第4話 入隊
「はじめまして!本日からMCI第八部隊に入隊する佐藤勇気です!宜しくお願いします!」
反応は、、そりゃ渋いですよね…
腕が大根みたいな隊員たちを前に僕のメンタルは限界ギリギリだった
***
遡ること3日前、退院した僕はすでに済まされた退学手続きについての説明を受け(風間さん一体どんな力を使ったんだ…)
家に帰ると荷物はすでに運ばれてて…
(風間さん一体どこに権力使ってるんだ…)
で、されるがままにMCI第八支部に連れてこられた…。
国の最重要施設だからだと思うんだけど入る前に一日かけて身体中を調べられて…食事も取れなかった…。
その分中に入れた時の感動も大きかった。広大な敷地に広がる超巨大な基地。
隊員が住む寮だけでなく、山岳地帯や海岸地帯、実際の街をモデルにした訓練場まである。
「そして、今日からここが君の部屋になる」
西宮さんに連れてこられたのはベッドとトイレ、テレビや冷倉庫などの家具が揃えられた部屋だった。
「に、西宮さん…本当にここに住むんですか…?」
「あ、ああ少々こじんまりしているが最低限のものは揃っているし…」
「ありがとうございます!こんな綺麗な場所で寝られるなんて夢見たいです!」
はしたないことはよくわかっていたが、嬉しさのあまりベッドに飛び込んでしまった。
ふかふかだぁ。幸せ…
「ま、満足してくれたなら結構だ。君の荷物も時期に届くだろうから。
あと、夕食は声をかけるからそれまでゆっくりしていてくれ」
そういうと西宮さんは静かに部屋から出て行った。
そういえば隊服を着ている西宮さんは始めて見たな。
168cmの僕よりおよそ5cm以上も高い長身の体は鍛え上げられており、しなやかだが隙のない立ち姿がとてもカッコよかった。
全国に8人しかいないMCIの隊長の一人。国内における最強格の実力者、それがこれから自分が接さなくてはならない西宮さんなのだ。
***
既存の隊員たちに睨まれる僕を横目に西宮さんは説明を始めた。
「今日、彼はこの第八部隊に特別入隊することとなった。実践経験は一度のみ。わからない事だらけだろうから、うまく助けてやれ」
再び隊員たちのなかでざわめきが起こる
『おいおい、あのヒョロイのなんだぁ?コネ入学かよ』
『しかも若いぞ、ちゃんと訓練受けてんのか?』
『実践経験が一度だって?おいおいまぐれで生き残ったやつならいらねぇぞ』
明らかに歓迎されてないよ…。不安で胸がいっぱいになる。
西宮さん、僕うまくやっていけますかね…
真横に立っていた西宮さんは、一度こちらを見てから舌打ちしてからこう言い放った。
「うるさいぞお前ら!確かにこいつは戦闘経験の浅い素人だ
しかし戦地に赴く、戦いから逃げない根性がある。それは私が保証しよう」
西宮さんの発言に隊員たちは静まり返った
「西宮さん…!」
感動の目線を送ると西宮さんは鬼の形相で僕の胸ぐらを掴んだ
「佐藤隊員!この部隊に入る以上、私のことは西宮隊長と呼べ!いいな!」
「は、は」
「返事はイエッサーだ!」
「イエッサーーー!」
「君はまだ隊員からの信頼が得られていない…信頼を勝ち取るのは君の努力次第なんだ!」
西宮さ、西宮隊長はそう僕に伝えてくれた。
そうだ、ここに来ると決めた以上頑張るのは僕なんだ!
「はい!西宮隊長!」
「返事はイエッサーだ!」
「イエッサーー!」
これからの生活にほんの少しの期待と、とてつもない不安を抱えて歓迎会は終了した。
***
解散したのはいいんだけど、この後どうしよう…まだ基地の内部まで把握できてないのに…
「ねぇねぇ、さとうくんだよね?」
「そうでひゅ!」
唐突に背後から話しかけられて変な声が出てしまった
後ろを見るとそこにいたのはびっくりするほど隊服が似合っていない小柄な少女がいた。
「だよねだよね〜。あたし桜木さくらこ〜よろしくね〜」
「よ、よろしくお願いします」
「敬語じゃなくていいんだよ〜同い年だし」
あまりにふわふわした雰囲気に飲まれそうになる。僕がいうのもなんだけどこの人ほんとに隊員なのかな?
「ありがとわっ!!」
「ほんまに実践経験なさそうやなぁ傷も筋肉もないわ」
なんだこの人ォ!いつの間に首に手回されてたんだ!?
なんならシャツの中に手を入れられている
「やめとけ焔…佐藤が怖がってる…」
何この人ォ!止めに入ってくれた人もごついし顔怖いし!
(手は引き抜いてくれたけど…)
「佐藤くん、二人も今年は行ったばっかりの同い年なんだ〜!」
「ワイは焔(ほむら)燈(あかり)、よろしゅうなぁ」
焔となのる男は狐目の細身な男でどこか掴みどころのない雰囲気がある。
「お、俺はその、えっと…」
190cmはありそうな体格のいいイケメンがオロオロしている…
「ごめんね佐藤くん…この子は髙木楓くん。コミュ障なの〜」
お、同い年…メンツが濃すぎる……
「あの、僕に何か御用ですか…?」
さくらこさんはハッと気づいたようにこちらに顔を寄せてきた
「あのね、私たちと一緒にチームを組んで欲しいの」
小さく可愛い口からこぼれたのは思いもよらぬ誘いだった
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