死神の日々

@yutaro7

こんらんしたたましい...

ここにいる少年の前景はぼやけており、繋がりがなく、まるで不透明なベール越しに世界を見ているようだった。彼はゆっくりと目覚め、感覚が苦労して再調整されていくのを感じた。学校の前の草むらに横たわっており、夏の午後の蒸し暑さにほぼ窒息しそうな抱擁を受けていた。空はオレンジ色に黄色味がかった色合いで染まり、セミの絶え間ない鳴き声に合わせて振動しているように見えた。セミたちは木の枝の間に隠れて、まるで爆発する寸前のような強烈な鳴き声を上げていた。


彼は何度も瞬きをし、霧がかった心を明るくしようとしたが、方向感覚の喪失感は続いていた。かなりの努力をして彼は体を起こし始めたが、体は長い間活動していなかったかのように遅れて反応した。皮膚に傷はなかったが、内なる不快感が彼を消耗させていた—何か根本的に間違っているという不快な感覚だった。


「何が起こったんだ…?」


彼のバランスは崩れており、近くの木に頼りながら、その木の粗い樹皮を手のひらで感じた。動くたびに感覚を思い出し、体との繋がりを取り戻すのに役立ったが、不快感は減らなかった。彼の視線はぼやけており、立っていてもなお脆弱で揺らいでいるように見えた。彼の目は下の草むらに固定され、顔には困惑と哀愁の表情が浮かび、眉が思索にふけっていた。


長い間の後、彼はようやく自分の考えから解放され、周囲の環境を観察するために頭を上げた。彼の心には急かすような好奇心が芽生えた。


「みんなはどこにいるんだ?学校はどうしてこんなに空っぽなんだ…?一体何が起こっているんだ?」


彼は自分に呟きながら、不安が増していった。少年は姿勢を正し、ようやくバランスを取ることができ、歩き始めた。その足取りは遅く、何かを見つけるのが怖いようだった。周囲の静けさは圧迫感があり、どんな音も呑み込んでしまう深い反響のようだった。学校は活気に満ちているはずだったが、まるで時間が止まってしまったかのように人がいなかった。


学校の庭を歩いていると、彼は一瞬立ち止まり、道を飾る紫色の花に目を留めた。それらは丁寧に植えられており、特に大輝がそれを育てるために尽力していたことを知っていた。


「大輝くんは本当にこれを植えるために頑張ったんだ…それだけの価値があったんだな。素晴らしいよ。彼は今ここにいるべきだった。」


彼は肩をすくめ、その不快な思いを振り払おうとし、空っぽの建物の中を歩き続けた。一歩一歩が廊下に響き渡り、場所に漂う奇妙な静けさが増幅された。学校の入り口に到達すると、彼は一瞬躊躇したが、入るときに現実感が増してきた。


教室へ向かって階段を上ると、ロッカーが異常に閉じられており、まるで長い間使われていなかったかのようだった。ようやく廊下の右側にある最初の教室の扉に到達し、彼は慎重にそれを押し開けた。何が見つかるか恐れていた。


「うう…予想通りだったな…」


教室は空っぽだった。誰もいない、一つの魂もなく、声や笑い声で満たされるべき空間が、ただの空虚さで満ちていた。窓の外の増す闇が教室内の人工的な光と対照的で、時間が停滞しているような環境を作り出していた。彼はもう一歩前に進み、靴の響きが孤独感を思い起こさせる。


少年は教室の真ん中に立ち、かつて座っていた机を見つめていた。空虚さが彼を完全に包み込み、まだ理解できない恐ろしい啓示の縁に立っているようだった。


教室を出た後、少年はまだ奇妙な無力感に包まれながら、心を落ち着ける場所を探すことに決めた。空っぽの廊下を漂う静けさはほとんど手に取るように感じられ、見えない存在が彼を付き纏っているようだった。彼の足音は鮮明に響きながら廊下を進み、ついにトイレの入り口にたどり着いた。


彼はドアを押して中に入り、閉じる機構の音がタイル張りの小さな部屋に響いた。部屋は暗く、廊下のわずかな光だけが空間を照らしていた。鏡は薄い埃に覆われ、ぼやけた映像を反射し、現実感がさらに増していた。


「自分がどうなっているか見なければ…おそらく疲れているだけか、夢を見ているのかもしれない。」


彼は鏡に向かって歩き、その歪んだ映像が水面が乱されるように揺れた。近づくと、視界がより鮮明になったが、彼が見たものは心臓を速くさせた。鏡は反射を映し出す代わりに空っぽで、ただの不透明なガラスの空間が広がっていた。何も映っていないただのガラスのようだった。


「…!?」


彼は鏡に触れようと手を伸ばし、冷たく粗いガラスの感触が不安を感じさせた。鏡は彼の存在を吸収しているようで、彼の手が徐々に消えていくように見えた。彼は驚きながら手を引っ込め、心臓が速く打ち、恐怖が増していった。


「何が起こっているんだ?私の反射はどこにあるんだ?私は…私は本物なのか?」


彼は鏡から離れ、息を荒くしながら、目の前にあるものを処理しようとした。周囲の環境は回転しているように感じられ、トイレの壁が彼を圧迫しているようだった。他の物—洗面台やタオル—に視線を合わせようとしたが、歪みの感覚が続き、すべてが濃い霧の中に沈んでいるように感じた。


彼は踵を回してドアに向かい、動きは急ぎ、混乱と無力感の感覚をさらに深めていた。トイレのドアを開けると、廊下が再び広がっており、以前よりも空虚さが強く感じられた。


「これが悪夢であるに違いない…現実ではありえない。」


彼は廊下を進み、答えを見つけるために新たな目的を持って歩いた。周囲で繰り広げられていることはすべての論理に挑戦しており、反射の欠如が何か恐ろしいことが起こった明確な兆候だった。


少年は再び学校の庭に戻り、心臓がまだ速く打ち、頭が混乱していた。方向感覚と恐怖の感覚は減らず、彼は何とかして体験していることの論理的な説明を見つけようと必死だった。廊下の静けさと孤独感はあまりにも圧迫


感があり、彼は外での親しみを求めようとしていた。


花がまだ満開の庭は、彼の内なる嵐と対照的にほぼ平和に見えた。彼は石の道を歩き、柔らかい草の上に軽く足を沈めた。風景は依然として同じであったが、今ではもっと遠くに感じられ、すべてが彼の視界で崩れているようだった。彼は裸足の汚れた足が芝生に触れるのを見た。


彼は木製のベンチに座り、以前はとても鮮やかで心地よく見えた庭を見つめた。しかし、今やそのシーンには荒廃のオーラが漂っていた。少年は空を見上げ、雲が集まり、達成できない遠い記憶のような感覚を覚えた。


突然、学校と庭のイメージが急速にフラッシュのように変わり、議論の映像や絶望の感覚、学校の屋上での最後の決断の瞬間が浮かんできた。彼は自分自身が下を見ているのを見て、決定的な選択の恐怖を感じた。


記憶はより明確な順序で繋がり始めた。彼は運命的な日を思い出し、絶望感が彼を屋上に登らせたことを覚えていた。痛みと空虚感を終わらせる唯一の方法は、すべてを終わらせることだと感じていた。その落下の記憶は強烈で鮮明であり、肉体的な痛みは今や深い苦しみのように感じられた。


少年はベンチから立ち上がり、冷たい波のように襲ってきた真実に気づいた。彼は再び学校を歩き始め、入り口を通り過ぎながら環境を観察し、以前は見逃していた詳細に気づいた。生徒の不在と砂漠のような感覚が今や意味を成していた。彼は学校が二日間閉鎖されていたことに気づいた、それは彼が最終的な決断を下した瞬間からのことだった。


「俺…俺は二日前に死んでしまったんだ。」


彼は学校が悲劇のために閉鎖されていたというニュースやコメントを思い出した。それは、彼にとって時間が止まった場所、最後の体験の形を保ち続ける場所だった。


「私は何も変えることはできない。見えるのは、自分が何だったかの残骸だけだ。」


彼はその空間をさまよう運命にあることを理解し、最後の意味と贖罪を見つけようとしていることを感じた。痛みを伴う真実が明らかになると、彼は悲しみと受け入れの混ざった感情を抱き、学校と庭はもはや自分の過去の存在の断片に過ぎないことを理解した。


まだ美しさと希望に満ちているように見える庭に最後の一瞥を送ると、彼は振り向き、水平線に向かって歩き始めた。記憶だけに属する空間を越えて、最終的な意味を求める孤独な姿となった。

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