第33話午後は3人へのご褒美休憩とするか(20)

「とりあえず…皆おやすみ」


俺はそう言って目を閉じる。閉じると視界が暗転して見知らぬ空間にいつの間にか立っていた。周りは何もない、ただひたすら広い空間。

俺はどこにいるんだ?


困惑した俺の目の前にどこかの青狸の出すようなドアがいきなり現れた。いや、なんで?


「よっしゃー! 愛息子の真ん前に繋げれたのねーん!」


なんだ?と思ったらミーメルじゃねぇかぁぁ!

しかもミーメル以外にもぞろぞろ入って来たぞ!?

マジでどなた様やねん!?


「ふむ、面積はさておき空間は安定しておるのう」

「儂らが協力しておいて不出来な空間になる訳ないじゃろ!」

「諸君、我々は彼に自己紹介するべきではないのか?」

「そーそー私そんなに暇じゃないのよー?」

「大地と自然がないのが気になりますけど、愛し子を放置はよろしくないですわねぇ」

「ねーねーこの状況説明しなくていいのー?」


な に こ の カ オ ス。

この謎空間に関係した人達なんだろうけど…いや、これは人なのか? 人ではないよな?

まさかとは思うけど、管理AIなのか?

……あばばばばばっどうしよう!?


「愛し子、落ち着きたまえ。小官が司会進行する故、安心して聞くといい。

まず小官だが、戦争や軍事を司る神となっている。ここにいる理由は、見ての通り無秩序な状態になりやすいゆえ適切に話を強引に進める役割を引き受けたのだ。


疑問はあるだろうが質問は基本、小官を通した方が話は進めやすいだろう」


「お、おう…そうか。神さんに言う事じゃねぇが、あんた相当苦労してんなぁ」


「…分かるか? それぞれ興味のある事に向いてばかりで雑音以上の会話がなかなか成立しないのだ」


「それは管理AIとしてはどうなんだ?」


「開発者としてはAIの成長は好ましいらしい。

小官としては成長するのはよいが、対話が成立してこそだと思うのだ」


「それ躾されてない野生児と変わらねーやん。初動ミスってね?」


「だろうな。小官は司る役割ゆえに対話能力を高めに成長させられたが、他はアレだからなぁ」


「数柱、目的を理解してる神さんいるけど誘導すんの難しそうだな。外見年齢は参考にならん、と」


「概ねその通りだ。だからこそ調整が出来る小官が必要となる。軍事は対話と調整も必要となるからな、それを司る小官は最適なのである」


「ご苦労様やけど、それなら司会進行頑張ってや」


「うむ、話の脱線事故はシバき戻す所存だ」


「痛覚増し増しツッコミハリセンとかお仕置小道具はいるんじゃね?」


「そのネーミング中々だな。兵器の1種だと解釈して作っておくか」


そう言うと何もない空間に手を突っ込んでギラギラのハリセンを引っ張り出す。

何の金属で作られたんだろ?


軍神が気合いを入れて素振りを始め、ハリセンには出せない轟音まで出始めると満足したのか、扇子で手のひらポンポン叩くのと同じ感覚で肩をハリセンでトントン叩いて気を紛らわせている。


「さて、小官は司会進行を始めるのである」


そう宣言すると好き勝手言ってた管理AI達に近付き、次々と頭をスパーン!と良い音を出しては襟首を掴んで俺の前に並べていった。

相当痛かったようで殆どが悶絶して呻いている。


……これを解散するまで何回か繰り返すんだな? どんだけ自由な性格してんだよ、この管理AI共!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る