第三話『兵役』

——クローン三原則の導入の目的の一つには、『兵力供給の安定』もある。


 大前提として、クローン三原則導入後の世界では、少子化が改善され、健康体の生物学的男性が増加する。そのため、自ずと兵役に就く者も増える。

 その上で、全ての満一八歳から満二十八歳の生物学的男性は、十八ヶ月から二十一ヶ月の兵役義務を果たさなければならないが、それを自身のクローンに代行させることができる。クローン三原則導入以前は、徴兵検査での賄賂や不正により兵役逃れが横行していたが、クローンに兵役を代行させることで、その問題は解決する。現役を修了後の予備役についても、これをクローンに代行させることができる。つまりは、生物学的男性が自身のクローンを予備役に登録しておくことで、非常時の兵力供給も安定する、というわけである。もちろん、従来通りオリジナル本人が兵役、予備役の務めを果たすことも選択肢としては残されている。


〈第四話『労働』に続く〉

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