第26話 インフルエンサー・阿久夜澪
「おお……阿久夜澪さん、やっぱりすごい人なんだなぁ。
私とはまるで違ってて、うふふふふ……」
私・
調べた内容、というのは他でもない。
少し前の私――VTuber『クロス・ユカリ』の配信を助けてくれた
あの時は詳しく知らなかったから同業者と思ってたんだけど、実際には、広義ではそうであり、詳細は少し違うみたい。
私的にはVTuber皆兄弟姉妹!みたいな感じでいきたいんだけどね(例外あり)。
光莉ちゃんがそういうスタンスなのも理由としては大きいけど、私自身皆仲良くしたいので、ええ。
さておき、阿久夜澪さん。
彼女は――なんというか、あらゆる意味で私と真逆の存在のようで、思わず笑えてきました。
VTuberとしての肩書は令嬢系Vインフルエンサーだけど、彼女の活動はVTuberだけじゃない。
まず基本の活動がインフルエンサーなのですよ。
なんと『阿久夜澪』は本名そのままで、素顔でも活動してるみたい。
元々リアルですごい美人さんなので、その容姿を活かして様々なPR活動を請け負ってるようだ。
で、そんな自分をさらに売り込む為にいろんなソーシャルメディアで活動中。
活動開始は去年からだけど、
そのフォロワーの数は、私とはもう目も当てられないほどに桁違いですよ、ええ。
で、その活動領域を新たに、かつより広げるために、最近VTuberとして活動を始めたみたい。
インフルエンサーとして得たトーク力や営業力は凄まじく、
早くも企業のVTuberさん数人とコラボしたりで、
VTuberとしても登録者数がうなぎのぼり中。
リアルとヴァーチャルを使い分ける、というか両方で活躍するタイプは、
両方に相応の自信がないと出来ないと思うので、
リアルでは引き篭もりな私としてマジすごいとしか言いようがないですね、ええ。
そんな人が何故私の配信に……?という疑問はある。
まあ炎上してたから、その辺りをリサーチしてたのかもね。
ともあれ、私は阿久夜さんに感謝のメッセージを送って、
彼女のOver The World Tubeやエックスターのアカウントをフォローした。
VTuberとしての活動全部は拝見出来なかったけど、今度少しずつ見させていただくつもりです。
ただ、それに対しての阿久夜さんのリアクションは端的かつ簡素だった。
『別に。お気になさらず。』
はい、それだけでございます。
ちなみにフォロー返しとかはないです。
いや、それを狙ってフォローした訳じゃ全然ないんでいいんです、ええ。
うふふふ、でもちょっと悲しい。
でもまあ、実際滅茶苦茶に差があり過ぎて、フォローされないのは当然だしね。
つり合いが取れたらフォローするされる、っていうのは私的にはちょっと悲しいけど、そういう考えが間違ってるわけじゃないし。
むしろ、恩人に認められるくらい頑張るって目標が出来たと思って……思って……。
「うう、私は駄目駄目だなぁ……」
その目標――阿久夜さんの再生数やらと、私の現状の再生数その他の数字の差を感じてがっくり肩を落とす。
前回の配信から何度か配信しているけど、視聴者数は減少気味です。
まあ炎上直後と比較するものじゃないかもだけど、それでも目に見えて減っていくと、自分の力不足を痛感して心が擦り減っていくんですがががが。
トラブルを期待されてたのかもしれないけど、あれ以降は大きなトラブルはなかったし。
トラブルがないのは良い事のはずなんだけどなぁ……何故だか悲しい。
でも、決して悲しいことばかりじゃないんだよね、うん。
「でも、うん、登録してくれてる人もいるしね、うふ、うひ、うひひひひ……」
VTuber『クロス・ユカリ』のチャンネルに表示されている登録者数『10人』の文字。
それを見ていると、もう笑みが零れまくりますね、ええ。
第3回目配信時点で、7人、それを見た時は思わず大声で喜んじゃったなぁ。
そこから何回かの配信――特撮語り配信やファンネーム会議配信――を経て、さらに3人増えたのでただただ感謝です。
足を向けて寝れないと思いながらも、
視聴者様方が何処にいるか分からないので、
立ったまま眠ろうか本気で検討するぐらい嬉しいのです、ええ。
私を登録してくださった皆様の為にも頑張らないと、うん。
問題はその為に何をすればいいのか、だよね。
具体的には、皆様が思わずチャンネル登録や高評価をしてくださるような楽しい配信、なんだろうけど。
そういう時間を意識して作り上げるって、相当に難しいよね。
光莉ちゃんの配信を見て学んだりしてるけど、今の私には敷居が高過ぎて難しい部分も多い。
それこそ、VTuberになったばかりの阿久夜さんから学ぶべきなのかもしれない。
直接話を聞けたりなんかしたらまた違うのかなぁ……。
まあ、そんなことは天地がひっくり返っても起こりそうにないけどね、うん。
――――――そう思っていたのですが。
「……え、えーと」
「――――――」
数時間後。
私は、うちのリビングで他でもない阿久夜澪さん本人と向き合う事になっておりました。
いや、その、なんというか……世の中奇々怪々過ぎません?(震え声)
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