第11話 自己紹介はやはり好きなものを中心に語りたい。

「少しお話ししようよ。」

青柳さんがそうやって切り出す。

周りの空気が少し重くなったような感じがした。 

例えるなら、部長会議だとかそのぐらいの緊張。

いや、私の考えすぎかな?

「ここのグループは見ての通り歩夢ちゃんだけ外部進学組なので、どうにか慣れてもらって午後も楽しみたい…ということでみんなで質問し合おう~!」

みんなの軽い返事に乗って私も軽く頷いてみる。

軽く頷いたところでさっき感じた空気の重さが変わるわけでは無い。

気が付いたら青柳さんが謎の紙類を持っていた。

さっきの集合した時が思い出される、もしかしてまた引くのだろうか。

「じゃ、お題の紙がなんでか持ってたから…歩夢ちゃんから時計回りに引いて行って!引いた人から答えてこ~。」

もしかしてだった。


直感に任せ引いた紙に書いてあったのは"好きな髪型"。

「お題は好きな髪型かあ…私はストレートかな、癖毛だからなかなか面倒でできない髪型です。」

「僕は名前が分からない無個性かな、なんとも言えない感じが好き。」

望月君が言う髪型、今の髪型みたいに長い方が好きなのかな?

「俺はツーブロとか、運動してきたから慣れちゃって。」

この人は田中太郎君。スポーツ系のどこにでも居るような男の子。

「私はボブ一択、髪長くすると乾かすのとか面倒だし。」

この人は佐藤花子さん。どこのクラスにも居るような女の子。

「あたしはお団子が好き!髪が鬱陶しくないし、見た目も良いでしょ?」

見てみると青柳さんはお団子していた。

もしかして体育の時はお団子にまとめるタイプなのかな、なんて少し楽しみになる。


「じゃあ次はゆうくん、引いて~。」

望月君は少し引くのを躊躇ってから一番奥の方のを選んだ。

「お題は、好きな食べ物…僕は唐揚げかなあ、やっぱ王道だし。」

唐揚げは美味しいの代表例だと思っている。

二日目の油が強い日には調味料が必須。

「俺はすき焼きかなぁ、鍋の中でも一番特別感あって好きなんだよね。」

わかる、いいお肉の時とかすごくテンションが上がるもの。

「私は味噌汁が好き、あの味ですごく安心するんだ。」

お母さんが作るいつもの味ほど変わってほしくないものは無い。

「お味噌汁取られたからなぁ、それと同じくらいあたしは卵焼きが好き!」

お弁当にいつも入ってる大切な相棒、卵焼き。

私は甘いよりしょっぱい方が好きだ。

「私は美味しければなんでもいいからなぁ…、ステーキとか出てきたらすごくうれしいから好きだな。」

なんて安牌を切って質問から逃れる。


そしてそんなことより一つ気になっていることがある。

青柳さんの望月君へのゆうくん呼びだ。

きっとなんでもないようなことなのは分かっている。

でも何か少し違和感を感じてしまった。

これが嵐の種とならぬように願う。


    ◇


「歌ったね~、この後は何しようか?」

あれから数時間、質問をして歌っての親睦会をしてきた。

「お昼行こうよ、どうかなみんな。」

望月君のその質問にとりあえず頷いていく。

それと同時に近くのご飯屋さんも調べ始める。

結構近くに沢山のお店があった。

少し離れた知らない地というのはやはり興味深いものだと思う。

「じゃあご飯の場所決めようか、一緒に調べて欲しいです。」


そうして近くの和食屋さんに行くことが決まった。

沢山のお店から決まったのは、好きな食べ物の話でお味噌汁が出てきたからだ。

少し遠いけど和食の定食がとても楽しみに頑張るしかない。

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