第3話

「んーー?あ…もう朝かぁ……」


私はベッドから起き上がりスマホを開く。

トークアプリのLIMEを使って所長に連絡をし始める。


「ミカ、起きたのか。用意が出来たら事務所に来てくれ。例のフード少女の件についてだ。」


「例の一つだけの手ってやつですか!?」


「あぁ、そうだ。あいつに頼むのは気が引けるが…」


「了解です!速攻で準備して行きます!」



♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

いつもの無駄に高いビルにある事務所に到着する。

「所長ー!ただいま到着しましたー!」


「早いな。よし、なら早速行こうか。」


所長は着いてこいと言って車を出してくれる。


「所長が車を出してくれるなんて。」


「なんせ、フードの女の子はミカがとびっきり美人だって言う程だしな。あの子をうちの事務所に入れれたらうちは間違いなく業界トップの事務所になる。それだけでも彼女を探す価値は十分あるよ。」


「な、成程…」


所長はあのフードの女の子を事務所に入れさせたいのだろうか。もし入る事になってしまった場合職場内恋愛ということになるのでは?

そんな事を考えていると


「おい、着いたぞ。」


「山田酒造店…?ホントにここであってますか?」


なにかとびっきり凄い建物にいる人なのかと思っていたけど全然そんな事は無かった。

良くあるような雰囲気のお店だ。でもシャッターは閉じている。いくら朝とはいえど他の店はもう開いている。閉まっているのはここだけだ。


「行くぞ。」


所長はシャッターを上げ、手招きする。

私も入り、暗い店内を進む。

所々の商品棚にお酒はあるが、酒造店というには数が些か少ない気がする。


「確か、このレジを…」


レジのボタンをピピピと早く連打すると商品棚が動き出す。現れたのは地下への階段だった。


「え、えー!?な、なんという仕掛け…」


まるで忍者屋敷かのような仕掛けに驚いていると所長は


「ここの主がこういう仕掛けをしなきゃいけないんだ。ったく、一々面倒な隠し方をするからな…」


とか文句を言いつつ階段を下っていく。

割と長い階段を下ると、そこには…


「やーあやぁ所長クン。久しぶりじゃーないかね?」


「出来ればお前には頼りたくなかったがな。」


「つれないことを言うんじゃないよ〜君と私の仲じゃないかー?」


「…小学生?」


「失礼な!?ボクはこれでも22歳なんだけど!?」


身長は150くらいの蒼い髪をした少…女?がいた。


「こいつはこう見えて凄腕のハッカーなんだ…見た目と性格を除けば一流なんだがな。」


「所長クーン、昔はあんなに私のことをベッドの上で無茶苦茶にしてきたのにね〜、人は変わるねぇ〜。」


「…え?」


「…昔の話だが私とこいつは元恋人だ。」


所長とハッカーさんの驚きの関係。


「あ、そうそう、私の名前は月見ルナ。気軽にルナと呼んでくれ〜、君の名前は知っているよ。百合島ルカ、チャンネル登録者200万人超えのアイドルも出来ちゃう系ヤーチューバーだね。」


「ルナ…さんと、所長は…え?恋人だったんですか…?」


言っておくが所長に恋愛とかそっち方面の話題は一切出た事がない。日に日に大きくなっていく自身の事務所と通帳を見ながら酒を飲む様な人だ。


「……そうだよ。」


「あの蜜月の日々は中々に忘れ難いからね〜。私は所長さえ良ければ復縁しても良いと思っているんだけど〜?」


「するか!まだあの約束を果たせてないだろう…」


所長は悲しげに遠くを見る。


「そんな事気にしなくて良いのにねぇ〜、あ、それより何かお願いがあって来たんじゃあないかい?」


「お前なら検討はついているだろう?」


「勿論!天才ハッカーを舐めるでないぞ〜?

君たちが探しているのはこのフードの少女だね?」


ルナが投影型キーボードを操作してくうちゅうにスクリーンを映す。

映し出されたのはあの私を助け出してくれた超絶美少女のロr…少女だった。


「残念ながら素顔はどの防犯カメラにも映っていなくてね〜凄まじい警戒心だよ。」


「え、防犯カメラ?なんでそんな映像がここに…?」


「ふっふっふ。私はハッカーだよ?防犯カメラ映像を盗み見るなんて朝飯前さ!勿論私は君の住所も知っているし、世界のありとあらゆる情報を時間さえ貰えれば取得できると断言しよう!」


人差し指を上に差し、ドドン!と効果音がなりそうなくらい自信満々に言ってのける。


「というかそれ犯罪なんじゃ…?」


「大丈夫大丈夫。足は絶対着かないようにしてるから。バレなきゃ犯罪じゃないんだよ?」


「いや犯罪ですよね!?」


「まぁまぁ。彼女の行方を知るためにもこれ以外手は無いんだ。お前だって何がなんでも見つけ出したいんだろ?」


「それは…そうですけど!」


「なら文句無しだ!それよりも彼女の行方だね?教えてあげても良いんだけど〜タダって言うのもな〜嫌だな〜?」


「何が望みかはっきり言えよ。怒るぞ?」


「所長クン怒らないでくれよ〜、そうだねぇ私の望みは…」


「「望みは…?」」


「彼女をここに連れてくる事!そして所長クンの事務所に私の部屋を作ること、この二つが条件だよ〜」


「わ、私の事務所にか…?」


「そうそう、最近一人で寂しくてねぇ〜どうせなら所長クンとまた一緒に過ごしたいんだよ〜ねぇねぇ良いだろう?」


「……ハァ、分かった。それは良いが何故あの少女を?」


「そんなの決まっているだろう!彼女をこの手で撫で回すんだよ!」


「「…は?」」


「彼女の声を分析したところあの声は間違いなくロリ!それも未発達前だ!年齢を推察するに恐らく肉体年齢は7歳程度、それに彼女が通ったルートを調べて、銀色の毛髪を発見した。それすなわち彼女は銀髪ロリということだ!しかも体長から察するに貧乳!!素晴らしい!そんなロリが現実に存在しているなんて!嗚呼…神よ!」


「所長、ちょっとこの人ヤバい人じゃないですか?」


私は割とおんなじ事をしたいと考えていたことに嫌気が差しつつ引く。


「そうだ、こいつは重度のロリコンだ。だから頼りたく無かったんだよ…奴の餌食になるからな…」


「背に腹は変えられないだろう?さぁどうだい?この条件を呑んでくれるかな?」


あの子をルナに撫で回させるのは嫌だ。でもルナの協力が無いとあの子には辿り着けない。


「あぁわかった。その条件を呑もう。お前もそれで良いだろう?ミカ。」


「はーい。」


「なんでそんな不服そうなんだ…」


不服ながらも返事をする。


「良かろう、なら彼女の住所をお教えしよう。

彼女の住所は………」


 




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