十五話 スキル
しばらくして、リアムを寝かしつけてきたちょっと怖い顔をした母さんがやってきた。
……もしかして、聞こえてたとか?
再度三人で俺の特性とスキルの話をした。
母さんはそこまで驚いた感じではなかったけど、父さんと同じ意見のようで、絶対に他の人には話さないようにと念を押された。
ちなみに母さんの特性は『大地の水の心』だって。
特性に職がなく、水の属性だけって言うのはかなりのレア特性で、覚えるスキルも強力なものが多いらしい……あれ?
大地は属性じゃないのかな? と聞いたら、ある意味で属性でもあるって。
母さんの特性は、何やら特殊なパターンらしくて、ここで説明する事じゃないんだとさ。
何か法則があるのかもしれないけど、それは学校で学ぶことだ、と父さんに言われた。
その後、しばらく雑談して家族会議は解散となった。
◇◇
自室へ戻り、今日のことを考えている。
コアプレートを作って、特性とスキルが分かった。
その特性は『強化』で、スキルは『真強化』。
強化……か。
今までの話の流れから、強化に関するスキルを覚えていくことになるだろう。
他の人たちは、少なくとも特性から職や属性が分かるような内容になっていると考えると、俺の特性はあまりにも単純すぎるんじゃいないだろうか?
スキルに関しても、結局は強化なわけで……なんとなくだけど損したような気がしてならない。
さらに、両親があれだけ俺の特性やスキルを話さない方がいいと言っていたということは、いいか悪いかは別として、かなり特殊な部類に入るんじゃなかろうか?
母さんの特殊な特性に関して、いろいろと研究対象にされそうだった話もあるみたいだし……どうしよう。
それに、学校のことについても、そろそろ考えないといけないな。
トリファは、来年に『王立メルキル商科学園』に行くと言っていた……必死で勉強中みたい。
ロディは、王都の騎士学校の最高峰である『王立ロイヤード騎士学校』を目指すって言って、剣術の猛特訓中だそうだ。
騎士学校は他にもあるみたいで、ロイヤードに次いで『王都第一騎士学校』~『王都第三騎士学校』がある。
アレス様はロイヤードに通っているみたいなので優秀なんだろうな……ロディは大丈夫かな。
俺のような判断のつかない特性やスキル持ちは、普通校へ行くのが良さそうだ。
ということで、どうせならレベルの高いところへ行って将来の道を広げようと思う。
王都の普通校は、二校ある。
学力トップクラスの『王立スレイニアス学園』と、中級の『王都総合学園』。
ちなみに、どの学校にも合格できない、受けない場合は、各領都にある『領都教育学校』へ入学することになる優しさ仕様だ。
学校については、基本が六年制となっている。
入学したらどこの学校も基礎学を学ぶ一年間は辞めることができないが、それを超えれば退学も進学も任意となるらしい。
基本は、自由意思による転入制度は無いが、稀に推薦という形で後発スキルに恵まれた者が別の学校へ編入するケースもあるらしい。
そういえば、大事なこと忘れてた。
スキルの使い方についてだが、イメージや想像によって変わるし、使ううちにスキルとの親和性が上がり、いわゆる良く
親和性が上がれば、より効果が上がったり、使用回数が上がったり、新たなスキル効果が追加されたりと、いいことずくめだ。
では、待望のスキルを使ってみようか!
「真強化!」
………………。
うん、わからん。
イメージだよな、イメージか……目をつぶって集中する……。
真強化! 心の中で叫んだが、やはり変化は起きない。
うーん、イメージができていないのかな。
じゃあ、どう強化するのかを考えるか……よし、硬さで行くか。
強化して硬くするイメージで……。
「真強化!」
身体がほんのり暖かくなったぞ、これはキタかもしれん!
早速、床を殴ってみるか。
ゴトッ、ゴトッ。
おおー! 硬くなってる。
石で殴っているみたいな音がする、せ、成功だ。
あれ? これいつまでこのままなんだろう……。
解除っ!
コン、コン、解除も任意でできるのか。
強化かぁ~、他にどんなことができるんだろう、筋力の強化や感覚の強化とかはできそうかな、心の強化……はイメージできそうにないな。
できれば、メンタルの強化とかありがたいんだけどなあ。
持続時間とか、個別箇所に可能なのかとか、使用回数などを調べてみるか。
一つ出来たら二つの疑問が……みたいに、次々と疑問を検証していくのって時間がかかるけど面白くて好きだな。
トライアル・アンド・エラー、いったい何時ぶりだろうか?
懐かしく思いながらも、やってて心も若返ってきたような気がする。
疑問と言えば、コアプレートの色も気になるところだな。
俺のはパールホワイト的な乳白色で光沢があり透過性なし、ポルタのはピンクの蛍光ペンみたいな感じで透過性あり。
二人だけ見てもまるっきり違うコアプレートだ。
特にコアプレートの色については話さなかったけど、あんまり重要じゃないのかもしれないな、完全ランダム制だとか。
他の人のプレートを見る機会があれば、色の比較でもしてみるか。
もう、特性は決まっているし、覚えるスキルも強化に類するものだと思うので、
ということで、当面はスキルの練習と入学試験対策をやっていこうと思う。
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