転生したら吸血鬼だったので異世界生活を楽しみます!

@erenananndayo

プロローグ  冒険はいつでも突然に

xx年人類と魔族の戦争は苛烈を極めていた。人類は兵器や英雄と呼ばれる者たちを派遣し奮闘していたが魔族との戦争は拮抗。


ジリジリと兵站を減らしている人類が不利という結果だ。この状況を打開すべく人類の国々は古から伝わる勇者召喚の儀式を行なった。勇者召喚は共通点を持った複数人が召喚される儀式だ。


今回の勇者召喚では日本のとある高校のクラスが対象となり、異世界から28名の勇者達が呼び出されることになった。




 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 


「ここどこ?」




目が覚めると見慣れない天上があった。驚いて辺りを見渡すと木製の小屋の中にいるようで、私は簡素なベットの上にいた。ここは一体何処なんだろう?


とりあえず現状確認だ。スマホを取り出し電源を付けて…


「あれ?付かないな…」




 スマホは電源を押しても画面がつかない。電池が切れたのだろう。ひとまず辺りを詳しく見る事にした。   


 質素な木製の小屋は私が寝ていたベットと埃を被った見知らぬ言語の本が数冊置いてある本棚、机と椅子と鏡が設置してある部屋のようなものだった。


なんでこんなところにいるのかよく分からない…




 思い出せる最後の記憶は学校から帰って疲れたから寝た。それだけだ。こんなところで目覚める要素は皆無と言っていい。


 なんで私はこんなところに居る?考えれる理由として真っ先に上がるのは誘拐だ。ただのオタク陰キャ女子である私を攫うメリットはあまり無いし、最後の記憶は家にいたし攫われたとは考えられない…そうなると考えられる理由は異世界転移的な何かか!?そう思うと少しテンションが上がってきた気がした。




 異世界と言ったら何か。そう!スキルだ。そんなものがあるのでは無いかと期待を膨らまし頭の中でステータス的な何かが表示されるイメージをしてみた。


 …「ステータス!オープン!」喋ってみた。よく分からないポーズでステータス的な何かに呼び掛けてみた。…何も起こらない。


ちょっと恥ずかしくなったのでひとまず小屋を探索してみることにした。




 埃を被った本には日本語ではない文字で書かれていて何が書いているか分からない。よくある文字が読める喋れるのご都合主義は無いようだ。


外に出ようと鏡の前を通ったらギョッとしてしまった。「誰これ!?」




 私自身の姿が色々違った。髪の色が黒から真っ白へ。瞳の色が黒から真っ赤へ。服装などは同じなのに自身の姿だけが変わっているのだ。「綺麗…」


 ぶっちゃける自分に惚れ惚れしそうな程美しくなっている。


 もとは普通の一般人Aだったのに今ではお姫様の様な見た目だ。このまま見惚れていたかったが時間の無駄なので外へ出てみることにした。




 扉を開けるとそこには大自然が広がっていた。どうやらここは森の中らしい。木々がささめき鳥が鳴きギャイァァと聞き慣れない鳴き声がしている。ごく普通の森だ…いやまて。聞きなれない鳴き声がするぞ。それもなんか邪悪な感じのが。


 あたりを見渡すと謎の声の主は案外すぐ見つかった。緑の皮膚・醜悪な見た目どっからどう見てもゴブリンだった。


 異世界あるあるの雑魚敵が実在する!これはオタクからしたら割と感動できることだ。しかし現実は甘くない。


『ウギャ?』




 気づかれてしまった。どうしよう。今でも襲ってくるフォルムだよ。こういうのって異世界チートでなんとかする場面じゃないの!私今の所ただの一般人だよ!?ゴブリンと殴り合ったら死んじゃうよ!


 そんな事を考えているうちにゴブリンがこちらへ襲い掛かってきた。




『ウギャァァ』




 跳びかかって来た攻撃を間一髪で避ける。避けた先にあった木がへし折れた。


 何あれ?やばくない?雑魚敵が出していい火力じゃないって!どうしよう!?


 ゴブリンはこちらを見てくるだけで攻撃しようとしてこないようだ。


 攻撃を避けられたことでこちらを警戒しているのか、はてまた私を甚振る為に攻撃してないのか。


 えぇいとにかく逃げるしかない!私は全速力で逃げることにした。走れー!!


 


 脱兎のごとく逃げるがどうやら見逃してはくれないらしい。ゴブリンが追いかけてきたのだ。なんで追いかけるのさ。来ないでくれよ。しかも足が思ったより速い…このままだと追いつかれちゃうかも…




 《熟練度が一定に達しました。スキル疾走Lv1を獲得しました。》




 死にものぐるいで走っていると頭の中で不思議な声が聞こえた。どうやら死ぬ気で走ったおかげでスキルを獲得したらしい。


 なんだか足が速くなったような気がしてきたのできっと足が速くなるスキルなんだろう。しかしステータスは無いのにスキルはあるのか。なんだかゲームみたいだなぁ。そうこう考えているうちにどうやらゴブリンはまけたようだ。




 逃げれたはいいが一体ここからどうしようか。死にものぐるいで走ったせいでもとの道がわからないし。


 現状をまとめると謎の異世界に何故かいて、ゴブリンから逃げているうちに見知らぬ森で迷った。


 


 あれ?詰んでね?ひとまず周囲の確認だ。近くにあった登りやすそうな木を登って辺りを確かめてみる。どうやら神は私を見放してはいないらしい。


 遠くの方に薄っすらと煙がたっているのが目視できた。助かった。煙があるということはそこに火が立っているということ。火が立っているってことは人がいる!人がいるところまで走るぞ!




 私は煙が見えるところまで全速力で走ることにした。走っているうちに一つ分かった事がある。元の世界にいた頃と比べて体力が滅茶苦茶上がっているのだ。いつもなら300メートル走っただけで疲れてバテてしまうが今はもう1キロは走っているのに息切れする様子もない。どうやら変わっているのは見た目だけでは無いようだ。実は最初にゴブリンの攻撃を避けれたのもまぐれじゃないのかも知れない。


しばらく走った後、たどり着いたのは一軒のログハウスだった。外に焚き火の跡が有り、つい先程まで燃えていたようで、ここが人の住む場所だというところを教えてくれている。




 しかしどうしたものか。私には知らない家を尋ねるコミュ力はないし、第一に今の自分の状況を伝えれても助けて貰えると言う保証も無ければ、異世界から来たなどという突拍子のない事を信じて貰えるかも怪しい。


 そもそもこういう時はどう尋ねると良いんだろうか…?助けて下さい!道に迷って!的な感じで切羽詰まったような言い方がいいかな?それとも道に迷ってここが何処かわからないので助けて下さい的な感じで余裕を持った感じが良いのだろうか?


 そうこう考えてたら扉から出てきた初老のおじさんと目があってしまった…


 場に絶妙な雰囲気が流れる。なにこれきまず。




「お嬢さん?どうしたんだい…?」




数秒おじさんと見つめ合うという絶妙な雰囲気が続いたがおじさんの一言で話が進みそうだ。


ナイス!おじさん!グッチョブ!


 しかしどう答えたらいいのだろうか?‥迷ったとでも言えば良いのだろうか…30秒程考えるが結果は出なかったので無難に行くことにしよう。




「迷子?みたいな感じ…でづ」




 噛んじゃった…恥ずかしい。


 え何?30秒考えた答えがこんなものだって?しょうがないじゃないか!多分生きててこんなシチュエーションに出会ったの初めてだし一生こんな状況にならないだろうから何言えばいいかわかんないよ!




「そうかい。迷子か、お嬢さんどこの街から来たんだい?道を教えて上げるよ。」




 どうやら助けてくれるらしい。ただあいにく私はこの世界に来たばっかりなので街など知らないし…ここは思い切って異世界から来たと話してみるか。


 今の自分の現状とどこから来たのかをおじさんの話してみたが、何とすんなり理解してくれた。異世界人は珍しくないのかな?


さらに外では寒いだろうから家に上がって良いと来た。このおじさん滅茶苦茶優しいな。




「お邪魔します」




 質素だがとても住みやすそうな家だ。何だろう、森の中に別荘を建てるならこんな感じになるのかもしれない。


 リビングっぽい場所でこの世界について色々おじさんに話を聞いた。まずおじさんの名前はウィーゼルと言うらしい。名字が無いのは当たり前らしい。


 ここはサヴァラ大森林という場所で国の管理する森らしい。ここで言う国とはミレウス王国という国でこの世界でいちにを争う大国らしい。


 そしていま世界は魔族と戦争をしているそうで、ヴィーゼルさんは争いが嫌で山で暮らしているそう。


 ウィーゼルさんだと堅苦しいし、ウィル爺でいいか。


 ウィル爺の話によれば異世界からは度々人が迷い込むことがあるそうで異世界人は結構メジャーな存在らしい。


 それとステータスは特殊なスキルか魔導具でないと見ることができないらしい。ここには無いので街へ行き冒険者ギルドに行けばステータスが分かる魔導具が置いてあるそう。冒険者ギルドがあるという事は冒険者が存在するという事。


やっぱり異世界といえば冒険者だよね!冒険者になれば食う程度なら困らないらしいので冒険者を目指すのが第一目標かな。


 話を聞いた私は冒険者になる為に街へ向かうと告げた。するとウィル爺は街への地図とちょこっとのお金と食料、そして魔物よけのお守りを渡してくれた。魔物よけのお守りはゴブリンぐらいの魔物が近づかなくなるものらしい。


 どこからどこまでも迷惑をかけてしまったが、おかげで助かった。ウィル爺には感謝しなきゃね。




「街へ行こうと思います!色々教えてくださりありがとうございました!」




 お礼を伝え家を出た。さぁ異世界の第一歩。冒険者になる為に街を目指すとしよう!


 森の道なき道をひたすらに進む。お守りの効果なのか魔物らしきものとは全く遭遇しない。ものすごい効果だ。


 こんなにすごい効果を持ったものを私なんかにあげて良かったんだろうか?


 いつか恩を返さなきゃね。そうこう考えていると道のようなものが見つかった。どうやらここら辺りから人が通る道になっているようだ。


 無機質だがどこか温かみを感じる声が頭の中で聞こえてくるレベルアップの告知だ。




 《熟練度が一定に達しました。スキル疾走Lv2を獲得しました》




 お!スキルのレベルアップだ。ただ走っただけで獲得出来るようなスキルだしきっとしょぼいのだろう。イマイチ効果は分からないがあって損は無いだろうし嬉しい限りだ。


 そうこうしていると遠くの方に建物二階分ほどの高さの壁が見えてきた。おそらくあれが街の防壁なのだろう。


 お、門が見えてきた。石造りで木製の格子がついているよくある門だ。てっきり小さな街だと思っていたがどうやら想像していたより随分大きな街らしい。


 街の全貌は見えないが東京ドーム一つ分以上は確実にありそうだ。門の前には甲冑を着た兵士は二人ほど立っていたが入るための検査がある訳では無いようで、普通に入ることができた。


 確か今は魔族と争っていると聞いているが、こんなザルな警備で良いんだろうか?簡単に入られてしまいそうで心配だ。


 ウィル爺によると冒険者ギルドは石造りの大きな建物らしい。おそらく道の奥に見えているあの大きな建物だろう。ひとまずは自分のステータスも確認してみたいし冒険者ギルドへ向かうとしよう。

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