怖そうで怖くない少し怖い寝室の幽霊の話
霧野
寝室の隅に佇む男
ある男性が体験した話です。
彼には少し霊感があるようで、それまでにも宿泊先のベッドの上に浮かんでいた髑髏や、通りすがりのバスの最前席に座る骸骨を見たことがあるのだとか。
とある夜。夜中にふと目が覚めた彼が寝室の入り口を見ると、そこには故・安岡力也似のコワモテなおじさんが立っていました。その人はスッと腕を伸ばし、彼の隣ですやすやと眠る妻を指差します。その表情は、不満げというか、物言いたげな感じに見えたそうです。
翌朝彼が奥さんにそのことを話したところ、驚愕の事実が。
彼女は同じ日、入浴前のストレッチをしている最中にうたた寝してしまい……
「急に胸にずっしりと重いものが乗った感覚を覚えたから、即座に心の中で『うたた寝の邪魔! 退け!』と怒鳴りつけたらスッと軽くなってぐっすり眠れたー」と笑ってのけたというのです。
件のコワモテおじさんについては心当たりがなく、「通りすがりの霊が『旦那、あいつストレッチサボって寝てましたぜ』って告げ口でもしにきたのかね?」と笑い話になって、終了。
……ストレッチどこいった? という疑問はさておき。
幽霊を見たのに「眠かったから無視して寝た」と笑う彼と、胸に乗ってきた得体の知れない何かを「うたた寝の邪魔だから」と一喝で撃退する奥さん。
似たもの夫婦といえばそれまでですが、双方とも幽霊より眠気を優先するメンタルが恐ろしくはありませんか?
ちなみにこの男性、宿泊先で見た髑髏も「眠かったから無視して寝た」。それを聞いた奥さんも「へえ、怖いね」と言いつつも全く動じず。
さらに自宅でも、スリープ状態にしたパソコンは勝手に起動するわ、自動式ハンドソープディスペンサーが無人なのに作動するわと、ちょっとした不思議現象が頻繁に起きていたのですが、それらも無視していたらいつしか消えたそうです。(ハンドソープの垂れ流しは無駄になるので、さすがに手動式のに買い替えた)
幽霊には恐れず騒がず、無視か恫喝がいいみたいですね。
試してみる勇気があれば、どうぞ。責任は負いかねますが。
終わり💀
怖そうで怖くない少し怖い寝室の幽霊の話 霧野 @kirino
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます