第2話 鑑定魔法さえあれば!

「そうだ! 上限回数さえわかればいいのよ」


 武器が許容する付与の上限。それがわかれば失敗することはない。

 ある日、そう気づいたカルマは「鑑定魔術」こそが自分に必要な技術だと確信した。


 どうすれば鑑定魔術を身につけられるか。


「こういう時は専門家に相談ね」


 カルマは店を早じまいすると、町の魔術師ギルドへと早速出かけた。

 直情型のカルマは行動が早い。思いついたら実行に移すのが彼女の長所であり、短所でもあった。


「ねえ、ギルド長。鑑定魔術を学ぶにはどうすればいいの?」

 

 ギルドのトップを相手にするにしては随分となれなれしい。しかし、裏表のないカルマは周囲の人間から信用されていた。

 年上の人間からすると、遠慮のない物言いも裏にある誠実さゆえに、気にならないらしい。


 魔術師ギルドの長は「確かな方法は存在しない」といった。


「鑑定魔術というのは『世界の理』に直接触れようという魔術じゃからな。並大抵のことでは身につかんよ」


 そこら辺に使い手が転がっているような術ではない。


「古い魔術書、スクロール、ダンジョンに湧く宝珠、エルフの古老、古代都市遺跡。これらのどこかになら、あるいは……」


 ギルド長はまるで英雄譚に出てきそうな遺物の例を挙げ、鑑定魔術を知りたいならそういうものを見つけ出すことだと、笑った。


「それは不可能だ」


 と、ギルド長はいったつもりだったが、カルマにはそう伝わらなかった。

 

(そうか。並大抵のことではないのね。でも、少しでも可能性があるなら、やるっきゃない!)


「ギルド長、ありがと! わたし、ちょっくら旅に出るわ」


 カルマは一念発起して付与魔術の店をたたみ、鑑定魔術探しの旅に出た。

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