幕間九話 イロハノート弐

 ◇五歳より、この世界に順応するための情報を綴ったイロハ個人のメモ。

 ※イロハの主観や推測が多く含まれており、本編に出ていない内容などもありますが、必ずしも確定情報とは限りません。

 あくまでも、他人の日記を『盗み見る』ような気持で見て下さい。


 

 <強化スキルに関する考察、検証と結果及び推測> 最終、九歳時点


 コア:強化

 ■■■□□□

 スキル:真強化

 身体強化(真)○

 部位強化(真)○

 無生物強化(真)

 スキル:真活性

 細胞活性(真)

 スキル:真付与

 無生物付与(真)○

 生物付与(真)



 スキルとは、自分の特性を元に授かった特殊能力のようなもの。

 この表現もあいまいで、どうとでも取れる考え方ではある。

 さらには、一人につき六個までという限界数まである、一体だれが決めたんだ?

 

 こんなスキルなんてある世界だ、日本で起業してからというもの、常に強くありたいと思って行動していた事でも影響したのか……。

 コアとは、自分の性格に影響を受けるだとか言っていたしな。


 

 【特性は強化】

 俺が知っている強化という言葉は、元々頼りない状態の物を補強する意味合いで使う言葉だと思っている。

 つまり、現段階で未熟な自分にとっては強化をすることで、弱さを補うという風に考える。

 そもそも、なぜ特性と言うのだろうか?

 コアプレートには『コア:強化』とあるにもかかわらず……。

 

 【第一のスキル真強化】

 初回ボーナス的に授かったスキル。

 真強化は、己の身体を強化してくれる大変便利なスキルだった。

 続けて部位強化も同じだ。

 無生物強化については、たまたまできたことで、こちらも便利ではある。

 この次の派生もあるのかという疑問はあるが……。


 【第二のスキル真活性】

 クマゴロウことイッカクグマから攻撃を受けたことにより取得した。

 己の肉体の細胞分裂の促進強化と言ったところだ。

 自然治癒力が格段に上がり、一回寝れば治るレベルのとんでもスキル。

 こんなもん現代に持ち込んだら、本当の意味で医療崩壊待ったなしだな。

 スキルの傾向から、確実にこの系統の派生があるとみてよい。

 細胞分裂の促進ときたら……細胞ひとつひとつを強くする的な? 

 

 こちらはなかなか検証するには敷居が高い。

 自分でやった検証も、少々やりすぎた感があり、今は自粛中。

 誰かが怪我した時か、動物にでも試させてもらおうかと思っている。

 

 【第三のスキル真付与】

 無生物強化の付与と獣に対しての細胞活性を行った結果、授かったスキル。

 この付与スキルについては、自分自身に与える影響を確認できなかった。

 恐らく、自分のスキルの強化や拡張といった効果の性質ではないだろうか。

 

 こちらもまた、三つ目の派生があると思える。

 この真付与というのは、恐らく俺のスキル限定という気がしてならない。

 つまり、まだ見ぬ残りの三つのスキルも付与に関係があるのかも……。

 生物、無生物ときたら……見えないものとか? まあ、それが何だって話だな。

 

 これまでは、同系統の重ね掛けについて、後の方に上書きされるというわけだったが、系統が違えばできるとも言えそうだ。

 今のところ、無生物強化を無生物へ付与、細胞活性を動物へ付与は検証でき、どちらも効果が見られた。

 

 無生物強化の無生物付与なんて、五時間も効果が持続するというとんでもない合体スキルとなってしまった。

 また、他者、この場合は獣にしかやっていないが、恐らく人も獣も細胞で構成された生物なら、細胞活性を付与できると思う。

 恐らくだが、この世界でこのスキルを持つ者は俺だけだと予想している。

 この世界の人間は、細胞がなんなのかという事を知らないのではないだろうか。


 これは、医者みたいなことをして稼ぐ……なんてこともできそうだ。

 特効薬とやらの供給が少ないか、コストがかかるものかで変わってきそうだが。

 王都へ行ったら、試してみるのもいいかもしれんが……目立つだろうな。


 恐らく、身体強化などを獣に付与できるのだろうけど、危険なにおいがプンプンするので検証はしていない。

 やはり、生き物に対しての実験は、躊躇してしまう。



 様々な検証を経て、やはり強化という特性は、他と何かが違う。

 なぜか、すべてのスキルに『真』の文字があるし、それぞれの親和性の上昇に違いがみられる。

 この辺りは、さらに検証が必要だ。


 

 

 <この世界の不思議な生物>

 

 この世界の常識というものが、地球の常識と似通っている。

 年月日、時間、四季、言語、カタカナ語、計算……あげればきりがない。


 似通っていることに違和感はあれど、カルチャーショックを受けずに順応出来ているのはこのお陰だな。

 しかし、生物はいただけない。

 とにかくキモいのだ。


 この世界に生息する生物は、だいたいが地球の何かと何かがくっついて存在している。

 ザリガニの腹からナマコのようなものが出て地中に埋まっている生き物、ザリナマコと命名したが……。

 後で聞いたら、あれは『ザリギンチャク』だと。


 他にも亀の甲羅がクラゲになっている『クラゲガメ』、ヒトデにカニのはさみが付いている『ヒトデガニ』。


 襲われたクマは『イッカクグマ』、見間違えたが、茶色の凶暴なクマは『カブトグマ』。

 それぞれ、イッカクとクマ、カブトムシとクマ、ってところか……とうとう虫まで合わせちゃいますか。


 フルーツも同様、大好物のサクランボリンゴ、これは『サクランゴ』という。

 他にもたくさんあるが、記す必要はない、だってほぼ全部だもの。

 


 <学校について>


 各校の受験日程についてのまとめ。

 星の数は難易度。


 【騎士学校】

 ☆☆☆☆☆

 王立ロイヤード騎士学校 十月


 ☆☆☆☆

 王都第一騎士学校    十月


 ☆☆☆

 王都第二騎士学校    十一月


 ☆☆

 王都第三騎士学校    十一月


 王国騎士団をはじめ、さまざまな地域の騎士団への配属を希望する者が目指す学校。

 

 攻撃武器のスキルに恵まれないと騎士学校受験が不利になる。

 上位校は、身体の基礎能力と状況判断力に地頭の良さが必要。

 騎士たる者、総合的な『礼節』と『品性』も欠けてはならない。

 ……父さんは、どうやって合格したんだろうか。

 


 【普通校】

 ☆☆☆☆☆

 王立スレイニアス学園  九月

 

 ☆☆☆

 王都総合学園      十一月

 

 ☆

 領都教育学校      随時受付


 特に尖ったスキルを持たない者が、自分の適性を見い出すための学校という印象で、在学中には各業界からの熱いスカウトがあるとか無いとか。

 

 普通校は、総合的な能力が求められる。

 上位校は、その上に特化した得意分野が必要になるようだ。



 【技術校】

 ☆☆☆☆☆

 王立メルキル商科学園  九月

 

 ☆☆☆

 王都ディアンナ技術校  十一月


 商科学園は、商人の卵、技術校は、職人の卵という具合なので、その分野に特化した者が目指す。


 技術校は、専門的な分野で特化した能力が必要。

 商科学園は、後の働き先に影響するほど重要となる。

 ……ポルタはどんなスキルを得たんだろうか、大丈夫かな?



 【特殊校】

 非公開

 王立サージェスタ学園  勧誘

 

 ☆☆☆☆

 神聖カロリス学院    勧誘


 特殊校については、情報が秘匿されており詳しく知ることができない。

 行ける者も、直接勧誘という推薦にも似た方式……現代で言うところの、公募制特別推薦ってところか。

 行くことがあれば、将来は要職に就けるとも言われている。



 同月でなければ、重複して試験を受けられる。

 理論値は最大、九月、十月、十一月の三回まで。

 入学試験に受からなかった場合、自動的に各領都教育学校へ。

 

 ちなみに俺の周りでは、やれ王都の学校だー! とか騒いでいるが、王国民のほとんどが各領都教育学校へ通っている。

 開拓団の人たちが、意外と優秀なのかも知れん。


 <王都への移動行程>

 今回は、ネイブ領より西回り経路を取る。

 約半月ほどかかると聞くが、飛行機などの空路は無いものか。

 飛行機を使って制空権さえ取れれば、世界を支配できるんじゃなかろうか?

 そんな知識は持っていないが、航空力学くらいは分かる。


 ネイブ領、ウエンズ領、ミッド領、ホグ領と続いて……王都メルクリュース到着となる。

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