婚活がうまくいかない

えいじぇい

第1話 平日の夜

 あまり年について考えたくない年齢になってきたが、30を過ぎてからもう3年ほど経った。自分が何歳かというのは直接的な表現をするのがはばかられるため、そういう表現になってしまう。


 会社から帰ってくるなり、ジムへ向かう。同年代の友達はちらほら結婚しては付き合いの頻度も減り、独身の俺は家に帰っても誰かが待っているわけでもない。やることはないけど、家でゴロゴロしながらYouTubeやらInstagramやらを見ていると、自堕落な生活を続けるだけで気づいたらおじいちゃんになってしまうのではないかとある時恐怖を感じ、平日は予定がなければジムに通うようになっていた。


 ジムに行き、まずはストレッチから。続いて、腹筋、背筋、腕立て伏せなどの自重トレーニングをしてからボクササイズのスタジオプログラムに参加する。ボクササイズのクラスにはもう何人も顔見知りの人達はいるが、世間話どころか挨拶すらするような間柄ではない。基本的には内向的な人間なのだろうか。ジムの中では仲良さげに談笑している人たちも散見されるが、その人達がジムの外側でも知り合いなのか、ジムの中で陽キャたちが自然と仲良く話すような間柄になったのかは謎である。


 ボクササイズのクラスが終わってから、物足りなさを感じて近所の公園を走ってから帰ろうかとふと思ったが、若い頃と違って無理をしないことが大事。自分を追い込まないことが健康につながるのだということを思い返し、家へ直行することにした。


 自分を追い込むべきタイミングはもっと若い時にあったかもしれない。


 いつからこんな人生になってしまったのだろう。周りの友達は結婚して子供が産まれている人もいる。結婚はしていなくても彼女がいて彩りのある時間を過ごしているし、週末はデートをしたり旅行に行ったりと羨ましい限りだ。


 あまり考えすぎると悲しい気持ちになってくるので、今日はもう寝ることにした。

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婚活がうまくいかない えいじぇい @masataso

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