第9話練習試合二試合目。初登板での覚醒
練習試合第二試合目。
帝位高校先攻で試合は始まった。
準備投球を行う相手投手のタイミングに合わせて素振りを行いながら…
ネクストに控えている同級生の下へと向かう。
「多分だけど…いきなり敬遠されるから。
塁に出たら三塁まで盗塁する。
二球貰うことになるけれど…
先に謝っておく」
「良いよ。その先の作戦とかってある?
今の内にすり合わせておきたいんだけど…」
「じゃあ…追い込まれていなければスクイズで。
追い込まれていたらアッパー気味のスイングで外野フライにしてくれたら…
浅いフライでも帰ってくるよ」
「そうか。分かった。吹雪がいるとかなり心強いよ」
「ありがとう。でも自分の活躍もしっかりと意識してな。
余計なお世話かもしれないけど…」
「そんなことないよ。俺達一年で背番号埋めるつもりだから」
「そうか。強気な姿勢で良いと思うよ。頑張ろうな」
「あぁ。吹雪と打ち合わせして相当緊張が解れたよ。ありがとう」
俺はその言葉に応えるようにぎこちない笑みを浮かべて…
ヘルメットのつばを触って応える。
準備投球が終わり…
俺は打席に向かっていた。
相手投手は右投手で左打席に入ろうとすると…
予想通り俺は一打席目から申告敬遠を言い渡される。
一塁ベースに到着すると…
大きめなリードを取って投手のモーションを盗んでいた。
投手は数球に渡って牽制球を投げてくるのだが…
俺はその度にしっかりと一塁に戻り…
投手は一塁ランナーの俺が気になって仕方が無いようで…
何度も何度も牽制を行ってくるのだが…
しかしながら仕方なく気持ちを切り替えて打者との勝負に向かって…
モーションを完全に盗んでいる俺は二塁へと盗塁。
二番打者の一球を貰い…
打者に感謝を告げるように塁上から手を上げていた。
投手は再び二塁ランナーの俺が気がかりの様で…
「もうランナーは気にするな!三塁まで進めて良い!」
相手ベンチから監督の言葉が飛んできて。
投手は了解するように帽子のつばを触るが…
かなり不服そうな表情を浮かべて投球モーションに入っていた。
当然のように三塁へと盗塁を成功させる。
打者に二球を頂いて…
現在のカウントは1-1の状況で…
即ち次の球をスクイズという約束だった。
念の為打者に意思を確認するようにヘルメットのつばを触って様子を伺っていると…
打者も約束を忘れていないようで…
同じ仕草を取って応えてくれていた。
「バッター集中でいこう!こうなったら一点取られるのは許容範囲だからな!
しっかりと腕を振っていけ!」
相手ベンチの監督はバッテリーに声を掛けていて…
それに了承するように応えたバッテリーは投球に入って…
その瞬間に俺はスタートを切っていた。
少し外れたコースに投球されたボール球をしっかりとバントする打者。
打球が上手に三塁線上に転がり…
スライディングをして余裕で帰塁する俺だった。
相手捕手はそれを確認すると…
「一つ!確実に!」
投手が打球を拾うとそのまま確実にファーストでアウトを奪う。
先制点を奪ったのは二試合目も帝位高校だった。
「良いよ!ワンナウト!ランナーいないから気楽にいこう!」
相手捕手は相手投手に声を掛けていて…
投手は軽く顔の汗を拭って…
続く三番打者との対戦に向かっていた。
ベンチに戻ってきた二番打者にハイタッチを求めるために近づく。
「ナイススクイズ!
高校に入って…練習試合初打席の緊張感の中でよく一球で決めたな!
マジでナイス!
お陰で先制点を奪えたぞ!」
俺は仲間を称賛する言葉を贈ってハイタッチを求めると…
彼はそれに応えてくれて…
「マジで震えたよ。これでミスってチャンスを潰したらって…
膝や手が震えて怖かったけど…
本当に決まってよかったよ。
何よりも吹雪がしっかりと三塁まで盗塁してくれたお陰だよ。
ありがとう」
「いやいや。震えるほどの緊張感の中でしっかりと力を発揮できたんだ。
次の打席はもっと気楽に挑めるんじゃないか?
後続の打者として期待するよ」
「おぅ!任せろ!」
ハイタッチを交わした俺達は…
その後の打線の様子を眺めて…
応援をしていたのであった。
一回表の攻撃は六番打者まで続いて…
しかしながら追加点は奪えずに一回裏の守備の時間が始まっていた。
控え投手は以前の紅白戦でコテンパンに打ってしまった二年生で…
現在準備投球を終えたバッテリー。
一番打者が左打席に入ると相手の攻撃の時間は始まる。
須山に正捕手の座を奪われた以前の正捕手がサインを送っていて…
頷いた投手が初球から緩い変化球を放っていた。
左投げの二年生投手は相手打者から逃げるように大きく曲がる変化球を上手に制球しており…
相手打者はしっかりと引き付ける形で左方向へと流し打ちをしていた。
サードに強烈な当たりが飛んでいき…
野手は全員かなりの緊張感を抱いていたことだろう。
一試合目のことが脳裏から離れておらず…
ホットコーナーに飛んでいったことで俺達は皆んなドキリと心臓が跳ねていたことだろう。
しかし…
当の本人である一年生控え選手のサードは当然のように捕球をして…
ファーストへとストライク返球を行って…
何でも無い表情を浮かべて完璧な処理を行っていた。
一塁審判がアウトをコールして…
一年生サードの動きは完全に最短最適の動きに思えた。
打者走者を余裕でアウトにして…
サードは人差し指を一本立てると野手に積極的に声を掛けていた。
「ワンナウト!一つずついこう!」
笑顔で味方に声を掛ける彼を見て…
俺はかなりの可能性を見出していた。
彼の打順を思い出すように…
ホワイトボードに貼られていたメンバー表を記憶の中から引っ張り出して…
「八番打者だったな。打力や走力が微妙なのか?
いいや…でもさっきの打球反応や肩力や機敏な動きを見るに…
明らかに運動神経は良さそうだが…
まだ正当な評価をされていない…?
あまり目立たないタイプの選手ってことだろうか…」
そんな独り言が脳内や心の中で浮かんできていて…
しかし俺は一度頭を振ると続く守備の時間に集中するのであった。
二年生控え投手はきっちりと三人で抑えるとベンチに戻っていく。
俺達ナインもバッテリーに声を掛けながら駆け足でベンチに戻っていた。
「ナイスピッチャー!よく三人で抑えたよ!」
味方の声援に投手は嬉しそうな表情を浮かべていて…
グラブをはめている右手を持ち上げて応えていた。
二回表。
七番打者から始まる攻撃だった。
ベンチで応援をしながら彼らの活躍を記憶に収めるためにしっかりと眺めていた。
打者は初球打ちが成功して…
レフト前にきれいに弾き返して安打に成功していた。
八番打者であるサードの一年生が打席に向かう途中で…
俺はベンチでサインを出そうとしている九条監督に進言していた。
「九条監督。この打席…彼に自由に打たせてほしいです」
俺の進言に九条監督は一度手を止めてこちらに視線を送った。
「何か感じ取ったのか?」
「はい。先程の守備の一連の動きを見るに…
彼は打撃センスも良い気がしてしまうんです。
単純にかなり運動能力が高い気がしていまして…」
「なるほどな。確かに柏木は体力測定でもかなりの上位に入っていたが…
シートバッティングではあまり好成績を収めていないんだ。
そこの所はどう思う?」
「シートバッティングの様子は見ていないのでなんとも言えませんが…
彼は今日…なんとなく勘ですが…化けるような気がするんです」
「そうか…ではこの打席は好きに打たせてみよう。
超一流選手の吹雪の勘ってやつを一旦信じるとしよう」
「ありがとうございます」
九条監督はサインを出す手を完全に止めて…
ノーサインで一年生サードの柏木に盤面を託すようだった。
柏木はサインが無いことに軽く驚きながら…
ヘルメットのつばを触って左打席に入った。
下位打線でも気を抜かない相手バッテリーだった。
しかしながらこの打者を確実に凡打で抑えて併殺を奪おうと試みる投球に思えた。
捕手は左打者から逃げるように曲がっていくツーシームを多用しており。
引っ掛けて内野ゴロに抑えてゲッツー。
確実にそういうリードをしていると感じていた。
柏木はクサイコースに投げ込まれるツーシームを上手にカットしていて…
中々思い通りにいかないバッテリーはサインを変更しているようで…
頷いた投手は先程とは違うタイミングをずらすような緩い変化球を放っていた。
チェンジアップが左打者から逃げていくようにアウトローにきれいに収まろうとしていた。
しかし…
柏木はしっかりとタイミングを合わせて十分に引き付けていて…
「あ…これは…打つな…」
俺は直感的にこのチェンジアップをフルスイングで打ち返す未来がなんとなく見えていた。
俺の予想通り…
柏木はフルスイングをして。
無理矢理引っ張るように力任せに金属バットの芯に捉えさせて…
快音が響いてライトスタンドへと高弾道で飛んでいく打球の行方をベンチの選手全員が身を乗り出して確認していた。
ライトは明らかにお手上げと言うように打球を追うのを諦めていて…
柏木の打球はライトスタンドに入り…
彼は軽くガッツポーズを取りながらダイヤモンドを一周していた。
2ランホームランを放った柏木を味方選手全員が祝福するように出迎える。
全員がハイタッチや尻や頭をぽんぽんと叩いて祝福しており…
「よく打った。期待以上の活躍だった」
九条監督にしっかりと褒められた柏木は嬉しさが余ったのか…
かなり大きな声で返事をして嬉しさを表現していた。
「それにしても…吹雪に感謝しなさい。
お前にバントのサインを送ろうとしていた私に…
好きに打たせるように進言したのは吹雪だ。
何やらお前の運動能力や野球センスを先程のワンプレイで見破ったそうだ。
指導者陣よりも見る目のある選手で…
本当に困ったやつだ…」
九条監督は呆れるように俺と柏木を交互に見て…
俺も柏木にハイタッチを求めていて…
「ノーサインだったから驚いたんだ…吹雪が監督に進言してくれたんだな。
マジでありがとう。
お前のお陰で活躍できた。
本当に感謝する」
「いやいや。二打席目からはもっと警戒されるから。
再び打順が周ってくるまで次はどうやって打つか…
今の内から考えておくと良いよ」
「あぁ。そうするよ。とにかくありがとうな」
「良いって。俺も強いサードが欲しいからな。
今のままだとショートを守っていてもサードが不安でプレイに集中できないんだ。
柏木がスタメンに上がってきてくれると嬉しいよ」
「そう言ってくれるか…
じゃあこの試合で存分に活躍してスタメン昇格してみせるさ」
「待っている」
俺達はその後…
握手を交わして試合の続きに向かっていた。
九番打者の投手は三振に倒れて…
ネクストに座っていた俺が打席に向かうと…
またしても勝負を避けられてしまう。
二番打者のファーストを守る一年生。
彼には先程二球頂いてしまい…
それに加えてスクイズをさせてしまったわけで…
結果的に彼の本来の活躍の機会を奪ってしまっていた。
一塁ベースに居る俺は…
思考を回転させており…
明らかなボール球に限り盗塁を果たそうと…
軽く想像を巡らせていた。
リードをあまり大きく取らず…
それでも相手投手の牽制は続き。
余裕で一塁に戻って…
「そのランナーは気にしなくて良い!余計な牽制球で体力や気力を消耗させるな!」
監督の言葉に了解の仕草を取った投手はバッター集中に変更していた。
二番打者に向かう投手だったが…
きっと頭の片隅にランナーである俺のことが気がかりだったのだろう。
変化球が軽くすっぽ抜けて…
失投した投手だった。
二番打者はその甘い球を見逃すわけもなく…
しっかりと捉えるとフルスイング。
左打者の彼が右中間に大きな当たりを放っていた。
鋭く大きな打球の行方を確認して確実に落ちることを理解した俺は好スタート好走塁を決める。
かなりの長打に二塁ベースを蹴って三塁に向かっていた。
サードコーチャーが目に入って…
ぐるぐると腕をぶん回していることを確認すると…
打球の行方など気にせずにコーチャーを信じて…
三塁ベースを蹴ってホームへと全速力で向かう。
三番打者が…
「ノースライ!」
と大きな声とジェスチャーを送ってきており…
俺はそのままホームベースを踏む。
三番打者とハイタッチをして…
振り返ると二番打者に視線を向けようとして…
彼は三塁にヘッドスライディングをしてセーフをコールされていた。
「何だよ…めっちゃ強打者やん…一打席目にスクイズは間違いだったか…」
自らの先程の言動や行動を省みながら…
三塁ベースに居る二番打者に右手を上げてガッツポーズを送っていた。
彼もそれを受け取ると同じ様な仕草を取っていて。
俺はベンチに戻ると続く打者の打席を応援していた。
三番打者が初球打ちをして…
レフト定位置に大きなフライを上げていた。
三塁ベースに片足を付けてスタートを切る態勢を取るランナー。
コーチャーのGOサインの掛け声を耳でしっかりと捉えると…
全速力でホームに向かい…
上手にスライディングをして追加点を奪っていた。
ベンチに戻ってきた彼に味方はハイタッチを求めている。
俺も味方に倣った行動を取っていて…
「二番打者を任せて正解だった。よくやった丸尾」
九条監督に褒められている丸尾は嬉しそうな表情を浮かべて返事をしていた。
彼は俺の下に向かってくると握手を求めてくる。
それを受け取った俺に彼は…
「吹雪のお陰で緊張が解れたんだ。
一打席目に重要な場面でスクイズを要求してくれて…
成功したことによって完全に緊張が解れて吹っ切れた。
本当にありがとう。
このスリーベースは吹雪が打たせてくれたんだ。
マジでありがとう」
「そんな。丸尾の実力だろ。それに今のスタメンのファーストも不安が残る。
だから続く打席でも守備でも走塁でも…
とにかく力を示してスタメンに昇格することを願っているよ。
待っているから」
「あぁ。任せてくれ。頑張るから」
ガッチリと握手を交わした俺達は続く打線をベンチから応援していたのであった。
五回裏まで試合は進行しており…
帝位高校は10得点を奪っていた。
練習試合のためコールドは存在しておらず。
俺は約束通りマウンドに立っていた。
左利きのグラブを右手にはめて。
審判からボールを受け取ると五球の準備投球に入った。
以前までの正捕手とは何度か投球練習をしているので…
サインなどはしっかりと決まっていた。
準備投球が終了すると…
試合は再開される。
五回裏。相手の攻撃は始まった。
捕手は完全に速球中心にサインを送ってきており…
俺は今日の相手チームの打線だったら簡単に打たれる気がしていなかったので概ねサインに頷いて応えていた。
七割り程度の力で投球をしていて…
それでも速球は稲葉と同じかそれ以上の球速が出ていたことだろう。
練習試合のマウンドだし味方打線が爆発して大量得点のリードがある状況。
かなり気楽な心境で投球できていた。
上手に力が抜けているようで…
力を込める瞬間だけにしっかりと注力できていて…
今日は今までで一番良い投球が出来ている気がしてならなかった。
俺の代わりに遊撃手として守備についた三年生。
もしかすると彼もこの夏にベンチ入りを果たす可能性がある。
俺がこのまま好投を続けると…
夏の大会でも登板機会がやって来ることだろう。
そんな時にショートを守る控え選手が必要になってきて…
その第一候補は明らかに今守備についている三年生の彼が有力だと思われた。
俺の脳内や心の中には余計な思考が浮かんでは消えていて…
しかしながらそれでも投球の調子はすこぶるよく…
徐々に調子も上がっていた。
やけに全身が軽く…
余計な思考があるというのに…
本質的な思考力は何故かクリアで軽い気がしていた。
何も考えていないわけではないのだが…
完全に投球に集中できていたのだろう。
俺は別の次元や世界に行ってしまったような感覚を感じながら…
三者三振で抑えてしまっていた。
「あ…何か投手として…
別次元の存在になれそうだったな…
手を掛けていた気がしたのに…
もう交代か…」
俺は味方選手に称賛の言葉を送られながら…
超集中が切れてしまったようで…
しっかりと味方の言葉を受け止めながらグラブをはめている右手を持ち上げて応えるのであった。
試合は予定通り九回裏で終了して…
攻撃は手を緩めることもなく打線は爆発し続けた。
守備では俺が投手として完全に何かを掴んだ投球をして…
今まで実践経験が少なかったからか…
高校生になって練習試合で初登板だったからか…
信じられない経験値を積んだのだろう。
俺は一言で表現するのであれば…
投手として覚醒に至ったのだと感じていた。
試合が終了すると相手チームの監督と挨拶をする九条監督に不知火。
相手チームが荷物を持ってグラウンドを出ると…
二人は戻ってきて全体ミィーティングが始まった。
「まず一試合目の内容だが…
先ほども言ったように本当に不甲斐ない結果だったと思う。
特にサードとファースト。
それに打撃では下位打線。
しかしながら二試合目はかなりの収穫があった。
特にファーストの丸尾とサードの柏木。
お前たちの実力を正しく評価できていなかったことを謝罪する。
そしてお前たちは今日からスタメンに組み込む。
スタメンの練習に参加すること。
そして一試合目のサード、ファーストの二年生はベンチ外メンバーの練習に合流しなさい。
ちゃんと頭を冷やして冷静になること。
自分のできることを一つずつ確認して…
一つずつ確実に実行できるようになりなさい。
後は投手陣。
稲葉は本日の試合結果を簡単に受け入れられないだろう。
本日は一人で一試合目を投げきってくれたわけだが…
不完全燃焼の気持ちの中で申し訳ないが…
本日はノースローだ。
このままロードワークに向かいなさい。
試合の悔しさなどを払拭するように…
走り込みなさい。
二試合目の先発茂木は良く抑えた。
捕手のリードのお陰もあってテンポよく投げられていたな。
この後のシートバッティングの投手を努めてくれ。
後は吹雪だな…
やはり今年の夏から吹雪の登板機会はやって来る。
今日の登板は満点と言えるだろう。
ただし無理に三振を奪わなくてもいい。
もう少しセーブして投げても抑えることは容易いだろう。
吹雪は須山と組んでブルペンで投球練習をしなさい。
では。
本日二試合の反省点をしっかりと思い出しながら…
練習に向かいなさい。
以上」
九条監督の全体ミィーティングが終了して…
選手は指示された各自の練習に向かうのであった。
シートバッティングの様子を眺めながら…
俺と須山はブルペンマウンドで集まっていた。
「やったな。柏木と丸尾もスタメン合流だ。
これで六人の一年がスタメン入りだぞ。
これ以上は正直…
スタメンは難しそうだな。
セカンドの物延さんとセンターの不知火さん。
エースの稲葉さんからスタメンを奪うのは正直厳しいだろう。
それでもベンチメンバーに一年を多く入れたいな。
これからの実践形式のシートバッティングや練習試合や紅白戦で…
限られた機会ではあるが…
しっかりと活躍してほしいと願うしかないな。
本当に残りの一年にも頑張って背番号を手にしてベンチ入りしてほしいよ」
そこから俺は本日…
練習試合のマウンドで感じた感覚を須山に共有して…
「なるほどな。覚醒か…一応心に留めておく。
今から行う投球練習も意識して配球する。
とにかく先程の試合のイメージや感覚を忘れずに望んでみよう」
それに頷いて…
俺は先程のイメージや感覚を思い出しながら…
ブルペンマウンドにて投球練習を行うのであった。
本日の練習が終了して。
九条監督の全体ミィーティングも終了すると殆どの選手が寮に向かっていた。
俺は残って自分の道具の整備をする。
その後ロッカーにしまっていつも通りに走って帰宅するのであった。
寮生は食事を存分にとって…
本日の体力を回復させるように…
疲労や運動によって破壊された筋肉を修復するように…
全力で食事に努めていた。
食事を終えた寮生は本日の試合結果に誰も満足していないようで…
風呂に入って身体の疲れをしっかりと解す。
その後…
殆どの選手が室内練習場や敷地内の明るいところを見つけて…
本日の不甲斐ない結果を忘れないように…
しかしながら嫌なイメージを払拭するように…
深夜になるまで全力で自主練に時間を割くのであった。
次回へ…!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。