第17話 こんがり丸焦げネット炎上(一部界隈)
「あぁぁぁー……昨日もやらかしたなぁ――はぁ」
2回目の配信から一夜明けて。
私・
初回は逆ギレで暴走、
2回目は感情的になって視聴者様を煽り、結果配信がグチャグチャ。
――途中までは良い感じだったんだけどなぁ……悲しい。
うう、しかし、こうもやらかしが連発とは。
やはり私はVTuberに向いていない……?
いや、向いてないのは最初から分かってた事だよね。
それでも――。
※脳内にVTuber・
うふふふ……うん、それでも、それでも目指そうと思ったんだもんね。
今も私はまだ手探りの暗闇の中にいる。
それでも――目指すべき光があるだけでも、まるで違う。
ああ、光莉ちゃん――マジ私の光ぃぃ!
ふふふ、気分転換と勉強兼ねて光莉ちゃんのアーカイブでも見ようかな見るべきそうしよう。
なんて事を考えていた時だった……私の携帯端末の着信音が鳴り響く。
「え? なんだろ……って、由璃ちゃんと、霞さんから?」
私の元同僚にして友人の霞由璃ちゃん、
そして、その
端末を見ると、その2人からの着信が10数件溜まっていた。
あ、因みに霞さんとは私のVTuberとしての姿、クロス・ユカリを制作するにあたって、連絡先を交換しております。
うふふふ、久しぶりに連絡先が増えて嬉しかったなぁ……って、それはさておき。
「えっと、なになに……ええっ!?」
送られてきたメッセージの内容を確認した私は、慌てて由璃ちゃんに電話した。
挫折した私とは違い、無事再就職した由璃ちゃんは今日お休みなはず。
由璃ちゃんと直接会う事はあんまりなかったんだけど、
休みの日とかは教えてくれてたんだよね、予定が合ったら会おうって。
うう、精神的余裕がなくて、中々会えなかったので申し訳ないです、ええ。
ちなみに由璃ちゃんに連絡を取ったのは、霞さんは現在状況が分からないためです。
……あと、流石にまだ由璃ちゃんほどには電話を掛け慣れてないので、ええ。
って、それはそれとして!
私は由璃ちゃんをコールしつつ、パソコンを起動、愛用のネットブラウザを立ち上げる。
広報用の呟きアプリ、エックスターにもログインして、と。
と、それと同時に由璃ちゃんと電話が繋がった。
『紫遠起きた?』
「うん……なんか
いや、その、教えてくれたから本当なんだろうけど、
私みたいな、霞さんがくれためちゃ素敵なボディ以外は、初心者以下の陰キャゴミ引き篭もりが炎上なんかするかなぁ……」
『少し前から思ってたけど、ネガティブ具合酷くなってるわね……。
いやまあ、そのめちゃ素敵なボディも炎上に一役買ってるんだけど。
まあ、とにかく見てみてよ』
私は言われるがまま由璃ちゃんの教えてくれた、該当エックスターの呟きを見に行った。
パソコンの操作をしやすいように、端末はスピーカーモードでっと。
「うわぁ……うわぁ……」
それを見て、私は思わず呻いた。
いやもう、なんというか、なんと言えばいいか分からないんですががががが。
そこには、
『悲報w新人VTuber、色仕掛けでもらった身体でイキるwww』
という文章と共に動画が張り付けてあった。
まあ、私ことVTuber『クロス・ユカリ』の配信の切り取りなんだけど、これがまたひどい。
昨日の配信にあった、
私の姿について、人気クリエイター『ランスロット』(霞さんのことです)制作なのか、という下り。
それがものの見事に捏造されております。
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字幕文字・視聴者――ランスロット先生におねだりして作ってもらったんですか?w(冗談)
字幕文字&音声・問題VTuber――『は?』(図星を突かれてガチギレw)
字幕文字――視聴者はあくまで冗談と伝えるも、問題VTuberはキレっぱなし。
しかも視聴者に喧嘩を売る始末。
字幕文字&音声・問題VTuber――
『そちらの方が必死に見えるんですが。
えっと、その……も、もしかして、私の気を引きたい、みたいな感じです?
ぷ、はははははは! ク・ソ・ガ・キw』
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私をからかってきたあの視聴者の人の発言がマイルドになった一方、
私の発言周りは声を低く弄ったり、笑い声の追加とかで悪っぽくされていた。
最後の発言は上手い事切り貼りしてて、ちょっと感心……って、そうじゃなくてっ!?
これだと、
ちょっとからかっただけの視聴者に図星突かれておとなげなく切れる女、みたいに思われるじゃないですかヤダー!?
しかもこうしてる間にも、閲覧者や拡散数が徐々に上がってるんですがががが。
製作者は――多分、昨日私をからかってきた視聴者だろう。
決めつけはしないけど、他にこんな事をする理由のある人が見当たらないので、ほぼ間違いないんじゃないかな。
最後の良心なのか、直接的に
……まあ、流石に
『ユカリが内人
だから噂と憶測でネットの一部が勝手に盛り上がってるみたい。
今はまだVTuber界隈だけだけど――その範囲ならこれは十分に……』
由璃ちゃんの話を聞きながら、私はその霞さんの言葉を思い出していた。
『ただ、1つだけ忠告しておくよ。
自慢じゃないけど、俺はVTuberの【親】としてそこそこ知られてる。
そんな俺が作った身体を使うのは、それなりにリスクもある。
1つだけでは波風が立たずとも、組み合わさって嵐になる事もあるからね。
気をつけてもどうにもならない時もあるが……それでも気をつけるといい』
「あ、嵐っていうか……これって大炎上じゃないですかヤダァァァァァァ!?」
『うん、そうよねぇ。いやぁ、うん、ある意味凄いわよね。
配信2回目でこれは。
えっと、その、なんというか……ど、ドンマイ?』
頭を抱える私への由璃ちゃんの励ましは嬉しかったんだけど……
その当該呟きのコメント欄は私への怒りが大多数。
私が配信したてなのもあって、実際に見てた視聴者の母数が少ないからなぁ。
どうしても、張り付けられた動画を見たまま信じる人が多くなるわけで。
いやぁ――えっと、これどうしましょう。
尚も積み重なっていく反応に、私は暫し呆然とするしかできなかったのでした……。
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