第2話 屋上での出会い

次の日 友達の葉山優菜が朝一番に

「ねぇ、聞いて!私昨日玲くんに告白されて、付き合うことになったの!美鈴はずっと応援してくれていたから一番に伝えなきゃって思って」

昨日告白現場見てましたなんて、言えない

「おめでとう!私まで嬉しい」

そう答えるしかない。

その一言を聞くと優菜は笑顔で自分の席に着いた。私,高校2年生水原美鈴(みずはらみすず)は昨日、友達が告白されている現場を見て失恋した。優菜が好きだった。嫌われたくなくて、優菜がクラスメイトである隅田玲を好きだと行った時応援するなんて口にしなければ良かった。まぁ、後悔しても遅いけれど。

 昼休みになると優菜は

「玲くんと食べる約束なんだ、ごめんね」

と言って足早に彼氏の所に行った。私は優菜以外の友達と言える存在が居ない。教室で一人昼食をとるのも気が乗らない。何より教室にはあの二人がいる。二人仲良くご飯を食べているところなんて見ていたくなかった。そのため立ち入り禁止となっている屋上に足を踏み入れた。(ここなら一人で昼食を取れるだろう)そう思ってお弁当の蓋を開けた瞬間、フェンスの向こう側に人影が見えた。ん?見間違えたかな?ここは立ち入り禁止のはずだし、フェンスの向こう側になんて誰が行くのか、そんな事を考えている時、フェンスのこちら側に青色の内履きが綺麗に置かれているのが目についた。私の通っている学校では学年によって内履きの色が違う。今の3年生は赤、2年生は緑、1年生は青だ。逆光でその人影が男子か女子かすら分からない。

そこで何をしているのか聞こうとした瞬間、その人影は1歩踏み出した。あぁこの人自殺する気なんだ。(この校舎は5階建だから頭から落ちたら確実に死ぬな。)でも止める気にはならなかった。じっと見つめているとその人影がこちらを向いて

「なんで止めないの?俺はあと一歩であの世なんだよ」そう言ってきた。

死にたい人のセリフではないように感じた。

「私は貴方となんの関係も自殺を止める理由も無い。それに私は自殺が悪いことだとは思わない。」そう言うと君はこちらに歩いて来てそっかと言いながら笑顔を見せた。近くで見て驚いた。さっきまで死のうとしていた人はありえないほど整った顔をした青年であったことに気付かされた。それに気づいた時、少し怒りが込み上げて来た。

「君みたいな美青年だったら今頃好きな人と付き合えていたかも知れないのに自殺なんて」そこまで言って我に帰った。これはただの八つ当たりではないか。謝ろうとした時「先輩は女の人がすきなんですか?」

と聞かれた。まぁもうどうせ自殺する人になら今の私が体験したことを話しても良いと思った。それで私は全てを話した。名前もクラスも知らない今日出会ったばかりの美青年に。全て話し合えると美青年は

「俺、1年1組の苑立蒼。俺先輩に興味沸いちゃった。俺と付き合ってよ。」

と軽々しく言ってきた。何を考えているのかさっぱり分からない。

「こっちは失恋したばっかりで恋するなんてあるわけないでしょ。そもそも私は男子を恋愛対象として見れない」

そう言い放つと苑立は

「男子とか女子じゃなくて俺と恋愛して下さいよ。それじゃ先輩また明日ここにきて下さいね!俺、先輩の弱み握ってるんですから」それだけ言い残してその場を去って行った。

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