シャレにならないやばい物件を上げていくスレ(12)

名前:名無しさん@ホラー :2013/04/21(日) 13:03:22.81 ID:1GHytQc2S


ちょっと長くなるが、ガチでいわくつき過ぎて全く表に出てこない家だから投下しとく。


今はもう誰も住んでないんだが、不動産屋も全く話したがらないようないわくつき物件がうちの近くにあった。その家自体はかなり昔から立ってる一軒家で、見た目も別に変ったところがあるわけじゃない普通の家。でもその家、今から20年くらい前の事らしいんだが、当時バブルがはじけたせいで大借金背負った父親が妻と娘を道ずれにして無理心中やったらしいんだよ。父親は家族道ずれにして死ぬことを前から決意してたみたいで、死ぬ1週間くらい前からあちこち一人で旅行し始めてたらしい。多分死ぬ前にやりたい事全部やるつもりだったんだろうな。そして決行の当日、まず男はリビングでくつろいでいた妻を園芸用のロープで後ろから縛り上げて、そのまま絞殺したんだと。奥さんは最後まで苦しさからか叫び続けてたらしいんだが、男は耳もかさなかったらしい。だが当然、その叫び声は一緒に暮らしている娘の耳にも届くわけだ。母親の叫び声が聞こえて、リビングで何が起こったのか気になった娘は急いでその場に駆け付けてきたが、そこにあったのは母親の遺体とロープを持った父親の姿。とっさに恐怖を感じた娘は全力でその場から逃げ出しにかかったんだが、結局すぐに父親につかまってしまって、母親と同じ手口で殺されたらしい。

そんな風にして2人を殺した父親は、そのあと遺書を書きあげたそうだ。そこには身勝手にも自分が殺した二人に対する感謝の言葉と謝罪の言葉がともに書かれていた。そしてそれと一緒に、名指しで一人の男の事を強烈に非難する内容が書かれていた。実物を見たわけじゃないから確かな情報じゃないが、噂によるとそこに書かれていたのは会社で借金を作った責任者の名前で、男はそいつが作った借金を自分の責任にされたらしい。それで逃げ切れなくなって、その男の事を呪いながら強引な無理心中を遂げたわけだ。

ただ、これだけじゃないんだよ。あの家ではこの事件より前にも、同じような無理心中事件が起こっていたんだ。それは今から数えて40年くらい前の事。地元の人間なら知らない奴はいないんだが、その時このあたり一帯の広範囲で派手な公害事件が起こった。原因は街に隣接する工場が川に流した工業廃水で、そこに含まれてた有機金属成分が、近くに住む大勢の人間に病気をもたらしたと。ただ、その家に住んでたやつらは誰も公害の影響を受けたわけじゃないし、病気になったわけでもない。じゃあ何があったかと言うと、その家に住んでた男がその工場の職員だったんだと。それも、工場内で排水処理を担当する部門の部長だったと。ここまで言うと、うっすら何が起こったのか察する奴も出てくるんじゃないか?そう、男は未曽有の大公害を引き起こしてしまったという現実に押しつぶされて、家族を巻き込んで無理心中事件を起こしたんだよ。眠っていた妻と娘の腹に包丁を突き立ててな。さらにもうひとつ驚きの共通点があって、これは割と最近明らかになった事なんだが、なんでもあの工業廃水垂れ流しの真犯人は無理心中した男ではなかったらしいんだ。むしろ男は最後まで川に廃水を流すことには反対していたらしいんだが、上層部は勝手に排水を行う事を決定したらしい。責任者だった男に何の断りもなくな。だからたぶん、男の心には会社に裏切られたって絶望感もあったんだろうな。それで心中事件を起こしてしまうまでに追い詰められたんだろう。

さて、話を例の家に戻そうか。そんな目もそむけたくなるような無理心中事件が立て続けに起こっている家、誰も入りたがらないだろう?だから二度目の心中事件以降は、しばらく住み手がつかない状態が続いていたんだよ。ただ、一軒家の割に家代はかなり安いわけだがから、一時的に住むやつとか、内見に来るやつとかはいたらしいが、結局誰も家を買うことはなく、住み着くやつも現れなかった。不動産業界の奴らの間でもあの家だけはタブーの扱いになっていって、そのうち口にする者さえ現れなくなっていった。


それからしばらくの時間が経過した。あの家の近所に住む人たちも、もうあそこには一生だれも住まないし買わないんだろうなって思っていたその時、一人の女があの家を買いたいと言ったそうだ。あんなやばい家を買うだなんて、その女は相当やばい奴なんじゃないかって近所の人は噂してたんだが、最初見た時は全然そんな感じじゃなかった。俺もその女の姿は直接見たんだが、年齢はたぶん40歳か50歳くらいの中年の女だった。細身ですらっとした体型で、髪の毛はかなり長かったのが印象的だったな。少しあいさつした時もどこもやばそうな感じの人じゃなかったから、近所の人のうわさを本気にしてた俺はなんだか肩透かしを食らったような感覚だったな。

ただ、それから1か月くらいの時間が経過して、その女の様子は豹変した。最初は結構小綺麗な雰囲気だったんだが、その時はもう全体的にかなり清潔感に欠けるような印象で、肌も真っ白で今にも死にそうな雰囲気だった。ただ、目だけはやばかった。完全に見開いているっていうか、もう目を見ただけでやばい人だって誰でもわかるくらいにやばかった。瞬きもほとんどしてなくって、それがもうめちゃめちゃ気味が悪かった…。

しかも何が一番怖いかって、その女、家にいる間はずっと奇怪な叫び声をあげてるんだよ。詳しくは聞き取れないんだが、呪いがどうとか、名前がどうとか、罪がどうとか、もう普通じゃない滅茶苦茶な言葉を連発してるんだ。それがあまりにうるさいから、何度か近所の人が注意しに行ったことがあるんだが、すると女は動物の内臓みたいな物体を相手に投げつけ始めて、徹底的に反抗し始めた。そのうち家の周りに猫の死骸とかにおいのきついなにかの干物とかを並べ始めて、いよいよ誰も近づくことさえできなくなっていった。その女のせいで引っ越しを余儀なくされた人もいて、いよいよどうしたものかって周りの人たちが頭を悩ませてたら、そいつとうとう警察に捕まっていなくなったよ。

最初はまともそうだった女がどうしてあんなふうになったかって、俺には完全にあの家が原因だとしか思えないんだよな。意味わからん言葉を連呼し始めたことだって、気持ちの悪い行動取り始めたことだって、あの家に住み着く心中で死んだ家族の霊がそうさせてるようにしか見えない。

もともとボロボロの家だったが、女がいなくなってからはもう完全に廃墟みたいになってるよ。ああいう場所って怖いもの見たさの若者とかが突撃しに行ったりするものだろうが、あそこはガチすぎて誰も話題にしないし、そういうサイトとかで取り上げられることも全くない。だから誰も訪れない。本当に恐ろしい場所っていうのは、ああいう場所の事を言うんだなって思う。

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