみ前方に転がり回避して振り返ると着地に失敗して頭を打って自滅してピクピクしている女児ゾンビ。
「ああ......ごめんね......ただでさえ普通のゾンビ相手にもアレをするのは罪悪感があると言うのに......」
そう言いながら念の為のトドメの処理をする為に首に向けてハンマーを振り翳すと、女児のか細い首は千切れ跳ね飛んで行ってしまった。グロサイトや検索してはいけないワードの極度なグロ系も全然平気な朔だが、自分の手でゾンビとは言え子供の首を刎ねた罪悪感で吐いてしまう、先程から耐えていた涙も様々な感情が重くのし掛かり重なって涙腺崩壊し号泣する。
「うおおぇえっえぇ............げぼぇええ......チクショー......うぅ......ふざけんなよ......」
ゲロが跳ね返らない様にファミレスの柵の先に頭を出して吐いていたが、また後ろから音が聞こえた。咄嗟に拳銃を取り出して振り向くと心配して降りて来た2人だった。
「朔っ!朔大丈..................仕方ないよ」
転がっている痙攣しているモノを見て察したブランは悲しげに言う。
「もうこの肌の色からしてかなり前から死んでいたんだ、目玉だって1つ足りないし......」
事実しか絞り出せない未奈。
「ああ......すまない。一応こういうのは覚悟はしていた。ゲームでも子供のゾンビを殺すのは気分悪かった......それに小さい子供は大体喰い尽くされるか、別の死因で死ぬだろうから今までゾンビ化した者に出会わなかったんだろうが......いざ来るとショックが強くてな......」
そう言いながら血塗れのハンマーを下にして杖の様にして立つ。息は荒い、寒いのに汗が垂れる朔。
「取り敢えず......ここの自転車を見るだけで終わりにしよう。今日はもう休みでゆっくりしよ」
とブランが言う。3人はワイヤーロックしかされていない高級そうなロードバイクを見つけた。
「これ素人でもわかる高い奴じゃん......この柵とくっついている鍵を切断すれば......」
「でも簡単にはできないんじゃあ......朔?案は無い?」
柵だけに朔に聞く。
「むぅ......こう言うのは当然だが切断されない様に力を入れているからなぁ......俺の家にあった工具ならイチコロなんだけど......ああ家......俺のコレクション......」
また気分が落ちる朔。薬を飲んでも完全に抑えられない、それが精神病である。もっとも精神病関係なく家と家族が燃えたら誰でも悲しむが。
「ごっごめん!また嫌な事思い出させちゃって......諦めて戻ろうか......」
「いや、いいよ。ありがとうね。切断は俺の持っているハンマーと金属の板があれば打ち付けてやれば千切れる可能性はある。この人の自転車は本体はメンテナンスがされているがワイヤーロック自体はだいぶ劣化してガワにヒビが入って錆びてしまっているからな」
そう言うとハンマーを洗浄してからファミレスの方に向かい入っていく、少しして出ていくと包丁を複数個持って来た、他にも調味料や調理器具をパクって来た。
「何するの?」
「この何用かわからない使いにくい包丁を重ねて持ってワイヤーの劣化が1番酷い所に当てて」
と言いながら未奈に渡す。
「も、もしかして......」
「そうっこれで叩き切るッッ」
未奈に詳しく説明せず、思い切り振りかぶり包丁は全てへし折れワイヤーは半分程切れ込みが入った。
「馬鹿か!危ないわっ!」
そう言いながらビンタしようとしたが怪我人だったことを思い出してやめた。
「ごめん、取り敢えずこれでガワはボロボロと剥がれて錆びたワイヤーも半分切れて露出しているから折り曲げルのを繰り返して金属疲労で千切れないか試す」
そう言うとしゃがんで折って戻してを数分続けると千切れた。
「まじか......これ相当安物だったんだろうな......それも使い込んでいるな」
「自転車買ってワイヤーロックを買うお金がなかったのかな」
「よくある高い財布買ったら入れる金が無いみたいな感じだね......」
3人は急いで自転車を運び車の後方に乗せて車内に戻る。朔は電池とラジオを取り出して弄り始めた。
「今更ラジオ?」
「ちょっと落ち着いた今だからだよ、テレビもやっていないなら情報はラジオしかない。伝えたい人がいれば電波に乗せて発信する」
そう言いながらチャンネルを合わせるボリュームのツマミを回す。繰り返しどこどこに避難しろと言い続けるだけのチャンネル、自衛隊が保護活動をしていると言い続けるだけのチャンネルなどあまり役に立たなかった。
「ダメだね」
「まあ、今後ゲームみたいに助けを求める個人が電波を流すかもしれないし置いて置くだけしておこうか......はぁ............疲れた」
そう言いながら顎を触っていたら髭が思ったより伸びていた事に気づく。
「んん?俺思ったより髭が伸びているな......髪もちょっと長いな。どうするかな......」
「私切れるよ!自分の髪は長いから無理だけど」
金髪ロングのブランは他人の髪の毛を切る事は得意だと言う。
「じゃあ私も切ってもらおうかな......ポニテだけどショートの方が戦闘しやすいだろうし」
と地毛茶髪ポニテの未奈が言う。
「散髪用のハサミとかは美容院から強奪するか......俺は産毛剃りも探さないとな......」
「臑毛でも剃るの?いや、学生の時から朔は体毛濃いけど男らしさとかほざいて放置してたな」
「............髭を剃るんだよ、肌が弱いから電動髭剃りで剃刀負けするんだ............押し当てないと剃れないけど押し当てるとヒリヒリする......と言うか俺ら最後に風呂入ったのいつだ......」
「やめてよ、忘れようとしているのに......今は寒くて水なんかじゃ洗えないし......」
「ドライシャンプーなるモノがあってね。洗い流す必要がないから、それで何とかしたいんだがどこに売ってんのかわからないんだよな。ドラッグストアかなぁ......でも見覚えないし............」
「まあ今は休むんだからあまり考えないでいよう、昼寝でもしよ......朔も昼間は眠気あるんでしょ?」
「そうなんだよね、薬の副作用とか病気とか色々原因があるけど昼過ぎに数時間程度寝れる日がたまにある」
「じゃあ、寝ましょう。静かにしていればわざわざこの車にゾンビは集まってこないと思うから」
そう言いながらブランは朔の手を引く、もう片方の手にはコンドームがあった......。3人は濃密な昼寝をした。そして夕食も食べて薬も飲んで就寝。
「はぁ......寝る」
「寝かせない♡」 「悪いけど夕食に精力剤混ぜたから♡」
「............」
2024/11/23日の朝10時に2人は起きる。
「腰が痛い......乗り気じゃないって感じだったのに朔............」
「元から絶倫なのに精力剤なんて混ぜたから............」
2人はナニかしたので疲れ果てている。そして、その2人の間に静かに眠り続けている朔がいる、全く動かない上に音も立てないので生きているか2人とも心配になる。
「私達に抱きついて寝るけど、途中からいつも死んだ様に寝ているから心配になる......朔が言うには昔からそうらしいけど......」
そう言いながら頬を指で押す未奈。
「そう言えば、朔は何かに抱きついていないと眠れないとか言っていたね。これ多分まだまだ寝ているだろうし二度寝しない?」
「すっかぁ......私らが数日頑張ったおかげで食糧的にまだ活動しなくて良いし......」
再度2人は朔に抱きついて眠る。
午後2時過ぎに朔が起きると2人は横にいなかった。移動したら椅子のあるスペースにいた。
「時間的におはようでいいのかわからんけどおはよう。もうアホな事はしない様にね......てかもう全箱使い果たしたし、これで体力が無いから死にましたとかc級映画の死に方かよ......」
とフラフラ歩きながら言う。
「......♡」
ブランはやめる気がない。
「それより飯食いなよ、ほら!」
そう言いながら缶詰のチョコ風味パンを投げ渡し、礼を言いながらキャッチして受け取り開けて食べ始める朔。
「もうちょっと甘い方がいいなぁ......パクってきたチョコまだある?」
「ある、アルコール入りの奴ね。ほい」
また投げ渡し受け取り食べる朔。
(意外と動体視力あるんだぁと思ったけど元剣道部で男だからそれはそうよね。好きな人なのに流石にナメ腐っていたわね)
内心、無意識に身体能力面では見下していたブラン。なんせ体格と経歴が違い過ぎるために仕方の無い事だが、何回も朔に助けてもらっている事を忘れている。他者からの善意を当たり前と思い始める事は危険であるが別にそう言う方向に進んではいないので現状は大丈夫ではある。
「チョコレートソースとかハチミツとかもパクりたいなぁ」
「それより意外に行くとこ行くとこに物資が余ってるね〜......まあ中で人死んでいたりゾンビがいて臭すぎて吐きそうになるけど......」
「多分そのゾンビと一緒に一般人が自衛隊に殺されているからじゃないかな......」
3人は黙ってしまった。
「......映画でも軍は信用ならないって言ったけど率先して人間狩りするのが意味不明だよなぁ............限られた物資だからかなぁ。でも反乱している勢力がどっかにいるだろうし、そっちの方と合流するのが1番かもしれない......どこの駐屯地の自衛隊はまともなのかな......」
「そこがラジオ放送してくれれば良いのにね」
「もし小規模集団ならイカれている方の奴らに位置だけ知られて空爆されかねないし......難しいね。多分今彼方だけで出来る通信で結集しているのかもしれない。どこかの主人公様がさっさと諸悪の根源を滅してワクチン作ってくれないかなぁ」
「前も言ったけど自分が主人公だと思って生きてよ〜朔が世界の救世主になるんだよぉ〜」
そう言いながら怪我のことを忘れて強く抱きついてくるブラン。
「痛い痛い............それは無理だ、主人公らしい姿の小谷は死んだし......いや、俺が殺したし......どちらかと言うと俺は主人公を殺してバッドエンドに向かう悪役なのでは......」
「いや、あいつの方が悪役でしょ、私と結婚する寸前でも浮気していたし!私より全く知らん女選ぶし!絶対私の方が可愛いし!!......それに打ち勝ったんだから世界の主人公でも救世主じゃなくても、私たちの主人公であり救世主だから。サーシャが言った通りね、だから精神を更に病まない程度に頑張っていこう!!」
そう言いながら飲んでた酒を朔に無理やり飲ませる。
「ぐばっ!............ぷはぁ......冷蔵庫のおかげで美味いな」
飲まされた事より冷えている事に感動する朔。
「あんまり入らないから考えないといけないけど冷やせるのは本当に助かるよね」
そう言いながら朔が持っていた酒の瓶を取って飲み始めた。
「ねぇ......それってグビグビ飲む様なお酒じゃあ無い気がするんだけど......」
度数数十度の物を普通にラッパ飲みしている事に困惑するブラン。
「大丈夫大丈夫ー!どうせ今日は休みにするんだから〜〜あとこれにはコーラを瓶の中に入れてるから度数は低いから......まあコーラを入れる容量分はストレートで飲んだけど......」
「まあ俺も休まないと頭の傷、火傷、肩の痛みとか治らんよな......火傷はもう痕もほぼ無いくらい良くなったけど頭は自分で見れないからわからないな、ちょっと見てくれる?」
そう言いながらガーゼなどを取って2人に見せた。
「ん?すごいな?もう治ってる?流石、傷が治るのが早い血筋と自慢するだけあるね」
「いや、それにしても少し汚れているだけでこんな綺麗に塞がるかなぁ......取り敢えず、綺麗にするね」
そう言うと血や剥がれた瘡蓋や垢を拭き取り清潔にしてゴミを窓から投げ捨てた。
「ありがとう、もう心配なのは片手撃ちして痛めたのだけかな。それもなんか全身が痛い様な......」
「最近、筋肉も昔並みに戻って来ているし痛みも筋肉が解決するよ!他を見る限りやはり筋肉は全てを解決する......」
と未奈は感心する。
「でも良くこんな食事で......あープロテイン飲み始めたね。いや、そんなに効き目が早く出る訳ないか......と言うか身長伸びた?私と同じくらいになってない?」
「アレだよ、一度鍛えた筋肉って衰えても鍛え直せば再度筋肉がつくのは早いんだよ。あと消費カロリーが増えて食事量が減ったから痩せて筋肉が表面に出て来て、更にムキムキになった様に見えるだけ。でもチビだとつけれる筋肉量は少ないんだよなぁ〜身長に依存するから......実際、運動部現役の頃も胸筋だけは何故か全くつかなかった......あと身長は靴を履いているからじゃ無い?」
「そうかなぁ?まあ私達も朔に負けない様に鍛えんとね......サーシャにステゴロで勝てる気はしないけど......」
「そりゃあ専門だからなぁ......」
「こんな言い方して申し訳ないけど負けたら私に取って相当恥な事......」
「そりゃあ本気でやっていたのだから、そのくらいプライドないとな!俺も頑張るかぁ、頑張るとか努力って面倒で大嫌いだけどよ」
「あんた大体サボって頑張った事ないでしょ......」
こんなどうでも良いことを話して、パクったゲーム機などで遊んで、スマホで自撮りしたり日記を書いていたりとする事して翌日までぐっすりと寝た3人。次は何をするか話し合おうとする。
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