第2話 オシゴトできない大ピンチ?
「お、お金がないっ――!」
私・
――あ、はい、ゴミはいずれ片付けますとも、いずれ。
まあ、それはさておいて。
私がそれに気づいたのは、VTuber・
ふふふ、引き篭もりだから早朝でも深夜配信でも対応可能なのですよ(ドヤァ。
光莉ちゃんに投げ銭して――私は、そこからふと今の自分の貯金がどれくらいか気になった。
で、計算した結果に今現在嘆いております。
正確に言えばお金はまだあるのです。
私が引き篭もりになる前に溜めていたお金の残高、家族への生活費やらを数か月払ったりするぐらいにはどうにか。
あるんですが、このところ急激に残高を減らしております。
それは何故か――少し前からの推し活ゆえ。
あ、誤解をしてほしくないので先んじて言っておくと、決して推しの――光莉ちゃんのせいではありません。
偏に私の阿呆さゆえです。推しは絶対に悪くない(断言)。
数週間前、VTuber・源光莉ちゃんに出会った私は……大いに彼女に魅せられた。
簡単に言えばメロメロになった――だって素敵可愛いんですもん、光莉ちゃん。
いや、その、最初は光莉ちゃんがたまにやってる特撮談義配信のアーカイブを見たり、出会って以後の何回かの雑談配信を見るだけのつもりだったんですよ、ええ。
だけど、そうしてる間に、すごく光莉ちゃんを好きになっていった。
『みんな、生活を犠牲にしてまで私を推さなくていいからね?
勿論みんなからたくさん応援してほしい気持ちはあるよ。
でも、それってみんなが自分の人生を生きてるからこそできることだから。
私より、まず自分自身を大切にしてね』
雑談で話を聞けば聞く程真面目で優しい子なんだなって伝わってきたし。
それでいて、普段はどんな配信してるんだろう、って気になってみたゲーム配信では時々別人みたいなんだよね。
『ハーハッハッハッハ! 私の勝ちぃ!
再戦!? いいよいいよ! 受けて立ぁつ!!』
結構負けず嫌いみたいで、エキサイトする配信では――
『※この手のゲームで興奮して言葉が荒くなる事もありますが、
真剣勝負故のことなので何卒ご容赦ください。』
って注意書きの上、配信開始で光莉ちゃん自ら説明したりするし。
終わった後、暴走し過ぎた時申し訳なさそうにしょんぼりしてる光莉ちゃんもかわいいんだよねぇ……。
とまぁ、私はすっかり光莉ちゃんのリスナー・ヒカジュー(光莉の世界の住人の略称)だった。
そうして癒された私はその御礼に、
光莉ちゃんの配信へと投げ銭するようになったし、
Over The World Tubeという動画サイトでの光莉ちゃんのチャンネルのメンバーになった。
お金を払ってメンバーになると、限定配信を見たり、色々な光莉ちゃんからの情報をゲットできるので、ええ。
そんな調子でヒカジューをやっている内に、私の貯金は大きく目減りしていた、という訳です、はい。
「ううぅっ! こんなんじゃ光莉ちゃんに合わせる顔がないっ!!
光莉ちゃんの言葉に背くなんてヒカジュー失格だぁぁぁ!?」
そして、以前の貯金通帳残高から出金を手動で計算していた私は自らの愚かさに悔やんでおりました。
もし、これが日中でなくて、妹・
『うるさいんだけど? 部屋は散らかったままで、その上、騒音ってゴミを撒き散らすの?』
と怒られる(正論です)所だったと思う。
ちなみになんで自分で計算してるのかというと、銀行までは少し距離があって、そこまでは怖くて外出できないためです。
マジ、オソト、コワイ。
ともあれ、私は光莉ちゃんのお言葉に反してる自分が情けないです。
そして、他にも問題点があるんだよね。
「こ、このままじゃ光莉ちゃんを推せなくなるっ!?
それは嫌ぁぁ!」
このままのペースでお金を使っていたら、あっという間に貯金残高はゼロ。
そうなると、最優先の家への生活費は払えないし、応援……所謂推し活もままならなくなる。
そもそも家に迷惑は掛けられないからね。
なので、光莉ちゃんに出会わなくても、いずれは働かなくちゃならなかった。
それはまだ先の話だと思ってた――でもそうじゃなくなった。
そうである以上、どうにかお金を稼がなくちゃいけない。
だけど、それでも、正直まだまだ外は怖い。働ける気がまるでしませんね、ええ。
しかし、今のままじゃ、近い将来お金は無くなってしまうわけで――!?
(どどどどど、どうしようっ!?
な、何かないかな、こう、家にいたまま働ける、もしくはお金を稼ぐ方法!?)
株取引とかは私の頭じゃ無理だし、在宅でできる仕事に必要な技能は私には殆どない。
そうして、焦った私の耳に、光莉ちゃんの声が響いてきた。
『……だから、元気出してね?』
「幻聴!? あ、動画が自動ジャンプしたのかぁ……」
どうやら、いつの間にか過去の動画にジャンプしていたようだ。
過去の光莉ちゃんの配信が始まり、そんな彼女に投げ銭が送られ――――。
そこで、私の頭に雷が落ちたような衝撃&閃きが走りまくった。
そりゃあもうビリビリに。
「V、Tuber……?
も、ももも、もしかして、私でも、VTuber、なら――!?」
それは、引き篭もりになった私が、光莉ちゃんという
まあ、この瞬間は細かいこと全然考えてなくて、後々しっぺ返し喰らいまくるんですがががが。
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