第5話

「話…ですか?」


私は続きを促す。


「あぁ、まず君は今かなり目立っているよね。」


それはそうだ。超有名ヤーチャーバーの前で滅多と無いユニークスキルを見せてしまったのだから。


「恐らく君の情報が特定されるのも時間の問題だろう。ただでさえかなり高いレベル、それだけでも引く手数多だろうに更にユニークスキルを保持していると来た。これはもう国立ギルドが黙っていないだろうし君を自身のパーティー、私立ギルドに入れようとする者も大勢現れる。」


考えただけで嫌になってきた。


「その前にだ。私の事務所で君を保護…と言うべきかは分からないが、事務所の一員となって欲しいと考えている。」


「…え?」


「すまない、急だろうが理由を説明する。まず第一に君は人との関わりを避けているだろう?」


「はい…」


「それが何故かは聞かないがそれならば沢山の人がこの家に君の能力を求めて来るかもしれない、あくまで仮定の話だがこれは確実に訪れる未来だろう。」


私も薄々そんな気はしていた。多分このままいつものようにダンジョンに入り浸れば流石に気づかれる。ダンジョンの外で大量に出待ちとかされてたらバレかねない。


「だからこちらの事務所の一員であるという事にして君を勧誘などから守る、という訳だ。勿論給料も出す。それに事務所に君の新しい部屋を用意しよう。光熱費やその他諸々は私が負担する。」


「……」


悪くは無い提案かもしれない。事務所に所属しているとなれば勧誘をしてくる人間は居なくなるだろう。他所様の人間を引き抜こうとするのは同格の大手事務所でも無い限り出来ない。

それに「Y&Y事務所」は大手どころかアイドル業界の方でもトップを争えるレベルだ。そんな所にちょっかいをかける奴なんて居ない。


「…それは助かりますが…こちらにメリットしか無いのでは…?」


「そうだね。でもこちらとしても君にお願いがある。私の所で君を受け入れる代わりに君に、私の事務所所属として、ミカ達とパーティーを組んでダンジョンを攻略していって欲しい。」


「え、えっと、ミカさん達とパーティーをですか?」


予想外の提案が来て声を掠れさせるのを忘れてしまう。


「やっぱり声可愛いですよ所長!!!」


「あぁ、想像以上だな。あ、すまない。こちらの条件の話だね。」


無言で続きを促す。


「実はだね…君も知っているかな、後二ヶ月後に開催される日本中から数多くのダンジョン攻略者達が出場し、一位を目指して競い合うギルド対抗戦を。」



 

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