第3話 心にもない言葉
翌日、朝から最悪な気分だ。なぜなら今私の目の前を優菜とその彼氏が歩いているだ。なぜこんなにも二人でいる姿を目撃してしまうのか。見つからないようにゆっくりと歩き、校舎に入っていく二人を見送ってからしばらくして私も校舎に足を踏み入れた。教室に入ると優菜が
「今日ね、玲くんと一緒に登校して来たの!昨日も一緒に下校して、今日は放課後カフェで勉強会するの!」
と甘い雰囲気をちらつかせながら話しかけて来た。
「そうなんだ。良かったね!、」
心にもない返事をして、私は優菜に嫌われないようにする。もう意味のないことなのに。いっそ嫌われた方が楽かな、なんて考えていても結局は友達ですら居られなくなることが怖いのだ。
昼休み今日も優菜は玲くんと食べるの!とだけ言い残して私の元を離れた。私も席を立って屋上へ向かう。階段を一段登るごとに暑さが増しているように感じる。屋上の扉を開くと風が吹き抜けてきて心地よかった。見るともう既に苑立はいて、今日はフェンスのこちら側にいた。
「先輩来るの遅すぎ〜。今日来ないのかと思いました」
ヘラヘラと笑っている姿を見ると、なんか安心してしまった。もう、自殺する気は無いんだ、
「答え、考えて来てくれましたか?」
そう聞かれて思い出した。昨日付き合ってーとかなんとか言ってたんだった。
「なんで私があなたと付き合わなきゃいけないの?」
吐き捨てるようにいうと
「えぇ〜先輩が付き合ってくれないなら、今度は本当に飛び降りようかな〜。人助けだと思って、ね?」
そんなこと言われてしまっては
「分かった、付き合う」そう答えるしかなかった。
その返事を聞いて苑立は満足そうに笑って「また明日、待ってますね!」そう残して屋上を出て行った。
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