第5話ただのNPCで終わるつもりはないが、しかし脱線はしそうだ

「心底よろしく頼む。ボロ出さない自信がない。動揺したら余計にプレイヤー仕草出そうだから、念入りにお願いします」


「うわぁ…幸い配信を望む住人登録者はホークしかいないから手の空いたAIに事情話して増員しとくのねん。

NPCが配信してるかのように見せたチャンネルだから投げ銭システムも機能解放されたらして貰えるよん?

お気に入りNPCへ直接推し活出来るチャンネルって感じになるのねん。

リアルマネーはもちろん、ゲームにログインした状態での投げ銭はゲームマネーやアイテムも投げ銭に使えるのん。

だから自力では無理なアイテムとかは○○が足りない、どうしようって呟けばいいのねん。

直接お願いしたら駄目だからねん?住人は盗撮に気付かず、困った時に神から慈悲を贈られるって建前でやって欲しいのん。

コメントが気になるなら眼鏡かモノクルを身に付ければいいのん。

そこにコメントのログが映るようにするからねん。あ、リスナーからは眼鏡の奥のログは見えないよん。

ログに反応しても不自然じゃないようにリスナーの助言コメントは、推しの耳に神の啓示として囁かれるって建前になるから気をつけてねん?」


「俺のアドリブ力試されるだと!? 悪ノリコメントに変な反応出さないようにだけは気をつけないとな」


「制限の説明あと少しだから頑張ってよねん。

後は外見や出生をこっちで設定する事になるよん。親とかそう言う背景ない人がいきなり増えるから、自由に動きたいってプレイヤーならではの要望も叶えれる孤児になるのん。

孤児なら家族いなくても不自然じゃないし、それなりに自由に移動出来るよん?

孤児というからには外見年齢もそれに合わせるから諦めのん。

拠点となる場所もスラムが初期固定になるのねん。孤児院に駆け込んで孤児院を拠点にし直すのもありだけど、ホークは1人で生き抜けれるからねん。

他のNPC孤児が入るはずの枠使ってまで孤児院で暮らしたいかよく考えるといいのん」


「孤児院の世話になるつもりはないな。せっかく開拓気分でゼロから始めれるのに。

逆に孤児院を支援出来るくらいやり込んでやるぜ」


「いい意気込みなのねん! 住人になると生産の自由度はプレイヤーの比じゃないから拠点改造もし放題なのねん。

オリジナリティ溢れるアイテムも作れるし、考え方次第のん!」


「そう言う意味では住人の方がより楽しめるよなぁ。そーいや他に外見制限はないのか?」


「あるよん! プレイヤーがやるとNPC孤児より世間知らずの癖に無駄に大人びた孤児になりやすいから、外見と内面のズレを誤魔化す為に選べる種族が限られるのん。

あと外見もプレイヤー登録のアバターとこだわるポイント被る可能性あるから、可能な要望聞きながらこっちで大半決める事になるのん」


「ふむ、まぁなりたいアニメキャラとかゲームキャラとか再現したいとか、参考にしたいとかは被りやすいよなぁ。

俺も面倒くさがって既存の漫画キャラ参考でパパっとやりそうだわ。」


「そういう事なのん。一から作る猛者もいるけど不自然なく美形なアバターに出来る人はあんまりいないのん。

特に目立つのは表情の作り方で、現実の顔から掛け離れた美形になればなるほど違和感のある表情になるのん。

現実の顔の感覚で顔の筋肉動かすとそのアバターの顔に合わない表情になりやすいのねん。

NPCのふりするのに外見バグを疑われるのはとっても避けたいところ」


「なるほど……」


そらそーだわ。どれだけ美形なアバターだろうと出せるのは現実と同じ表情しかないわなぁ。

現実の顔ならそんなもんよなって受け止められる表情が、そいつの理想美形にマッチしてる訳がない。

必ず表情のどこかに歪みが出る。

例えば、態度が卑屈で性格悪い男が爽やかスイートフェイスな美形アバターになったとして、爽やかスマイルを再現出来るのか?

出来たとして常に維持出来るのか?

ふとした拍子に出る表情までコントロールし切れるのか?

答えは、そんなのは無理。素の自分が出てしまう。

美形な状態での表情筋の動かし方は訓練出来ないからな。ぶっつけ本番でゲームでやるしかない、が、身に付くまでに本性バレて偽美形って笑われるのがオチ。

アバターも地に足つけて慎重にやるのが1番だな。

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