私って吸血鬼?

冒険者ギルドに入ると中は酒場のような感じになっていた。ゴツゴツした人たちが昼間からお酒を飲んでいる。割とイメージどおりだね。さすが異世界。


 ひとまず受付に行って冒険者になってみよう。それと自分のステータスみたいなのを確認したいな。移動中いろんなことを試してみたんだけど自分のステータスを見ることができなかったのだ。


きっとステータスを見るのに何か特別な道具が必要なんだろう。ではその道具はいったいどこに?そうそれが冒険者ギルドだ!と私は勝手に思ってる…


「すみません、冒険者登録をしたいのですが?」


 受付にいたエルフのような女性に話しかけてみる。受付のお嬢さんってだいたいエルフだよね。


「冒険者登録ですね。でしたらお名前をこちらのシートにご記入いただき、水晶にシートと一緒に手をおかざし下さい。また手数料として3ミラ戴きます。それと役職につかれていないのならこちらの赤水晶から適職クラスを選ぶ事ができます。隣にある緑水晶は自身のステータスを閲覧する事ができます。」


 貰った用紙に自分の名前を書く。ウィル爺に聞いた話だとこの世界では名字は貴族等身分の高いものしか持っていないらしいので名前だけで大丈夫だろう。そう考え、私は月夜ルナという名前だけを書くことにした。


 因みにミラというのはこの国の通貨のことで1ミラが銅貨1枚。100ミラになると銀貨1枚。10000ミラになると金貨一枚になるらしい。私はウィル爺からもらった銀貨2枚のうち3ミラを支払う。


「では、こちらの水晶に手をかざしてください」


 私は言われたとおりに隣の水晶に手をかざした。するとびっくり。手の甲からポイントカードサイズの木の板が現れたんじゃありませんか!


 きっと魔法の力で出来ているのだろう。何もない所から物体を生成するなんて…等価交換という概念はないのだろうか。科学より便利かなぁ?


「そちらのカードが冒険者カードになります。そのカードは身分証明や依頼の記録を残すカードになるので無くさないように注意して下さい。また再発行には3ミラ戴きます」


 どうやらこのカードは身分証明書になるらしい。実に便利なカードだ。


 さて、冒険者登録も済んだし、お楽しみのステータス確認と行きますか!


 確かこの緑の水晶に手をかざせば見れるんだよな。緑の水晶に手をかざしてみれば中にステータスが表示されているウィンドウが出てきた。




『柊 月夜ルナLv1 種族 吸血鬼


 攻撃13 防御10 速度16  魔力140  魔精親密度89%


 〈スキル〉


 血魔法Lv5 自動再生Lv5 暗視Lv3 闇魔法Lv3 自動回復Lv1 疾走Lv2


 〈固有スキル〉


 月精霊の眼 月精霊の加護 血液操作


 〈祝精スキル〉 言語理解』


 言葉が出なかった。色々スキルを持っていたことにも驚いたが一番の問題は種族が人間ではなく吸血鬼となっていることだ。


 私が聞いた話だと吸血鬼は魔族の一種と聞いている。


 この世界では人類と魔族は相容れぬ存在。戦争をするぐらいなので魔族とバレたらまずいんじゃないか?この世界には相手のステータスを見るスキル等があるみたいだし、ほのぼの暮らすのはもしかしたら難しいかもしれない。


 というか吸血鬼なのに日光当たっても大丈夫なのかな。よくある弱点はこの世界には存在しないのかな?


 とりあえずスキルの詳細を確認しよう。私が来てから獲得した覚えのあるスキルは疾走だけだから他のスキルは最初から持っていたのかな?


『月精霊の眼 真実を見抜く目。自身や他者のステータスを閲覧できる。また月が出ていると能力が向上する。


 月精霊の加護 月が出ていると能力が向上する。また太陽によるあらゆる影響を無効化する。


 血液操作 自身の血液や他者の血液を操作できる。他者の血液操作は相手との魔力差で成功率が決まる。』


 どうやら日光の影響が無いのはスキルのお陰だったらしい。ということは火や銀等は弱点的なものになるのだろうか?今後確かめる必要がありそうだ。


 それにしても月精霊の眼とはどういう効果何だろう?ステータスを見れるということは今使っている水晶のような効果になるのだろうか?えぇい!ものは試しだ!月精霊の眼発動!対象はもちろん私自身だ。


 発動した瞬間頭の中に情報が流れ込んできた。自分のステータスだ。中身は先程水晶でみた内容と変わらないが、見たところ魔力やスタミナを消費している様子はないのでどうやらノーコストで発動できるらしい。これってつまり戦闘中に常に自分の状態を確認できるという事だし、試していないがおそらく相手の情報もわかるのだろう。はっきり言ってぶっ壊れスキルじゃないか?こんな強力なスキルを最初から持ってるのはどういう事なんだろう?もしかしたらこの加護が異世界転生にありがちなチートスキルなのかもしれない。


 あとは他のスキルの詳細も見てみよう。それにしても詳しく能力まで分かるの便利だな月精霊の眼。


『血魔法 所持しているレベルによって扱える魔法の種類が異なる。発動には血液と魔力を消費する。


血魔法Lv1 操血 血を動かせる


血魔法Lv2 凝血 血を硬められる


血魔法Lv3 血眼 血を目に集中させ視力を高める


血魔法Lv4 蒸血 血を高温にし身体能力を高める


血魔法Lv5 血弾 圧縮した血を弾丸のように射出する


 闇魔法 闇を操る魔法。 所持しているレベルによって扱える魔法の種類が異なる。


闇魔法Lv1濃闇 暗闇を濃くする


闇魔法Lv2闇纏 闇をまとい姿を視認されにくくする


闇魔法Lv3闇球 闇属性の球体を射出する


暗視 暗い場所でも視界を認識できるように補正する補正の効果はレベルに依存


疾走 走るアクションに補正がかかる。補正の効果はレベルに依存』


疾走はだいたい予想通りの効果だな。血魔法や闇魔法、暗視なんかは吸血鬼が生まれてから持っている固有のスキルなのだろう。


 しかし魔法か…宿を見つけたら実験してみるとしよう。


ひとまずはきょう泊まる宿を探さないとね。さすがに野宿は嫌だ。ベットで寝たいよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る