第11話 ほぼALLリセット、真に知識を活かす時が来たけど......
夜になり目立たない様に空いてる駐車場に停めて電気を消して車内で潜んでいる。そして泣き疲れて落ち着いてきた朔は2人に頼み事をする。
「すまない......一応大人なのに泣き過ぎた......」
「身内の死の悲しみに年齢は関係ないよ」
「気にする必要は無いよ、私の両親も多分死んでるし......」
未奈の両親は彼女が家を出て行った後に遠くに引っ越してしまった為電波の無い今は安否確認がほぼ不可能であった。
「............多分大丈夫だよ......」
これしか言えない朔。少し寒い為に後部座席で3人身を寄せていた、少しの沈黙が続いたが朔がある事を思い出してそれを破る。
「あ......あのさ、時間が少し経ったらさ俺の家に行ってくれない?......両親の遺体............状態は酷いだろうけどこの手で弔いたいんだ」
思い出してまた泣きそうになるが耐えて言う。
「......遺体を見たら一生癒えない傷を心に負うかもしれないよ......」
とブランが心配して言う。
「......わかってる......わかっているけどっ!......そこに遺体があるってわかっているのに何もしないのは嫌なんだ。俺の家は無宗教だから特に何かする訳でも無い。遺体の状況にもよるけど2人をほぼ完全に骨にしてそれを一欠片ずつだけ手元に持って、あとは崩れた家とかに散骨する。俺の我儘だ、ダメなら1人で行くからどこかで待ち合わせよう。だから一時離脱する事だけでも許してくれ......」
こんな事を言う理由は、家族の亡骸があるのがわかっていて行動をしないという事は、そんな自分を許せないというか気持ちが強かったからだ。
「......あんたねえ、私は今の朔と一蓮托生だと思っているんだから......付き合うよ。あのクズより信用できる気が強まっていくのはこんな状況だからかな......」
と少し笑う未奈。
「私も地獄の底まで着いて行くつもりだからっ......助けてもらった恩は返すからッ」
必死に言うブラン。その2人の反応に号泣する朔、だが何故ここまで好いてくれているのか考えても吊り橋効果くらいしかよくわからないので若干恐怖している。
家もない車の中で寝る事になった為に朔は薬を飲まずいつでも対応出来る様にすると言ったが、いいから寝ろと2人に言われたので小谷から奪った89式小銃、9mm拳銃、手榴弾(破片、煙幕)などの使い方をオタクの知識範囲で説明し、特に普通にただ止まって構えて狙うだけでも意外と重く照準がズレる事を強く教えた。その後、薬を服用し2人に抱かれ眠りについた。良くも悪くも夢は覚えていない、両親に会えたかもしれないし悪夢を見たかもしれない、だがそれは朔も知らず眠り続ける。朔は目を開いた2024/11/22の朝9時過ぎ、車は走っていた。
「............」
(顔に柔らかいモノ......ん?なんかスースーするな......?)
そう思い目を開けるとブランの太腿の上に自分が乗って胸に頭を埋めていたのであった。
「なっ!......びっくりした......えっ??待って?ブラジャー着けてないの??クーパー靭帯痛めるよ?」
(こんな状態で寝ていたって赤ん坊かよ......俺......)
柔らかい物はブランのノーブラ爆乳、スースーする匂いは汗拭きシートの匂いだなと理解した。朔はブランがノーブランとくだらない事を言いかけたがやめた、いつもの元気さがあったら言っていた。
「あ、おはよ〜、ブラジャーはね〜汗かいて気持ち悪いから外しているの。それを改善する為に今は服屋に向かっているの、ショッピングモールだったら沢山あるかなぁ......でも、ピッタリなのあんま無いからなぁ」
その言葉を聞いて嫌な事を思い出す朔。
「......またゾンビ作品とかの話だけどもうこんなにパンデミックが続いて時間経っているとショッピングモールとか大きい建物は何かしらの集団に占拠されている可能性が高いから避けた方が良い............」
「......朔の言う事は割と当たってきているし......古着屋とかしま⚪︎らに行こうか......もうこんな世界だからファッション気にしても意味ないからね......意味ないよね......?」
未奈はファッションを楽しむ方なので少し辛い判断である。
「......可愛いお前達が見たいしもっとなんかブランド?物とか売っている所でいいよ、今なら命かければ全て無料だし。まあ、よくわからないけど俺はこの89式で守るから......ってどうでも良い話だけど俺はカルバ⚪︎クラインの下着がエロくて好きだ......」
未奈がそう言う人物なのは知っていたので気を遣い言う。あと傷心している割にどうでも良い事も口走る。
「......そう気を遣ってもらえるのは嬉しいけどナビ無いから............あ、カーナビって衛星通信って奴だからまだ使えるんじゃない!??」
そう思い道路のど真ん中で止まり埋め込みタイプのカーナビを操作すると機能した。
「よっしゃ!!カル⚪︎ンクラインって単体で店舗あるのかな......あるのかな?でもやっぱりモールの中にあるのが近いね......どうする?」
「サーシャはどう?他にもブランド?はあるだろうしモールに忍び込む?」
(クールに可愛い姿とかセクシーな姿見たいなぁ......)
親が死んで萎えていたのに、ちんちんは正直なので危ないと忠告した本人が1番行く気になっている朔。
「こっちには手作り含めて武器は大量にあるし大丈夫だろうし行こうか?取り敢えずリュックから車に残す物を分けるから......」
そうして道中でゾンビを避けながらコ⚪︎ーンに到着するが最後まで追ってくる元気な奴らもいた。
「ああああ!!まだ着いて来てるっ!2人は中にいてっ」 バタンッ!
到着しても5人も走って着いて来ていたゾンビを始末する為に1人で車から降り、スレッジハンマーと取り回しの悪さをカバーする為の拳銃を持って出る。
「馬鹿っ!あんたはまだ怪我人って何度言ったらわかるの!」
と89式を持って未奈も出るが朔はその間に3人始末していたので驚いて止まってしまう。
「ああっ!ゾンビって噛むんじゃ無いのかよっ!普通に殴ってくるじゃんっ!痛いよぉ......」
情けないのか勇敢なのかわからない情緒不安定な朔は、残りの奴の攻撃をスレッジハンマーの持ち手で受け止め、そのまま横に振りかぶり1人が吹っ飛び、もう1人が襲って来たのをプロテクター装着の腕で顔をぶん殴り腹を踏み念入りに射殺する。
「最後に弾き飛ばした奴をチャカでハジく......」
そうくだらない事を言いながら首と頭に数発ぶち込み終わり車にゆっくり歩いて戻ってくる。
「......ここ最近で朔はかなり痩せたなと思ったけど............」
ニートにしては異常な程に強いなと思う未奈。その姿に高校生時代の剣道をしていた頃を思い出す。
「小学生の時は数年だけイジメられていたから喧嘩していたし、中学もクソ不良学校だったから喧嘩慣れしているから............なんかすぐに死にそうなクソ雑魚イキリ野郎みたいだな......」
みたいではなくそうである。
「......確かにあんたは高校でもチビの割に血の気多かった気がするな......」
「それはただ短気なだけ......研究結果ではチビほど喧嘩っ早いらしいからな......」
と暗くなりながら自虐する。
「......いいから準備して入ろ............」
何もフォローできない未奈。
「......っす......ちょっと騒ぎ過ぎたしね......」
そうしてモールに3人はフル武装で入り少し進むと凄惨な光景が広がっていた。
「......頑張って占拠してたんだねー............」
「みーんな死んじゃってる......うぅ......臭い......冬なのに......」
「広いとは言え屋内で臭いが籠るから......うわっ......中身出ちゃってるよ......」
3人が見た光景は必死こいてバリケードを作って立て篭もったのであろう集団の死体と多分ゾンビの死体が固まって倒れていた。
「俺らの行動が遅いから定番の展開させられないで済んだね.....綺麗な死体から使える物を探そう、触れる前に死んでるか殴って確かめてね......と言ってもぐちゃぐちゃになっているのもあるけど......」
「にしてもコレは人間が壊したとは思えない壊れ方な気が......」
ブランは疑問に思いつつも、衣類より先に死体漁りをする3人。だが収穫は無く拳銃が1つあったが血塗れな上に弾も無さそうなので感染リスクを考え無視した。
「......こいつら何を思って立て篭もったんだ......武器がしょぼいし飲食物も無い............身体を食い荒らされた様な気もしなくないかもう漁られた後か?それに、よく見たら血の足跡が不自然にある様な......ん?これは手のひらか?」
「考え過ぎだよ、早く行こ」
と未奈が手を引いて衣類の店の方に行く。
「わあ!手付かずだね!」
と喜ぶブラン。
「服は後回しなんだろうね。これからもっと寒くなるから凍死しかねないのに......まあ順序で言ったら餓死が先だから食べ物優先が当たり前か......2人で漁ってきていいよ、見張るから。こう言う時に実は尾行されていて不意打ちとかが多いからね。89式貸して、俺の武器と交換して」
と未奈から防弾ベストと弾倉6個と89式とナイフを渡され装備した朔は見張る。その間に2人は急いで試着したりしているのが見えたので[ゆっくりで良いよ、まだ回るんだから]と言い見張り続ける朔は異変を感じた。
(ん?この音は走ってる!?何かが!)
そう思い2人には音を立て無い様に伝えて忍び足で辺りを見る。そうすると生きてる人間が全力疾走していたので構えたがこちらに気づかず何かから逃げている様であった。
「な、なんだ?ゲームなら銃撃戦だろぉ?......い、いや、まだ音は来た方からしている上に、あいつらがこちらをスルーしたならこの展開は......」
そう呟いていると逃げてきた人の方から約3メートルある全てが細い変なモノが走って来た。
「っ!?!?や、やっぱりだ......ゾンビゲームなら今ムービーでそんであいつがこっちに気がついて......」
そんな事を話して棒立ちしていたので普通に気づかれてしまう。
「んがごぎ!?!!ファー‼︎‼︎」
キリン?馬?の様になった異形のゾンビ、足より長い手で四足歩行し顔も縦に伸びて筒の様になっておりガン開きの複数の眼がこちらを睨んでいる。何故か口は見当たらないが走ってる時の謎の言葉に、こちらを見つけた時に確かに大声で笑う様な声が聞こえた。
「ああ......なんで四足歩行してんのに3メートルくらいあんだよ......目ん玉複数あるし直立したら何メートルあんだ......か、勝てるのか......死ぬなら2人を守ってから......」
怯み後退りする朔、だが無意識に銃を構え戦意は喪失していない。2人も表に出て来て見てしまい叫びそうになるが耐えたが無駄に多い眼で見られてしまう。
「ふんぎゃろっ!!」
そう叫びこちらに走って来る、尋常じゃ無い迫力に朔は叫びながら撃つ。
「こっちにぃ来いッ!!2人には近寄るなぁっ!!!!」
(父さん、母さん力を貸してくれ......)
錯乱するが照準は冷静に細い手足目掛けて撃つがほぼ当たらず胴体に何発か程度、現実ではゲームの様に弾は真っ直ぐに飛ばない為に思いは届かず。
「んばぼっ!んばあ!」
何を言っているのかわからない化け物は朔に突進して吹っ飛び、白い壁にぶち当たり朔は頭を打ちつけてしまい、壁にも垂れる様に倒れるとその壁に血がべったり擦れる様に付いていた。それを見た2人は悲しむでも無く激昂する。
「朔ッ!!!てめぇッ!その薄汚え下半身砕いてやるッ」
スレッジハンマーに遠心力の力を加え脚を思い切り殴りへし曲がる、そこにさっき受け取った拳銃を至近距離で同じ場所に撃ち続けると奴の自重で千切れて態勢を崩して朔に何かしようとしたのを防ぐ事に成功。そしてブランも朔の自作銃二丁持ちで合計5発を頭に目掛けて撃つと運よく1発だけ当たり化け物は苦しみ叫ぶ。
「ばぁああおぅっ!うぎぎっ............ぎぎ......」
呻きながら動かなくなる化け物、2人はその先にいる朔に急いで駆け寄る。
「早く消毒っ!血を拭いてガーゼ当ててタオルとかで圧迫して止血しないとっ」
涙も出ない程焦り2人は藤原さんに教わった各部位での怪我の応急処置のやり方を実践する中、意識はあった朔が言う。
「......本当に情けねえ......こんな情けねぇ死に役を知識でなんとかしようって足掻いてんのに助けてもらって生存って......」
と自嘲する。
「! 意識はある!流石タフさはすごい」
と未奈が喜ぶ。2人は朔自嘲を無視して彼の真横で治療を進めると朔が一言だけ言う。
「......またか」 「「?」」 ダンッダダダンッ!
また彼女の背後の危機を救った朔。化け物は目玉があった所がどうしてか口になり舌を伸ばし音を立てず捕食しようとしてきた、そこの穴に何発も朔はお見舞いしたが片手で89式を撃った為に反動で肩を痛めた。
「良かった......よ......肩が痛い......だが脱臼はしていないな」
そう言いながら手を動かす姿を見て2人は意識はハッキリしている様だと判断し油断した事を謝罪する。
「焦り過ぎた......マジでごめん......」
「またしてもごめんなさい............でも無茶し過ぎ......」
「わりぃ......モブ気分が抜けないんだ、サーシャと約束したのにな......っ痛って締め付け過ぎ......」
「朔が1番
と未奈は少し怒りながら言う。
「......まあな............それより俺は思ったよりダメージを他に受けて無いみたいだから離れよう......ここまで身体が丈夫とは両親に感謝だな............あの変な足跡はこいつだったのかな............そりゃあこれが無差別に暴れたら生者も死者も蹂躙されるわな」
そう言いながら壁に手を付いて立ち上がる。
「......火傷の包帯も取れて無いのに頭部にも出血って......見た感じかなり浅いから外傷としては大丈夫だろうけど、時差で来る脳震盪とかはわかりっこないし、それだと朔が苦しんで死ぬのをただ見る事しか出来ないから......私............その時はどうしたら......」
と未奈は憂う。
「......無いって励ましたいが結構な音立ててぶち当たったからなぁ............まあ、その時はその時。服の集めを再開してきていいよ、応急処置ありがとうね2人とも」
2人は拒むが後々来る方が大変と説明して継続させた。その間に化け物の写真を撮り調べる朔。
「......これは......んん?ナナフシみたいに全身が本当に細い......こんな肉体でどこからあんなスピードとパワーが............肋が飛び出てツノというか何というか......頭は完全に縦に細長く奇形になっていて元の人物が誰か絶対にわからない......眼兼口は幾つもある............この個体は男か............ちっちゃいな、埼玉県だもんな......」
とブツを見てブツブツ言いながらも化け物の観察を続ける。
「あまり臭く無いという事は感染して即変異したのか?これはゲームとかである定番の変異ゾンビか?それとも稀なボス系ゾンビか?」
そう言いながらも返されたハンマーで全ての手足を折っておいた。[こうのは帰りにまた追ってくるパターンだからな]と呟き頭を最後に潰そうとするが、そうしていると寸前で2人が戻って来るので手を止めた。
「ん?終わったのか?」
「うん......てか、運動すんなし、ハンマー没収!この88式?を持っていて」
「89式だよ......ごめんね、不安の種は全て摘んでおかないと気が済まなくて......行こうか、食糧もほぼ確実に少しはあるだろうし」
そうして3人は屋内にいるゾンビをなるべく銃を使わずに処理して色々集めて車に戻る。
「広くて大変だったが食い物も服も武器の材料になりそうなモノと色々手に入ったなぁ......ただ残弾は89式は予備4マガジン+装弾している1マガジンに拳銃は2+1しかないな」
「うーむ......中々警察官と自衛官の死体がない......多分持って帰っているんだろうなぁ」
「ありえるね......それに全ての警察官と自衛隊の人達が殺戮をしている訳ではないから見かけても襲う訳にいかないしね......」
「まあ、朔も元気そうだし良かったよ!」
そう言いながらエンジンをかけて発車。
「ふぅ〜このガム美味しいのよね〜............??」
未奈は上機嫌で運転しているとドカドカ地響きが遠くから聞こえてきたのに気づく。勿論、2人もだ。
「......はっ!し、しまった......奴の頭は潰していないっ!!しくじったぞ、クソッタレッ!」
そう車内で叫んだ瞬間に自動ドアをぶち破って折れた脚でこちらに向かって走って来る、先程の化け物であった。
「ぐれぇろぉぅ!!!ぐばぁ!!!」
と激怒したかの様に1つの眼以外を口にしてこちらに走って来る。
「イヤー‼︎?」
甲高く叫び未奈がアクセル全開で走り色々ぶち破って道路に出たが追ってくる。
「おいおいおい!!!今時速何キロで走っているっ!??」
「今事故は怖いから70キロ!!」
「じゃあ何であいつはジワジワ近づいて来ているんだよっ!脚は折れて不完全なのにそれで走って約時速80キロも出るのかっ......俺が窓から身を出すからサーシャは落ちない様に俺を掴んでっ」
そう言うと身を出し89式のアイアンサイト越しに奴を狙う。
「
焦ると口が少し悪くなりロシア語やフランス語が出るブラン。
「ああ!未奈ァ!減速してそこを曲がれっ!」
「えぇえ!?」
言われた通り曲がると奴も曲がり追って来るが思い切り転ぶ。
「バックしろっ!近距離で必ず殺すっ」
言われた通りバックし立ちあがろうとする化け物に近づき約10発頭に叩き込む。
「ぐぼろぅぶげぇぇばぉあ......」
化け物は最後の足掻きに口を開いてこちらに飛びかかろうとする。
「発進しろッ」
そう言いながら手榴弾を奴のデカく開いた下品な口に放り込み食べてしまった。ドゴンとくぐもった様な爆発音が鳴ると奴は伸びた胴体と一体化した首から上が吹っ飛んで動かなくなっていた。
「ひぃ〜!!ペーパードライバー気味の私には酷だよぉ〜〜!!!」
泣きながらアクセル全開でその場から逃げた。
「すまんて、でも助かったよ。ありがとう!」
2人はこちらの台詞だよと思った。そして朔が化け物を倒した事にカッコ良さを感じだが 少し引きながら立ち去る。だが騒音を出し過ぎたのが原因で化け物の死骸の周りに人が集まる、そう自衛隊の奴らだ。
「た、隊長これは......ずっと我らを......我らの仲間を殺した化け物では......」
「うーむ......そ、それは間違い無い。ただ走り去った奴らを見る限り一般人だ。そいつらがこれを殺したのか?我らの管轄ではまだこの一体しかいないとの報告だが、こいつのせいで数日で使える民間人に我ら含め何百人死んだかわからない。なにしろ神出鬼没でとんでもない速さで走るからな......私も出会った時は狭いところに逃げ込めなければ死んでいただろう......」
負傷無しの本気の化け物の凄まじさを言う上官。
「これ何なんすか......わざわざ使い道の無い民間人狩りをしたのに集めた使える奴らはコレにやられちまって、反乱軍と化した一部の自衛隊との争いもあってめちゃくちゃで嫌になります......」
「......このウイルスは変異をとんでもない速度で続けていて全く予知出来ないと科学者が言った。最悪な事に映画の様な化け物は今後も増えるだろうと......それにウイルスのサンプルから人工的に作られたと判断できるモノも見つけたらしい......やはり、隣国の大陸の奴らの仕業でほぼ間違い無いと............そして裏切り者のメリケン野郎共は焦るあまりウイルスも持ち帰ってしまって世界中で流行り始めたと通信があったらしい。私もそんなに身分が高い訳では無いから伝聞ばかりですまないな。取り敢えず、民間人に処理されましたではマズいので言い訳を考えながらこいつを持って帰還するとしよう」
そう上官が言うと化け物の死体を手配したトラックに乗せて立ち去って行った。
一方3人は数キロ離れたところで停車して服を着替えて身体を清潔にして少し遅い昼食を食べている。
「いや〜ケトルパクって来たから熱い食べ物が食べれるなぁ。電気は車のシガーソケットにコンセントにする変換器を使えば良いだけだしな」
そう言いながらチーズカレーヌードルを食べる朔。
「でもコーラはヌルくて美味しくない......もう少し寒くなったら外に出せば冷えて美味しいんだろうけど......」
と未奈が物足りないと嘆く。
「............」
無言でお湯で戻す米類の避難食をアホみたいな数食べ続けるブラン。その片手には乳酸菌飲料2リットル。
辛い思いばかりの3人には美味く温かい食事というのは心に沁みる物だった。デザートにお菓子を食べ、サプリメントを飲み昼食を終えた。全員少しは穏やかになった。
「ふぅ......お酒美味しい............でもヌルい......」
そう言いながら甘い味の缶の酒を飲む未奈。実はもう既にかなりの回数飲酒運転をしているが、全く酔わない体質なので問題無いので朔は注意しない。それに朔も酒豪なのでなんなら一緒に飲んでいる。ブランは興味が無いので飲まないし2人も強要しない。
「何とかして冷やす方法を考えたいな......さっきの店のアイスコーナーにあった溶けたコリコリくんとかもう一回固めたら食えるだろ......ダメかな?俺腹弱いしやめよ」
自己完結。
「それはそうと冷やしたいね......そうだ!家みたいになってる車ってあるよね??名前を覚えてないけどアレの新車を探して奪わない?」
この世界に適応してきたブランは楽な生活の為に提案する。
「ああ。アレだ、アレだよ......アレ......そう!キャンピングカー!いいねー!この車乗っていると嫌な事思い出すし探そう!」
「......カーナビある奴にしようね」
カーナビのありがたさを理解した未奈は珍しく1番理性的。こうして3人はキャンピングカー探しに行く事になった。が懸念点もある事に気づく朔。
「でも化け物に追われた時速度でないし、燃料も入っているかわからないし、鍵も金庫とかの中とかだろうだから現実的では無いかも............」
「............取り敢えず、やる事は無いんだから行こうよっ」
どうしても窮屈な生活から脱したいブランは押すので本当に探し始める事にした一行であった。
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