第2話遂に衆目にさらされる!?
本日僕ら親子は午後から練習参加を言い渡されていた。
沢山の睡眠を取り疲労や筋肉痛や不調感を抱かずに目を覚ました。
階下のリビングに向かうと母親と祖母が沢山作ってくれていた朝食を頂いていた。
「吹雪はバッティングが得意なんじゃな」
祖父が新聞を広げながら世間話をするように口を開く。
それに返事をしながら食事の続きに手を付けていた。
「まるで業の幼い頃をこの歳になって追体験しているようじゃった」
「父さん…俺が吹雪と同じ歳の頃は…もっと普通の選手だったよ」
「そんな事あるか。
確かに何処にでもある少年野球団でプレイしていた選手だったが…
それでも光っている選手だったことには変わりない」
「そうだった…かな…?」
「もちろんじゃ。どれだけの父兄に羨ましがられたか」
「そうだったんだ…」
「吹雪は学校の子供達の中でもヒーローだろ?
小学生からシニアリーグに混じって…
今では帝位高校の練習に参加しているんだ」
祖父の言葉に俺は首を左右に振って応えていた。
「なんじゃ?人気者じゃないんか?」
「うん…普通に煙たがられている…」
「そうか…それは嫉妬じゃな」
「どうだろう…
小学生なのに中学生や高校生と混じって練習していることをズルだって言われたよ」
「ズル?それは父親のコネだけで練習参加していたらそうじゃろう。
けれど吹雪はしっかりと実力も伴っている。
ズルなんかじゃないさ」
「そっか。おじいちゃん…ありがとう」
祖父は俺に優しい笑みを向けて再び新聞に目を向けていた。
父親は既にユニフォームに着替えており…
珍しくスマホとにらめっこをしていた。
「そう言えば…どうして今日は午後からなの?」
父親に尋ねてみるとスマホから目を離して答えをくれる。
「大会本番前に注目校である帝位にインタビューが入っているそうでな。
九条監督とキャプテン副キャプテンが答えるそうだ。
しばらく不在になるそうで…
そんなわけで本格的な練習は午後からだそうだ」
「そうなんだ。父さんは何を観ているの?」
「あぁ。今大会の注目選手の記事を見ている」
「そっか…」
「ご飯食べたら着替えなさい」
それに返事をして朝食を沢山頂くのであった。
着替えを済ませた俺は荷物を持って父親の車に乗り込んだ。
普段通り食休みをしながら帝位高校一軍専用球場を目指した。
十分ほどで到着すると俺と父親は遅れてアップを済ませる。
九条監督とキャプテン副キャプテンはまだ席を外している様で…
「おはようございます!早速投球指導してもらってもいいですか!?」
一軍投手陣五人が父親の元へと訪れると元気よく挨拶をする。
父は当然と言うように頷くと投手陣はお礼を口にしていた。
「吹雪。午後からの打撃練習に組み込まれていたぞ。ボード観ておきな」
エース(仮)の梅田に声を掛けられて俺は帽子を取ると返事をした。
「今日は負けないぞ!?」
「今度こそ抑える!」
「触らせもしない!」
「今度は絶対に芯喰わせない!」
「この間と一緒と思うなよ!?」
投手陣は明らかに敵意を含んだ眼差しを送ってきていたが…
しかしながらそこには尊敬の念が含まれていたことに気付く。
戦いの世界に身を投じている者だからこその厳しくも優しい目線だと思った。
自分たちが認めた味方や仲間には厳しさや優しさを向けて絶対に尊敬を忘れない。
そういう投手陣を俺も尊敬していた。
「こちらこそ対戦を楽しみにしています!」
大きな声で返事をすると俺は早速素振りをしている選手たちの下へと向かうのであった。
ベンチ前で素振りをして午後の打撃練習の準備をしている選手たちに挨拶をする。
「吹雪。お前は投手の代わりに九番打者で起用される。
九条監督は先日の実践練習の成績からお前を参加させると決めた。
本来であれば倉井と報瀬が順番で入るのがセオリーの中でお前が起用されたことをよく考えろ。
そして二人の分も必ず打て。
大変プレッシャーの掛かる練習だろうが…
打者も投手も全力だ。
お前を小一と思って接することは出来ないだろう。
厳しいことを言う可能性もある。
故に本番を想定したのひりつく練習となるだろう。
今から準備をして覚悟を決めておけ」
正捕手の真鍋に声を掛けられて俺はしっかりと返事をして答えた。
「ちなみにだが守備を守るのは…
ベンチ入りメンバーで守備起用、代走起用、代打起用のメンツが自分のポジションに付く。
空いているポジションは二軍のスタメンが入ることになっている。
もちろん投手陣は一軍の五人だ。
先日のいいイメージを持って打席に立つのも大事だが…
奴らは確実にこの間よりも進歩している。
だから意識を塗り替えて挑むこと。
同じ相手と再戦するだなんて意識でいるなよ?
まるで別人と戦うと思っておいたほうが良い。
分かったな?」
「はい!」
そこから俺はバットを手にするとスタメンに混じって素振りの練習を行っていた。
「そう言えば…プロのスカウト来ていましたね」
真鍋は素振りをしているスタメンの緊張感を増す様な言葉を投げかけている。
きっとあえて選手全員の気を引き締める為に口にした煽りだろう。
「真鍋…皆んな分かっているけれど言わなかったことを…」
「
予選の時みたいに打点を稼ぎまくってくださいよ」
「バカ…!投手はうちの一軍なんだぞ?簡単に打てるか…」
「弱気は良くないですよ?そんなんじゃ吹雪に負けますよ?」
「おま…!」
真鍋は冗談を交えて選手たちの雰囲気を良くしているようだった。
流石は正捕手…
真鍋は確実に来年のキャプテンだろう。
と俺はなんとなくそんなことを考えていた。
「今日の捕手は守備起用でベンチ入りしている工藤だからな。
吹雪も簡単に配球が読めると思うなよ?
俺の時みたいに完全に盗めると高を括っていると痛い目見るぜ?」
「はい!油断せずに気を引き締めていきます!」
俺が元気よく返事をしているとスタメン選手たちは破顔して声を漏らす。
「真鍋が先輩らしいの珍しいな。城は信じられないほど天狗で生意気だったし。
後輩らしくないもんな。
お前も城には先輩らしい顔を見せないし。
スタメンはお前以外三年だし珍しいものを観たわ!
今日はいいことありそうだわ!
ありがとさん」
「宮下さん…やめてくださいよ…俺自身が恥ずかしくなってきました…」
「スカウトが来ているって…確実に真鍋のこともチャックしに来ているだろう」
「持田さん…やり返すのは大人げないですよ…」
「当然だろ。今年のU‐18代表候補の捕手だからな」
「木内さん…そんなこと言ったらうちのスタメンは大体招集されるでしょ?」
「どうだろうな。投手の梅田と仙道は確実…最有力候補だろう」
「二遊間の二人も確実です」
「雪城と米良は…確実だな」
「櫛田さんはどうです?
足の速さだけで言ったら全国の高校生で一番早いと思いますけど…」
「あり得るだろう。どんな場面でも使い勝手が良いからな…
親父さんが元陸上選手で…しかも短距離選手だったっけか…
そういう意味では吹雪と境遇が似ているか?」
「まるで一緒では無い…
親父は俺にも陸上選手になってほしかったみたいだし…」
「そうだったのか…去年の大会前は追い込みの練習試合で走塁にミスが多くてな…
思い出すだけで吐き気がしてきたぜ」
「本当ですよ…監督が櫛田さんの親父さんに頼み込んで…
俺達…完全に日が暮れるまで全力ダッシュを何本も走らされましたね…」
「特にベーランがきつくてな…
進塁する時をしっかりとイメージして走塁するように言われて…
ちゃんと一塁から三塁までチャックされてな…
走者から見てベース手前の左角を右足の指全体で掴んで蹴り上げるようにして加速しろ…!
ベースをしっかりと利用することを意識!
足の裏まで完全に意識を集中させろ…!
なんて言われてな…」
「そうでしたね。そのお陰で俺達の走塁レベルは向上しましたし…
今でも身に染み付いています…
選手全員のベーランタイムもかなり縮みました。
プロの陸上選手の理論と指導者陣の野球理論が混ざると…
凄い化学変化が起きましたね」
「だが息子の俺からしても…もう…今年は無いことを祈るばかりだ…」
真鍋を中心にして先輩たちは本気で素振りをしながら時々休憩がてらに話を進めていた。
現在の帝位高校一軍はU‐18の候補に入るほど超有名選手のようだった。
「吹雪はその内…U‐12とか…って気が早いか」
「有り得なくないですよ。吹雪の実力は小学生の枠では収まらない。
もちろん中学生の枠にも収まらないでしょう」
「そうだが…チームに所属している選手じゃないからな…
今の吹雪は知る人ぞ知るって選手だし…」
「それこそ今日来ているスカウトやネット記事の記者が吹雪の活躍を見て拡散する可能性がありますよ」
「そうなったら…吹雪は大変そうだな…」
先輩たちは俺の話題を勝手に繰り広げて憂慮しているようだった。
「夏なのに一人だけ高級そうなスーツ姿の人がいましたけど…」
真鍋は何気なしに発言をしていたようで…
そこには何の企みも思惑もなかったように思える。
「それは…梅田と仙道を見に来た海外のスカウトだよ。
あの二人の注目度は海を越えている…
どうやら海外のスカウト市場でも上位の候補選手として上がっているそうだ」
「確かに…大会本番を見に来るなら分かりますが…
ただの練習を見に来るくらいですからね…」
「真鍋の認識は少し甘いかもな」
「どういうことですか?」
「あぁ。スカウトは大会で当たるどのチームよりもうちの打線との対戦成績に重きをおいているようだ」
「えっと…?即ち?」
「だから…うちの投手が対戦して一番苦しい打線は…うちのスタメンってこと」
「なるほど。それならば練習を見に来る理由にも意味にも繋がりますね」
「そういうこと。もうそろそろ雪城と米良も戻ってくるだろう。
全員準備できているか?」
キャプテン副キャプテンが不在の中…
最後に選手たちの士気を高めるように声を上げたのはファーストを守る三番打者…
妹尾だった。
全員が唸り声を上げている。
やる気や士気やモチベーションが完全に整った選手たちは今か今かと打撃練習が始まるのを待っていたのであった。
「九条監督は…というよりも帝位高校は神田元選手を指導者に迎え入れたんですね」
「あぁー!それなら私も先程見ましたよ!
帝位高校のユニフォームを着て投球練習の指導をしていました!
現役時代かの様な懐かしい姿が見られて…思わず声をかけたくなりましたよ!」
「梅田と仙道が海外を視野に入れているからでしょうか?
神田元選手に様々なことを教わっているとか?」
「それもあるかもしれませんね。
海外に行けば今までとは環境を含めて沢山のことが変化していきますからね」
「そうですね。ストライクゾーンの違いにボールの違い…
海外に挑戦するプロの投手が最初にぶち当たる壁ってよく聞く話ですよね。
その対処法を高校生の内から神田元選手に伝授してもらえるのは…
とてつもない財産ですよ。
他の選手よりもアドバンテージがありますし…
梅田と仙道はやはり海外に行くと決断しているんでしょうかね…」
「それは…向こうで気取ったスーツ着ている彼に聞いたほうが早いのでは?」
「嫌ですよ…付き合いのある人じゃないですし…
こちらが情報を探ろうと近づいたら…
逆に情報を奪っていく…
彼はそういう人だって業界では有名でしょ?」
「ははっ。そうですね。触らぬ神に…ってやつですね」
「そうです」
プロ球団のスカウトも夏の全国大会本番前の練習の様子をしっかりとチャックしに来ており…
本格的な練習が始まるまで固まって雑談を繰り広げていたのであった。
「向こうに業が居たと思ったんだが…私の見間違いだっただろうか?」
「いえいえ。私も見ましたよ。熱心に投球指導をしていました」
「まだ現役で活躍できただろうに。まだ三十代だろ?」
「ですね…業が契約更新せずに引退するって言った時は…
世界中に衝撃が走りましたから…」
「本当だな…まだまだ現役で記録を伸ばせたはずなのにな…」
「数字に興味ないって言っていたのが懐かしいです。
他にも理由があるって囁かれていましたが…
何かご存知です?」
「さぁな。あれから約十年が経過しようとしているが…
真相は謎のままだ。
環境が合わなかったとかチームメイトと上手くいかなかったとか…
散々言われているが…
本当のところは分からない。
元チームメイトは皆んな…業を心から尊敬していたと言っていたし…
今でも尊敬していると口を揃えて言っている」
「その噂が流れたのって…業が引退してすぐに国に戻ったからですよね?
やはり生まれ育った国が恋しくて帰ったんだって…
一部のメディアは…
「世界的野球選手 神田業 遅れてきた大人のホームシック」
だとか…
色々と揶揄するような言葉が書かれていましたから…」
「勝手なこと書いているように思ったが…後で業と話せないだろうか…」
「どうでしょうね。
業の謎にも迫りたいですが…今は梅田と仙道を中心にチェックしましょう」
「だな。そう言えば…スタメンに混じってバット振ってる…あのチビは何者だ?
高校生なわけ無いよな…中学生とも思えんし…
誰かの弟か何かか?
コネか何かで夏休みの間だけ練習参加しているとか?」
「それにしては…チームメンバーに馴染んでいますね…
スタメンに沢山話しかけられていますし…
何者です?
夏の全国大会前に子供を参加させるメリットなんて無いはずですよね?
逆にデメリットしか無い。
そもそもレベルが違いすぎるはずですし…
九条監督は何を考えているのでしょうか…」
「わからないが…お…噂をすればインタビューを終えて帰ってきたみたいだぞ」
「本当ですね。そろそろ始まりそうです。集中しましょう」
九条監督とキャプテンの雪城、副キャプテンの米良がグラウンドに戻ってきてアップを済ませていた。
打撃練習は今にも始まろうとしていたのであった。
一軍ベンチ入りメンバーと二軍スタメン選手が守備についていた。
捕手は守備起用としてベンチ入りしている二年工藤だった。
工藤は夏の全国大会で貴重な一枠を手にした守備職人だ。
投手以外のポジションをマスターしていると言って良い程の守備職人で…
それを可能としているのは彼の運動神経の良さと野球IQの高さが理由と言えるだろう。
代打起用の倉井はサードを守っており。
同じく代打起用の報瀬はファーストを守っている。
代走起用の二年新橋はセンターを守っている。
同じく代走起用の二年中井はライトを守っていた。
これでスタメンと控え選手併せて十八人が揃っていた。
しかしながら今年はベンチ入りメンバーが二十人と席は二枠空いていて…
残る二人は代打、代走、守備。
どこでも起用できるオールラウンダーだった。
だがしかし…
彼らの本職はランナーコーチャーだ。
ファーストコーチャーズボックスに向かったのは三年の南。
サードコーチャーズボックスに向かったのは三年の東。
彼らは万能選手として高い実力を買われていた。
二年生中心の代打、代走、守備起用の選手たちは来年のことを視野に入れた九条監督の采配だと言える。
二年生で唯一のスタメンである真鍋は明らかに来年も中心メンバーだ。
一年生で唯一背番号を貰っている城は今にもエース候補と言って差し支えない。
来年の帝位高校も盤石の布陣が既に出来上がっていた。
九条監督はベンチに腰掛けて…
打撃練習はスタートした。
「サインは出さん。だが打てのみがサインだと認識してもらう。
それ以外のサインを私は出さない。
打撃練習だ。
自由に伸び伸びと打ちなさい。
しかしちゃんと実践を想定するように。
捕手の配球を読み、投手の思考を感じ取り…
バッテリーの考えを盗みなさい。
では一番櫛田から行きなさい!」
選手たちは返事をしてベンチの前で投手のタイミングを図りながら素振りを行っていた。
投手陣の指揮を取るのは父親だった。
先発投手はエースの梅田だ。
いきなりやり辛い好投手相手に一番打者の櫛田は左打席に入った。
梅田は初回から好投を続けている。
一番打者の櫛田をボテボテのショートゴロで打ち取ったはずだった。
しかしながら櫛田の俊足で内野安打を許す。
二番打者の副キャプテン米良は走攻守が揃った完全なオールラウンダーだ。
かなり評価が高い二塁手である。
バントを多用する二番打者ではない。
一番打者が塁に出たら帰塁させるほどの打撃力を誇る二番打者だ。
セットポジションに入った梅田のモーションを盗んだ櫛田は盗塁。
ノーアウト二塁の状況。
大きな当たりで無くとも櫛田の走力なら帰塁が可能と思われた。
しかしながら左打者の米良はセカンドゴロに倒れる。
ただし進塁打となった当たりのお陰で櫛田はセカンドゴロの間に三塁へと進んだ。
続く三番打者の妹尾は一球目のスプリットをすくい上げて外野の深い場所までフライを飛ばす。
犠牲フライとなり櫛田は帰塁して一点目が入った。
「あぁー。言い忘れていたが…各投手からもぎ取るノルマが存在する。
梅田からは二回までに三点をもぎ取らないとならない。
もぎ取れなければ素振りの回数を増やしてあげよう。
左右共に200回追加のプレゼントとする。
もちろんこちらがノルマ以上の点を取れば投手にも追加の練習メニューが与えられる。
負けたくないよな?
ならば絶対に点をもぎ取れ!
後二点だぞ!」
九条監督の遅れた報告に選手たちは目の色を変えて打席へと向かっていた。
四番打者のキャプテン雪城は左打席に立つ。
かなりの威圧感があり…
確実に帝位高校野球部で一番の強打者だと予想された。
「吹雪。雪城の打席をよく観ておきなさい。
フォームを参考にしろと言っているわけじゃなく…
キャプテンとしての姿や…
お前がいずれ目指す理想以上の遊撃手の姿を見ておくんだ。
お前が高校生になった時…
雪城を確実に超えた選手にならなければならない。
お前の前に現在立ちはだかっている壁は…
今の雪城と言っていいだろう。
しっかりと観ておきなさい」
それに大きな声で返事をすると俺は雪城の打席をしっかりと目に焼き付けていた。
雪城を相手にしている梅田は今まで見せたことがないほど苦しそうな表情を浮かべていた。
工藤のサインに何度も首を振り要求するコースや球種に納得がいっていないようだ。
たまらずにタイムを掛ける工藤は梅田の下へと向かい…
一分ほどの話し合いの結果どうにかサインが決定したようだった。
梅田が投げたがっている球種はスクリューだったようで…
左打者の雪城の足元へと差し込まれてくる梅田の自信のある球を…
四番を任されている雪城はインローからすくい上げるようなアッパースイングをしていた。
「梅田が雪城に苦手意識や対抗意識を燃やしているのは一年の頃から変わらんな。
自分のウィニングショットがストレートだとまだ自分で気付いていない。
捕手の工藤はよく分かっていたのにな…
正捕手の真鍋の言うことなら信じたのだろか。
もっと色んな捕手とコミュニケーション取らせないとな。
これは俺の指導者としてのミスだな…
この対戦で梅田が負けたのであれば…
俺自身にもペナルティを課そう…」
九条監督の嘆きの言葉が耳に飛び込んできていて…
しかしながら俺は眼の前の光景に驚きを覚えるばかりだった。
インローに差し込まれたスクリューを思い切りすくい上げるような豪快なアッパースイングをした雪城は真芯でボールを捉えていた。
「ゴルフのスイングみてぇだ。よくあれでバットに当たるよな…」
誰かが漏らした言葉が印象的で俺は昔父親が観ていたゴルフ中継の場面を思い出していた。
バットの真芯を捉えた球は信じられない弾道とともに光の矢の様な速度でライトスタンドに刺さっていった。
雪城は打つことが当然というように無表情でダイヤモンドを一周した。
ホームベースを踏んだ雪城は捕手である工藤に何やら助言をしていた。
これで打者側は初回から二点をもぎ取っている状況だ。
しかしながらツーアウトと初回のアウトカウントは残り一つしか残っていない。
五番打者の宮下が右打席へ入るが…
梅田は明らかに吹っ切れた表情を浮かべている。
先程の本塁打にまるでダメージが無いような…
むしろ雪城との対戦が終わってホッとしているように思えてならなかった。
工藤が要求するサインは明らかにストレートが多くなっているように思える。
先程のように変化球中心の投球では無くなっていた。
「雪城。さっき工藤に何を伝えた?」
九条監督はベンチ前で素振りをしている雪城に尋ねている。
「はい。梅田が嫌がってもストレートを多用するように助言しました」
「そうか。よくやった。流石キャプテンだ。チーム全体をよく見れている」
「はい。ありがとうございます」
ストレートが多くなった梅田は五番打者の宮下をサードフライに抑えて初回を終えたのであった。
概ね五分間の給水、休憩が行われていた。
梅田は父にアドバイスを貰っているようだった。
五分が経過すると梅田が再びマウンドに上がる。
六番打者の木内から始まる二回だった。
左打席に入った木内を見てきれいな構えだと思った。
一球目からバットを振っていくスタイルも超攻撃型の打者だと感じる。
スイングスピードもきれいな構えから繰り出されるものとは思えないほど速く強く豪快だった。
当たってしまえば梅田の球でもスタンドに放り込んでしまう。
そんなイメージが簡単にできてしまう。
二球目に放られた豪速球のツーシームが詰まった当たりとなり…
だがしっかりとバットを振り抜いたお陰でセカンドの頭を超えてライトの前にポテンヒットとして落ちてくれる。
いきなりノーアウト一塁の状況が出来上がり…
続くバッターは…
七番真鍋。
明らかにチーム全体に期待されている真鍋は左打席に立つとランナーの木内にサインを送っていた。
唐突にサインを送られた木内は軽く動揺した表情でヘルメットのつばを触った。
投球モーションに入った瞬間に脇目も振らずスタートする木内。
流石の工藤も真鍋のサインを読んでいたのかアウトハイに完全にボール半個分外すように要求していて…
梅田も注文通りの球を投げて…
工藤はすぐに盗塁を阻止するために立ち上がってモーションを取っていた。
しかし…
端的に言って工藤よりも真鍋の方が思考能力に長けていたのだろう。
それに加えてU‐18の代表選手に二年生から正捕手候補として名が上がっている真鍋の打撃能力も突出しているようで…
アウトハイにボール半個分外れたボールを逆らわずに流し打ちする。
ショートとサードの間を抜けていく痛烈な当たり。
先輩たちが先程話していた噂の走塁力を見せつけたのは木内だった。
スタートを切っていた木内は事情を知らない外部の人間には無謀な暴走と言われるほどギリギリなタイミングで三塁まで進塁して…
レフトからの送球を受け取ったサードはタッチをするが…
ほんの一瞬だけ木内のスライディングする右足がサードベースに届いていたようで…
審判はセーフのコールをした。
「ふっ。去年の走塁練習がしっかりと身についているようで何よりだ。
今年も櫛田の親父さんに頼むところだった」
九条監督の悪魔的な言葉を耳にして…
全選手がヒヤリとしていたことだろう。
六番、七番の功績のお陰でノーアウト三塁一塁の状況が出来上がっている。
続く八番打者の持田が右打席に入る。
梅田から後一点取らなければならない状況。
しかしながらここから一点取るのは…
犠牲フライでもスクイズでも可能なわけで…
ただし打撃練習ではスクイズも禁止されている状況。
帝位高校八番打者の持田もかなりの好打者だそうだ。
犠牲フライを打つぐらい造作もないように思える。
それが帝位高校投手陣相手で無ければの話だが…
梅田が一球目の投球モーションに入ると真鍋は二塁へと盗塁を成功させる。
これで併殺は無くなった。
持田からしてもかなり楽に打てることだろう。
二球目のスライダーがアウトコースから切り込むように入ってきて…
待ち構えていたかのように振り抜いた持田だった。
「吹雪と勝負する前の梅田だったらな。二塁打か…下手したら入っていただろう。
だがあの日の梅田から確実に進化しているんだよな…
持田の狙いは本当に良かった。
神田親子のお陰で梅田が次のステージに進んだことを手放しに喜びたいが…
持田は軽く落ち込んだだろうか…」
九条監督の嘆きを耳にしながら…
俺達は打球の行方を追っていた。
高く上がったフライはサード定位置の頭上に上がっていた。
それをしっかりと処理したサードの倉井だった。
ワンナウトランナー二塁三塁で九番の俺に回ってきた。
「吹雪。眼の前の投手は先日負かされた梅田だぞ。
負けたままで良いのか?
お前で三点目をもぎ取ってこい!」
「はい!」
九条監督の期待の眼差しに応えるような返事をすると俺は打席に立っていた。
梅田、工藤バッテリーは配球を変えずにストレート勝負で挑んできていた。
確かに浮き上がるような梅田の豪速球は打ちにくい。
難なく打って二回で二点をもぎ取っている帝位高校スタメン打線がおかしいのだ。
本日の梅田は明らかに制球力にも長けていて球も信じられないほど走っている。
1-1の三球目にインローギリギリにストレートが向かってきている。
俺は本日打席に立つまでずっとあることをイメージして思い返していたのだ。
雪城の信じられないゴルフスイングのようなアッパースイング。
あの場面を幾度もイメージしていた。
俺にあれが出来るのかと…
ベンチ前で素振りをしている時もそんなことばかりを考えてイメージしていた。
お誂え向けのストライクゾーンギリギリのインローストレート。
真似ではなく俺の形で…
この球を打ちたい。
超えるべき高い壁の雪城に少しでも追いつくために…
同じ様な球を打ちたいと切望したのだ。
豪速球がインローギリギリに差し込まれて…
俺は模倣する訳では無いが雪城のスイングを思わず参考にしていた。
梅田の豪速球を真芯に捉えたバットを全力で振り抜く。
雪城程の弾道が無く弾丸ライナーがライトスタンドへと向けて飛んでいく。
しかしながら入ることはなく…
フェンスに直撃した当たり…
ランナーはホームへと帰塁してくる。
俺は全力で走塁を行って二塁まで進塁。
走者一掃のツーベースとなる。
ベンチからは割れんばかりの声援が送られていた。
それに応えるように右手を上げると…
「梅田。マウンドを降りなさい。ノルマの三点を超えられた。
五分休憩の後…次の投手。
仙道がマウンドに上がりなさい。
三回ノーアウト一番打者からの攻撃で再開する」
九条監督の無慈悲にも思える宣言により梅田はマウンドを降りるのであった。
仙道、烏田、駒井、城。
一軍ベンチ入り投手五人を俺を含んだ帝位高校打線は完全に打ち崩して打撃練習は夕方頃に終りを迎えたのであった。
「梅田、仙道、烏田、駒井、城。
お前ら投手陣の課題を神田コーチと一緒に考えた。
まず梅田。
お前は意識の根底から考え直しなさい。
自らの豪速球であるストレートは完全なる決め球だ。
変化球だけがウィニングショットでは無いぞ。
ストレートが生きるからこその変化球。
その逆も然り。
それにお前のストレートは打者からすれば一番厄介な変化球みたいなものだ。
ホップして浮き上がる豪速球なんて打者からしたら最悪だ。
もう少し自らの能力や実力を見つめ直しなさい。
次に仙道。
お前は捕手を信じてなさすぎる。
特に後輩だからか正捕手の真鍋や控えの工藤のことを信頼できていない。
お前が二年の頃は先輩捕手だったから言うことを聞いていたのか?
逆らったら怖かったか?
それならばお前は後輩にしか強気に出られない臆病者ってことだと認識するが?
そんな不名誉を指導者陣やスカウトの人間に評価されたくなければ…
後輩だとしてももっと捕手を信じなさい。
いきなり信じるのが無理であるならば…
捕手を集めて沢山話しをしなさい。
お前の実力が梅田と拮抗しているのに今回の打撃練習で五点ももぎ取られたのはお前が自分のことばかりを信じ考えているからだ。
もっと味方を信じて楽に投げられるようになること。
お前ら三年の二枚看板が選手を集めて話をする。
それぐらいの行動力を見せて欲しい。
プレイ中だけが野球じゃないんだ。
試合が始まる前から野球を始めているチームが強い。
それをしっかりと理解して考え続けなさい。
次は烏田。
よくここまで調子を上げたと言わざるを得ない。
ノルマが五点に設定されていたのが功を奏したが…
よく打線を三点で抑えきった。
春の大会で指摘した短所も改善されていると感じた。
二年のお前がうちの強打線を三点で抑えることが出来たんだ…
初戦の先発起用も視野に入れておこう。
今のところ先発投手陣の中でお前が一番乗っている。
この調子でいきなさい。
ただ一つだけ。
吹雪との対戦は引きずるな。
本来ならあいつは試合に居ないからな。
気にしすぎるな。
次は駒井。
今日の投球は終始お前らしくなかったな。
打たせて取るのがお前の強みだと思うんだが…
工藤もそれを踏まえたサインを要求していたはずだ。
しかしながら何度もサインミスがあったように思える。
先日の吹雪との対戦がお前の心境に変化をもたらせたことは野球ノートを通じて知っている。
だが芯を喰って打たれた当たりもサードライナーでしっかりと抑えていただろ。
結果的にあの勝負はお前の勝ちだったわけだ。
それなのに今日の吹雪との対戦は何だ?
前回の勝負の焼き増しのような投球。
そこまでしてねじ伏せたい好打者なのは投手の思考として理解できる。
結果コテンパンに打たれているようでは…
スカウトが観ている前でお前は…
自分自身で投手として圧倒的存在ではないと自らで証明したようなものだぞ。
あまり一人の打者に固執するな。
それで調子も本来の持ち味も失っているようでは来年は席を奪われるぞ。
お前ら投手陣には大会までメンタルトレーニングを多めに採用する。
次は城。
とにかくお疲れ。
良いピッチングとは言えないが…
なんとか二点で抑えたな。
クローザーとしては無失点で抑えてほしかったが…
大会までに修正しような。
ただ苦手意識がある打者が丸わかりだがな。
雪城と吹雪はそんなにお前の存在を脅かす打者に映るか?
工藤のサインには首を振り続けて…
雪城と吹雪の前後の打者には気持ちが入っていない。
クローザーとしてあるまじき四球を何個出した?
最終回を任される守護神がチームの士気やテンションを下げてどうする。
最終回までに全力で気持ちを作るという部分。
今日の打撃練習でお前の課題もしっかりと浮き彫りになったな。
全国大会でも全試合の最終回をお前に任せることになるんだ。
気持ちの作り方をリリーフ投手である駒井と共にしっかりと話し合いなさい。
とにかくお前たちの課題はメンタルの未熟さ。
優秀な選手故に捕手を完全に信じられない精神的幼さ。
お前たちが日頃投球のことを考えているように…
捕手だって投手のことや配球のことを日頃から考えているんだ。
もっと歩み寄りなさい。
正捕手の真鍋は信用に足る選手だ。
もちろん控えの工藤もだ。
とにかくもっとコミュニケーションを取ること。
メンタル強化を大会本番までの残り短い期間で徹底的に鍛え直す。
では後は神田コーチに任せます。
私はスタメンメンバーにも同様に課題を言い渡してくるので」
九条監督に任される形で俺は投手たちとミィーティングを行うのであった。
「一番櫛田。
好走塁や足を生かした打撃は流石の一言だった。
出来るならばもっと次の塁を意識すること。
打者として走者として相手チームのミスを誘うような撹乱する厄介な一番打者を目指し続けなさい。
二番米良。
今日は調子が上向きでは無かったように思う。
午前中から不慣れなインタビューで精神的に疲れていたのだろうと予想できるが…
夏の全国大会はこの球場で行われるわけではないぞ?
宿舎もここの寮ではない。
勝ち進めば慣れない環境が長い時間続く。
その度に言い訳するつもりか?
とにかく不慣れな場所でも自らが落ち着ける術を覚えなさい。
何でも良い。
この曲を聞いていると落ち着くやテンションが上がる。
他にもこのアニメのこの場面を観ると元気になる。
逆に心を沈めるために試合開始まで読書をするやクラシック音楽を聴く。
好きな芸能人や有名人の画像を観る。
何でも良い。
お前に合ったテンションの維持や上げ方を大会本番までに覚えなさい。
一、二番で一点を取るのがうちの理想な打線だということを忘れるな。
さすれば先発投手の援護となり助けとなる。
もっと自分を知りなさい。
三番妹尾。
お前の次に控える強打者をしっかりと頭に入れておきなさい。
お前が打点を稼ぐのも良いだろう。
しかしながら全国には好投手がゴロゴロといる。
長打が難しいと感じたのであれば次の雪城に全員を返してもらうと信じて打ち方を変えなさい。
お前の打者としての能力はチームの中でも随一だ。
単打で雪城の前にランナーを溜めることも頭の隅に入れておくこと。
器用なお前なら出来ると信じている。
帝位高校の三番打者を任されている自分の打撃能力をもっと信じなさい。
四番雪城。
お前はいつも通りよくやった。
大会も同じぐらい…いいや…それ以上の成績を期待する。
文句は一つもない結果だったと言っておく。
五番宮下。
雪城がお前の前の打者と言うことでランナーがいない場面が多いことだろう。
ここからまた新たにチャンスを作る。
チャンスメーカーのお前ならばもっと安打を量産できるだろう。
二塁打や単打。
大きく狙えると思ったら放り込んでも良い。
ランナーがいない自由な状況なのだ。
もっと気軽に自由に打ちなさい。
それが出来たらお前から確実に二度目のチャンスが作られる。
大会本番も期待しているぞ!
六番木内。
利口で器用なバッティングをするお前を宮下の次に置くことが指導者にとってどれだけ安心できる事だと思う?
五番、六番、七番のお前たちはもっと自由に打って良い。
三人で一点取らなければ…!
などと固くなるな。
縮こまって打つ必要はない。
指導者はお前らにもお前らが思う以上に期待している。
期待以上の活躍を…!
などと真面目なお前らは思うかもしれない。
だが先程も言った通りだ。
自由に奔放に行け!
七番真鍋。
今日も流石の一言だった。
打者としてランナーに積極的にサインを出し打者としてもチームの中心だったと言えるだろう。
三年のお前らも真鍋から沢山のことを学び吸収するように。
ただし役割を全うすることばかりに思考を持っていかれるな。
自らで打てると感じた時はホームランを打っても構わない。
帝位高校打線はどの打者も難なくホームランを打てる選手で溢れている。
代打も含めて強打者揃いだ。
打てると思ったらいつでも打って良い。
ただし打てると思ったのであれば確実に仕留めること。
今日もナイスプレイだった!
八番持田。
投手を抜いた選手の中で自分が一番打てないから八番だと勘違いしていないか?
お前だって帝位高校のスタメンだ。
走攻守全て揃っていて他の選手よりも突出して優れているからスタメンなのだ。
お前は三年生になっても自信が薄い選手に思える。
それでも結果を出す選手だから起用している。
ただ夏の大会までにお前もメンタル強化。
自信を持てるようになり覚醒することを期待する!
本来なら以上だが…
九番吹雪。
なんというか…
プロのスカウトや海外のスカウトの前で今日もとんでもない活躍をしてくれたな…
これでお前の存在は世間の目に晒されることとなるだろう。
ネット記事の記者も何名かいたしな…
もう既に記事になっていても可笑しくない活躍だった。
今日は本塁打こそ出なかったものの…
打ったヒットの数は雪城と一緒でトップの成績…
こうなることを予想していたわけでは無いんだがな…
俺も指導者として覚悟を決めるとしよう。
翌日よりお前のことを尋ねてくるスカウトや記者が増えるだろう。
とにかく今から注目選手としてスターの仲間入りだ。
俺達指導者がしっかりとお前を守るからな。
余計な心配をせずにプレイに集中しなさい。
とにかく今日も破竹の快進撃だった。
よくやった。
それでは残りの時間はメンタル強化の練習へと移行する。
選手は室内練習場へと向かいなさい」
それに返事をした選手たちは急ぎ足で室内練習場へと向かうのであった。
「あの九番打者は何者だ!?小学生じゃないのか!?
帝位高校一軍投手全員から安打を量産!
天才雪城と並ぶ安打数と打率!
本当に何者だ!?」
「インタビューをしたくて九条監督を探しても何処にもいませんでした!
記事には謎の小学生!?と書いておきましょうか!?」
「小学生がプロ注目投手である梅田や仙道…
怪物一年クローザー城からも打ったとあれば…
世間が騒ぐぞ!
一気に世間に衝撃が走る!」
「ただ誰かに打ち方が似ていなかったか!?」
「俺も思ったが…参考にしている選手がいるのだろうか!?」
「雪城に対抗意識があるようだったが…遊撃手か!?
同じ様なボールを同じ様な打ち方で捉えた時は焦ったが…
本当に小学生に雪城と同じ芸当が出来るのか…!?」
「となると彼は天才以上の存在になり得ないか!?」
「とにかく写真撮っておこう!謎の小学生帝位高校スタメンの練習に混ざる!」
「動画撮っていた人は共有して欲しい!この後の飯ぐらいは奢るから!」
プロのスカウトや海外のスカウト…
ネット記事の記者やスポーツ雑誌の記者など…
本日、帝位高校の練習を見に来ていた部外者達は一丸となって騒いでいたのであった。
そして…翌日を迎えることもなく…
神田吹雪という天才少年の話題は様々なシーンで話題の中心となるのであった。
それを僕ら親子はまだ知らないのであった。
次回へ…!
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