実際に経験した怖い話を淡々と投下するスレpart32

名前:名無しさん@11周年 :2019/08/26(月) 20:07:28.88 ID:1FHytQw2S


これは正真正銘、今日まさに俺が体験した話。今思い出しても震えが止まらんから、もしかしたら誤入力とかあるかもしれんけど、大目に見てもらえると助かる。


俺は今日地元の仲間2人と一緒に買い物に行く約束してて、昼前くらいにみんな集合場所に集まった。俺が車出してたから、集まった場所からみんなで俺の車に乗って、それで目的のお店に行こうって話をしてた。ただ、集まった時間がちょうど昼時だったのと、みんなそろいもそろって腹ペコだったから、まず近くの店で腹ごしらえしてから買い物に行こうって話になった。で、俺たち3人はそこから車で10分くらいで行ける場所にあったファミレスに行くことにした。

まあでもそこは所詮しょせんは全国チェーンのファミレスで、別に特別なにか面白いものがあるわけでもない。だけど、仲の良い仲間たちで一緒に行くとそれなりに楽しいわけよね。仕事の事とか地元の事とかくっちゃべるうちに、もともと昼食食べるだけの目的だったのに話の方が盛り上がっていくわけ。でも一番の目的はこの後の買い物だから、俺たちは渋々ではあったけど盛り上がってた話を切り上げて、店から出ようかって話になった。

すると当然だが、会計をしないといけないよな?で、会計をするには自分たちが座ってた席を立って、いろんな人の席を横切って店員の所に向かうわけだよな?当然俺たちもそうやって会計しに向かったんだが、その途中、ボックス席に座って食事してる二人の親子の方に目をやったんだよ。っていうのも、そこにいたのは母親と娘だったんだが、母親の声が滅茶苦茶大きくって、言ってる内容が遠く離れた席にいる俺たちの所にまで聞こえてたレベルだったんだ。母親が小さな娘にご飯を食べさせながら、「もっと食べないと大きくなれないよ?好き嫌いしたらダメでしょう?」だの、「塩辛いのは苦手?でもこれを食べないと悪い気が抜けないでしょう?」だの、ほんとに大きな声で何度も何度も言いやがる。で、そんな大きな声で話をしてる奴がどんな顔してるのかなってちょっと気になって、仲間が会計してくれている裏で俺はそっとその二人の席をのぞき込んでみたんだ。なんなら他の客も迷惑してただろうから、文句の一つでも言ってやろうかって思ってたんだよ。

で、俺はそっと二人の席をのぞき込んでみたんだが、なぜかそこには一人の女しかいなかったんだよ。もう一人の娘?そんなのいねぇよ。だってそこにいたのは人間じゃなくて人形だったんだから。

女は自分の隣に座らせた人形に、注文した料理を食べさせまくってたんだ。しかもその人形が、しゃべる奴だか何だかの機能がついてる奴っぽくて、口の部分がもごもごって動くんだよ。女はその口の部分にスプーンを突っ込んで、人形に料理をたべさせてたんだ。

俺はその光景を見た時に血の気が引いて、まさに”怖い”って感情が心の中に湧き出てきた。こんなのは人生で初めてだった。関わったらまずいタイプの人種だと思って、一目散に逃げだそうとした。けど、その時ふと視線を動かしたんだ。女が座ってるボックス席の机の上に。

そしたらそこには当然、女が注文した料理がおいてあるわけだ。でも、そこにあった料理というのが”漬物”の山だったんだよ。別に漬物がまずいとは言わないが、ここにはおいしい料理いっぱいあるんだぜ?ハンバーグとかパスタとかカレーとか、いろいろとそろってるんだ。なのにそういうのを一つも注文してなくて、小皿に盛られた漬物が何皿も何皿も机の上に置かれていたんだよ。それを見た時、今度は”気持ちが悪い”って感情が沸き上がってきた。さっき感じた”怖さ”と合わせれば、もう生きてる心地がしないような感覚だったな。

仲間たちも不気味なその光景にすぐ気づいて、さっさと会計済ませて出ようぜって言いあった。だってそんなやばい女、関わるだけでもよくない事が起こりそうだろう?じろじろ見てるのに気づかれて絡まれたりしたらもうこの店二度とこられないし。だから俺は会計が終わった後、急ぎ足で出口に向かって歩き出したんだ。

…ただその時、仲間の一人がやらかしたんだ。黙ってればよかったものを、「なにあの人形…」ってぼそっと口にしちゃったんだよ。その声はうっすら俺の耳に聞こえたから、俺は心の底から今の声が女には聞こえていないでくれって願った。顔中冷や汗まみれだった。

でも、その願いは届かなかった。その声は女の元に届いたらしく、女はその場から勢いよく立ち上がって、俺たちの方をにらみつけ始めた。…その目もなかなかやばくて、完全に目を見開いてガンギマリって感じの目だった。怖くなった俺たちは全力でその場から逃げ出して、勢いのままに自分の車の中に乗り込んだ。後ろの方を見てみても女が追って来てるような様子はなかったから、俺たちはとりあえず一安心したわけだ。そのまま店から逃げるように俺たちは車を出して、ひとまず助かったなって言い合ったな。まじで間一髪だったなって。

で、それから先はもう恐怖とは無縁の時間だった。「お前もしもあの女につかまってたら人形にされたんじゃね?」とか、「あの店の店長と女ができてて、何か恨みでもあるんじゃね?」とか、自分たちで勝手に話を作っては盛り上がってた。恐怖の時間は、その時が過ぎてしまえばなんてことはないんだって思い知ったな。

その後俺たちはそのまま最初の目的地だったお店に行って、各々が狙ってた商品をばっちり手にできた。人に話せそうな経験もできたし、結果的になかなか悪くない休みだったなって言い合ってた。でも、その時だよ。

俺たちは店から出て、駐車場に停めた車を目指して歩いてたんだ。各々買ったものを持ってな。だからその周りには俺たちと同じように買い物袋を持った人が多くいるわけなんだが、その中に…いたんだよ。あの女が…。

女は両手いっぱいに買い物袋を持ってて、しかもその中はスーパーに売ってる漬物でいっぱいだった…。しかもやたらと周りをきょろきょろしながら歩いてて、なんだか俺たちがここに居ることに気づいているんじゃいかって雰囲気だった…。それを見た時、俺はもう怖すぎて言葉がでなかった…。

ただ向こうは俺たちの事には気づかなかったらしくって、結局そのまま去っていったんだよ…。俺たちは周囲を何度も何度も見回して、そのままそーっと車に乗り込んで事なきを得た…。その帰り道はさっきまでと違って、誰も言葉を発することはなかった。

結局俺は二人を駅の前で下ろして、そのまま何事もなく自分の家に戻ってくることができた。帰り道も相当に神経使ったよ…。なんだか道行く通行人が全員あの女に見えるようで仕方がなかった…。

それで、家の駐車場に車を止めて、さぁ一息つこうとしたその時だよ。それまではたぶん体が興奮状態だったから気づかなかったんだが、急に車の中から変な臭いがし始めたんだ。何の臭いなのかはパッとは思いつかなかったんだが、なんか水っぽいような、刺激の強いにおいだった。でも別に車の中に刺激臭のする物なんておいた覚えはないから、俺は自分の周りをきょろきょろと見回し始めた。…そしたら、運転席の足元にあったんだよ………強烈なにおいを放つねっとりとした漬物の山が…。

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