第29話いいか? 俺は幼女にスパルタするはずがない!

「本当は刃の部分を両手指で押さえながら均等に研ぐらしいんだが、僕達は非力で小さな手しかない。

研ぐ時どうしても不安定になりがちだから柄を握って、勢い余って飛んだり思わぬ角度に跳ねたりしないようにするんだ」


「確かにナイフですらアタチ達の手には大きくて研ぎ石に置いてもグラつくでチュね」

「刃の部分だけ押さえるとか持ちづらいでチュ。ワタチ達の手に合った持ち方しないと研げなさそうでチュよ」


「安全第一だよ。すっぽ抜けたら怖いだろ?

自分の指切っちまうかもしれんし、邪道だろうとこのやり方でやってくぜ?

どうせ僕達の手はあまりサイズ変化しないんだろうしな」


「それはそうでチュね。大人になってもあまり今と大きくは変わらないと思うでチュよ」

「す、少しは今より体は成長すると思うんでチュよ?

でも、歳取るまで子供と間違われる姿のままなのは事実でチュ」


「そんな僕達が自分達より大きい手で尚且つ非力じゃない人基準の持ち方をしても、ただ怪我するだけなんだ。

非力なら非力なチビなりの持ち方ややり方ってもんがあると僕は思う」


「「でチュでチュ」」


すごい実感のこもった賛同の相槌を貰った。この2人サイズ関係でどんだけ苦労して来たんだ?

まぁいい、今それを気にしても意味はないから続きを教えるか。


「そしてハッキリ言えるのは僕達の力では、力だけで上手に研ぐ事は出来ないし数もこなせない。

だから体重を使う。力がないなら体重で補うしかない」


「アタチ達の体重で、でチュか?」

「ハンマーを振り下ろすような感じでチュかね?」


「ハンマーの様な激しい動きは要らんよ。

剣の腹部分に指添えて研ぐ時に少しずつ体重を掛けてくだけだ。

そして前後に動かす」


「とりあえずやってみるでチュ」

「わ、ワタチもでチュ」


「おー慣れてきたら持ってきたナイフ全て錆落としするつもりで頑張ってみなー」


「「こんなにぃ!?」」


「だーいじょーぶだーいじょーぶ、イけるイける!」


よし、言うだけ言ったから後は放り投げとこう。俺は俺でソードの研ぎが待ってるからな。

スキル芽生えさせるには数こなさせるのが1番だし、俺にスパルタなつもりはない。ないったらない!


よし、錆は綺麗に落ちてるから次は斬れ味アップだな。その前にスキルどんだけ成長してるか見とくか。


……ふむ、研ぎレベル11か。このソードの錆落としでかなり上がったんかねぇ? 前日のナイフ斬れ味総レベル5がいい経験値になったのか。

スキルの説明見てみると、レベル=斬れ味になるようだ。だがその計算でやってくと高火力斬れ味に求められるスキルレベルが、3桁とか4桁とかひでぇ数値になっちまう。

どっかの段階で斬れ味計算がイコールでなく、途中から掛け算方式に切り替わるんじゃねぇかと疑っている。

レベル10超えた程度では計算方式は変わらんみたいだな。

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