第14話 お夕食の席では、もっぱらこの一週間のお話でした。
お夕食の席では、もっぱらこの一週間のお話でした。何をした、どこに行った。それから、出来るだけ一緒に食事をとるといおう約束について。
侯爵に、なんでふたりとも真面目に見合いをしているだと嘆かれてしまいましたけれど。それは互いに、真面目なお見合いだったからではないでしょうか。
お夕食の後。わたくしは一時フィルップラ侯爵家を辞することになっています。実家に確認しましたところ、そうなりました。
「お久しゅうございますな、侯爵」
「おや伯爵。ご自身でお迎えに来られるとは。お忙しい貴方にしては珍しい」
「娘の婚約がかかっておりますからなぁ。仕事くらい、陛下が肩代わりしてくれましょうよ」
父と侯爵は、勿論旧知の中です。派閥こそ違いますが、宮廷における派閥とはバランスを取る為のもの。いがみ合っていたりはしないそうです。勿論いがみ合っているお家もあるそうですけれど、それはわたくしには関係のない事ですわ。
なお今の二人には、共通の敵がいる、との事ですから、玄関口での応酬にも熱がこもろうというものです。
ちなみに、お二人以外の全員は少し冷めた目をしておりますけれど。
「そうそう。明日は陛下もいらっしゃるそうですよ。ご自身の推し進めた婚約ですから、立ち会ってもらいませんと」
父にエスコートされて、フィルップラ侯爵家の玄関をくぐる際、父がフィルップラ侯爵にそう伝えました。
「今宵の仕事だけではなく、呼び出しまでされましたか」
「見届ける責任がございますでしょうからなあ」
父も、フィルップラ侯爵閣下も。
にやりと笑って、眉を上げました。
なんて、悪いお顔をなさるのかしら。
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