平安のお盆
鷹山トシキ
第1話
平安時代の8月9日、明日からお盆の季節が始まる夜、家族や僧たちは祭りの準備に追われていた。真夜中、私は近くの茶屋でしばしの休息を取り、家に戻ってから『物の怪物語』や『夕霧の物語』を読みふけった。アユミという名の遊女の活躍に感心し、彼女の美しさや強さに思いを馳せた。寺の稽古や相撲の話題も心に響いた。
8月10日、空には台風を思わせる不穏な雲が漂い始めた。車上荒らしを恐れ、貴重な品々を寺の地下に隠すことを思案するが、結局断念。今朝は近くの市で肉じゃがを手に入れ、朝餉を摂った。清掃婦を手伝い、座敷や庭の手入れを済ませると、商人の行き交う市場へ向かい、そこで本を探したり、木工細工の店を訪れた。道端の茶屋で餅を頬張り、冷えた茶を口に含んだが、最初に冷やすことを忘れてしまい、少し困惑。帰宅後、昼寝をしていると、気づけば夕方になっていた。日が暮れる前に、再び茶屋に立ち寄り、謎解きの書物を手に取りながら、茶を飲んだ。そして、明るい松明の光に照らされた道を進み、山口の宿に向かった。途中、大和を経由し、小山に着くと、駅前にある小さな池が目に入る。あたりは人で溢れ、あの河童がいそうな雰囲気が漂っていた。宿に到着し、夕食では酒を嗜み、焼き魚や団子を楽しんだ。風呂で体を温めた後、部屋に戻り、家族と共に懐かしい話に花を咲かせた。
8月11日、那須へ旅が始まる。市場で朝食を手に入れ、親切な商人の笑顔が印象に残る。米俵や汁物を買い、出発前に車座になって食事を共にした。旅の途中、しりとりや昔話を交わしながら進み、古い民家を改装した食事処で鶏料理をいただいた。囲炉裏のある懐かしい風景が広がり、冷えた風を感じながら、安らぎのひと時を過ごす。途中、大きな蜻蛉が飛び交う那須の山間部に辿り着くと、旅籠に向かった。宿には金田一や忍空、そして伝説の武士の物語が収められた巻物が並んでいた。私たちの部屋は「やまびこの間」という部屋で、そこで皆で肩を揉み合ったり、風呂で汗を流したりした。夕食は豪華で、牛肉の焼き物や湯葉、川魚の刺身などが供された。父は「これからは私もおんぶしてもらう時が来たな」と、微笑みながら語っていた。夕食後には、卓球の遊びが始まり、父と妹が白熱した戦いを繰り広げた。そして、その後は歌を歌い合う時間が訪れた。私は『17歳の地図』や『残響散歌』を歌い、弟は激しい曲を選んだ。父の『泳げたいやき君』は、皆を笑顔にした。
小さな騒ぎも起きた。鍵がなくなったと思われたが、結局弟の部屋にあった。安堵しながら、再び酒を飲み、夜はおふくろの寝息に耳を傾けつつ、眠りについた。
8月12日、那須旅行の最終日。朝早く起きて露天風呂に浸かり、朝の涼しい風と蜻蛉の飛び交う光景を楽しんだ。朝食もまた豪華で、とろろご飯や魚の開きなどが並んだ。おふくろが味噌汁をこぼす小さな事件があったが、皆で笑い飛ばし、食後にはロビーで茶を飲みながら新聞を読み、のんびりとした時間を過ごした。姪たちがお風呂に入る間、荷物をまとめたり、手遊びをして時間を過ごした。宿を後にする前に、家族揃って記念写真を撮り、弟の運転で再び旅が始まった。
その後、お菓子の城に立ち寄り、姪が菓子作りをしている間、私は骨董品や古い工芸品を眺め、冷えた菓子を味わった。昼食には、姪たちと共にカレーライスを食べ、笑い合いながら楽しい時間を過ごした。蒸し菓子の製造工程を見学し、出来上がった菓子を手にして城を後にした。旅の終わりに、ショッピングモールに立ち寄った際、私は少し道に迷ったが、無事に合流し、煎餅や小さな人形を手に入れた。日が暮れる頃、涼しい風を感じながら那須を後にし、再び高速道路を使って、家路に着いた。
平安のお盆 鷹山トシキ @1982
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