第39話狩りは最後までやっぱりフィジカル! フィジカルは全てを解決する!

「お前…種族的にこう言うの苦手なんじゃね?

教える前からバテてんぞ? 駆け足移動でコレじゃ、いざと言う時逃げ切れねーぞ?」


「ご、ごもっともです…ぜぇはぁ…ゲホゲホっ!」


「あーあ、これじゃすぐには動けんか。

川には着いてるし、これ飲んで一息入れろ『ウォタ』」


「あ、あざっす…」


ガルフが生活魔法で出した水を浮かばせ、俺の顔の前に固定してくれた。冷たい水が体に染み渡るぜ…。


「おし、落ち着いてきたな? 武器は持てるか? よし、問題なさそうだ。

んじゃ、角ウサギ探して狩ってくが、最初はまず俺が捕まえてくる。

面と向かって戦う事に慣れてねーだろ?

まずは殺すと言う行為に慣れろ」


「お、おう」


そうか。リアリティであると言う事はリアルで大型の獣に襲われてるのと同じ状態になる。プレイヤーなら死に戻りを簡単に選べるから怖くないけど、NPCのフリする俺は死に戻りを絶対に避けなくてはいけない。

襲ってくる大型の獣にビビらず動けるようになれるか?ってのが、今回の目標だな。

俺は種族的な問題で小柄のままで戦わなきゃならねぇ。

それにリアルで獣を殺す経験もした事ねーからなぁ。それも含め、こう言うサポートは心底助かる。

感触に慣れるまで付き合ってくれるからだ。

マジ感謝だわ。


「よし! ここにナイフ突き立てろ!

躊躇ためらうな! 忌避すんな!

狩りにそんなもんは害にしかならねぇと思え!」


「はいっ!」


これが生き物を殺す感触。気分良くないがこれが狩って食って生きるって事なんだろう。住人になったからここまで感触がリアルなんだろうなぁ。

プレイヤーだと多分ゲーム的感覚処理されてると思う。未成年もプレイするからしゃーねーわなぁ。

俺はリアルじゃオッサンですから! オッサンとして意地でも踏ん張らなきゃならねーのよ!


ってな訳で1匹目は多少の思考グルグルはしても何とか持ちこたえれた。2匹目以降?

流石、狼族の獣人だよ!

わんこ蕎麦の如くガンガン捕まえて俺に首斬らせてきて、思考グルグルする暇もねーのよ!

お陰でマトモな戦闘せずレベル4まで上がっちまったわ!


「そろそろ殺す事に慣れてきたな!

ナイフ刺す事に躊躇ためらいや忌避を感じられねぇ!

それでいいんだ。安全な場所ならいいけど、狩りでその2つはお前と仲間の命を奪う元凶になる。

殺す快楽に堕ちない限り、忌避せず躊躇わず殺せ。

忌避し躊躇う奴に自然はぜんっぜん優しくねぇ、それが世界だ」


「う、うすっ!」


まだ中学生か高校生なりたてくらいの年齢だろうに、オッサンの俺よりもしっかり現実を生きてやがる!ゲームの中の現実とは言え馬鹿には出来ねぇわ。

ある意味オッサンの俺より深い人生経験積んでるとも言えるな。


「分かったみたいだから次の段階いくぞ!

次は角ウサギの正面に立って貰う!

ビビって足が竦まないようにする為だ!

もちろん、正面に立ったら逃げるなり避けるなり、戦うなりすぐに選べ!

間に合わなかったら俺が角ウサギの首を斬るから安心しろ」


「はい!」


どこぞの軍曹とまでは言わんが、超体育会系な気がするんだが…?

獣人ってそう言う系なんかねぇ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る