第6話 初陣
場所は再びMCI第八支部に戻る。
僕たち4人は談話室に移動した。
「そしたら最初に自己紹介だよね。改めまして、あたしは桜木さくらこ!
早期入学組の18歳だよ〜。役割は前線を固めるフロントラインだよ」
早期入学組っていうと蒼太兄ちゃんと同じだな。
確か、増え続ける怪人事件に対して不足したMCI隊員を補うために高校生に訓練を受けさせて入隊を許可するシステムじゃなかったかな…?
「ワイは焔燈(ほむらあかり)、普通に防衛学校を卒業してから入ってるから22歳や。役職は狙撃手をやってるワ。ほんでこいつな…」
「…………、…!?」
大柄な髙木くんが2人に押されてこちらまで連れて来られる。
当の本人は仏頂面を決め込んでいて、どうやっても目線が合わない…
「ほんでこいつが髙木楓、ワイと同じ防衛学校の出身で22歳。救助をメインにしてる訳や、、、近接も射撃もできるけど話おらんからな……(ボソっ)」
「よ、よっよろし、k」
なんとも色の濃いメンツだ…4人1組のチームなのに役割がバラバラなのもまた…
「僕は佐藤勇気、もうすぐ18歳になります。役職は…なんなんだろう…」
「決めてないの(んか)!?」
「は、はい…存在も知らなかったです」
西宮隊長に何も言われてないよー!
一応変身用の装置は受け取っているのだが、緊急時以外の使用は控えるよう伝えられている…
それに前みたいな怪我を毎回負ってしまっては活動にも支障が出てしまう
「そっかぁ、なら一番多い中距離射撃の練習をしてみよっか」
「なら3階の射撃場が空いとったんちゃうか」
「本当!?ならさっそくやってみよー!ってあれ?」
とてつもない音量でサイレンが鳴る。
初めての状況だけど、よくない状況っていうことはよくわかった
「かなんなぁ、こんな時に怪人が出るんか…」
スピーカーから大音量で「大型の武器を扱う怪人が出現、隊員は至急現場に向かうよう、、」などという言葉が聞こえる。
「仕方ない…練習はお預け!勇気くんは楓くんと一緒に避難誘導とか、逃げ遅れた人の救助をお願い」
初めての現場に訓練も受けていない状況で行くことになるなんて…
いや、僕の状況は関係ない!隊員としてできることを全力でするだけだ!
「はい!必ず全員助けます!」
3人は目を合わせ頷くと、それぞれの準備を始める。
楓さんは相変わらずボソボソと話しているけど、僕の分まで装備を取ってつけてくれた。
3人に続いて滑り棒を降りる。
降りた先には複数の車両があり、その一つに急いで乗り込む。
運転席には焔くんが座った
「ほなトばすで!」
一瞬浮遊感を感じたほど凄まじいスピード車両は現場に向かう
***
「グリューーーる!!!」
「怪人は近接武器しか持っておらん!近づかせるな!打ち続けろ!」
怪人が現れたのは住宅街。下水道の工事現場で発見された。
怪人は槌のような大型の鈍器で身を守りながらジリジリと前へ進んできている
今は指揮官と思われる人間が中距離射撃兵たちに指示を出している
「怪人が出現しました!落ち着いて避難してください!落ち着いて!」
近くに公園があり、時間がお昼時だったの相まって子連れが大勢いた。
「げ、現場では、ヒッ、基本的に優先して民間人を非難させっるよ
ば、場合によっては、攻撃の補助とか、治療っも行う、、から」
「は、はい!」
髙木くんは大量の人に怯えながらするべき行動を優しく教えてくれている。
遠くには狙撃を始めようとしている焔くんと大型の盾を構えて怪人に詰め寄る集団の中に桜木さんの姿が見えた。
「さっさと落ち着かんかいじゃじゃ馬ぁ!」
焔くんの弾丸が怪人の右頬を抉る
「グルルオぉぉお!!!!」
怪人はとてつもない大音量で悲鳴を上げながら後退りする
「しめた!」
盾を構えた桜木さんたちが一斉に前進する
続く狙撃、射撃の雨に誰もが勝てる!そう思った。
しかし現実は甘くない
「グリュぉ?」
怪人はその不気味な顔で似たりと笑う
「いかん!何か仕掛けてくるぞ!引けぇ」
指揮官の叫びとほぼ同時に振り下ろされた怪人の大槌は地面を砕き轟音を響かせる
とてつもない衝撃が当たりを襲う
「桜木さん!!!」
土煙の中から現れたのは不気味な笑みを浮かべた怪人とひび割れた地面、そして倒れた前衛たちだった。
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