矢野麻衣さんの行方について

管理人です。私はこれまでに得られた情報から、独自に矢野麻衣さんの詳細な行方を特定することに成功しました。そしてそれと同時に、今まで謎に包まれていた怪奇現象の一端を理解することができました。

まず最初に判明したのは、矢野麻衣さんの旧姓です。矢野、というのは当然結婚後の名字であるため、彼女には結婚前の旧姓が存在することになりますが、おそらくそれが”長岡”であることを私は突き止めました。なぜそう言えるかと言うと、まず”長岡麻衣”とニュースサイトで検索をかけると、複数の記事がヒットします。そのいずれも、周辺住民に対して迷惑行為を行う中年の女性の記事です。この女性の言動が、私には”矢野麻衣”さんのそれであるように思えてならないのです。矢野麻衣さんは娘の飛び降り死がXXの力よるものと疑い、その存在を恨んで自ら殺人未遂を犯すほどに精神的に追い詰められていきました。一度そこまでの状態になってしまった以上、容易には回復することは難しいでしょうから、その後も精神的に不安定な様子は続いていたことでしょう。

そこで出てくるのが、長岡麻衣さんです。記事によれば、彼女は過去に殺人未遂容疑で逮捕されています。しかも矢野麻衣と長岡麻衣の二人は年齢も完全に同じでした。私が想像するに、咲来ちゃんが死んでしまった後二人の夫婦は離婚してしまったのだと思います。父親である矢野遥人さんは名前が変わらなかったために、行方不明者ポスター上でも同じ名前のままだったのでしょう。一方で母親である矢野麻衣さんは、離婚後旧姓の長岡姓に戻ったのだと思われます。以下、矢野麻衣さんが長岡麻衣さんであることを前提として推理を進めていきます。

長岡麻衣さんは殺人未遂で逮捕された後、度重なる迷惑行為のために再び逮捕されているわけですが、出所後の行方は詳しくは明らかになっていません。そこで私は、長岡麻衣さんに直々に取材を申し込みに行くのはどうかと思ったわけです。この一件に関しては、他の誰に取材に行くよりも彼女自身に話を聞きに行くほうが、一番真実に近づけるのではないかと思ったためです。

しかしそこでネックになるのが、彼女の住む詳細な住所が分からない点でした。いくつかの記事には県名市名までは書かれていますが、それ以上に詳細な記載はありませんでした。そこで私はインターネット上をくまなく探し回り、某大手ネット掲示板に書き込まれたある書き込みに注目しました。皆様にはすでにご覧いただけていると思いますが、過去に複数回の無理心中事件が起こっているという例の家の話です。私はあの家こそが、長岡麻衣さんの住んでいた家なのではないかと考えたわけです。書き込まれている情報は少ないですが、長岡麻衣さんが入居したと思われる時期と、逮捕された時期に関する書き込みが詳細に一致します。さらに嫌がらせの内容や言動、中年という年齢までも。もちろんこの段階ではもしかしたら程度ですが、私は気になったのでこの二つの心中事件について調べられる限り調べてみました。するとなんと、記事になっていた県名市名と全く同じ場所にある一軒家で、同じ事件が起こっていたのです。おそらく昔は今ほど報道における規制がなかったのでしょう、詳細な住所や建物の外観、事件当時の現場の写真までもモザイクなしで取り上げられていました。私はそれらの内容を見て、こここそが長岡麻衣の住みかであろうと確信したわけです。私は後日、早速その家に一人で取材に行ってみようと思います。事件の当事者である長岡麻衣さんの話を聞けば、まだ見えていないなんらかの真実が見えてくることでしょう。


なぜ私が一人で取材に行くのか、についても説明しておこうと思います。実は私には最近、頭の中に聞こえる声があるのです。その声が誰のものであるのかは分かりませんが、私の未来を指示してくれているように思えてならないのです。その声によれば、XXという名はやはり呪われた名前で、この世に存在してはならないものだというのです。私はこの真理を正面から編集部の方にお伝えしたのですが、彼らは聞く耳を持たずにこの現実に正面から向き合おうとしませんでした。これはもう私一人がこの世の真理を明らかにするほかないと思い、編集部の方には後からすべ手をお伝えしようと思います。この記事が送られるのも、全てが終わった後になってからの事でしょう。

こんなことを言うと、読者の方の中には「それはただの幻聴」だとか、「思い込みからくる妄想に決まってる」などと言われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしこれは幻聴や妄想などではなく、私の頭の中に確かに聞こえる真理の声なんです。私はたとえ一人になろうともこの声に向き合い、真実を追求していこうと思います。私はこのまま特定された長岡麻衣の家へ向かおうと思います。そこで必ず、私の言っていることが正しい事であったと理解していただけることでしょう。

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