第14話 河合さんのお泊まり①
「じゃんっ!! 見て見て!!」
夜を迎え、結局河合さんのお泊まりが決まった。
まあ僕が間違いを犯さなければ何事もなく終わるだろう。
……
木の実だけを食し、暗がりの中でひたすらに人類の幸福を願い鈴を鳴らす
そんな努力も一瞬で消え去る河合さんのパジャマに眼福ですはい。
河合さんはショコランパジャマなるものを着ているのだが、ダボッとしたブカブカなパジャマにはフードもあり河合さんが幼く見える。
しかしながら胸の大きさはしっかりとあるので柔らかな膨らみが僕を煩悩へと
こ、こんな時は色違い厳選だ。
心を無にしてひたすらに厳選をするんだ。
そうすれば死にたくなるほどの退屈が味わえる……
「似合ってますよ」
「ふふん♪ でしょ?!」
「まさかとは思いますが、それを見せびらかしたいが為にお泊まりしたとか言わないですよね?」
「何言ってるの? こんなに可愛いショコランパジャマを見せびらかさなくてどうするの?」
「あ、ですよねはい。だと思います」
ショコランパジャマの後ろにはホイップのしっぽもあり、河合さんは無邪気にも僕にお尻を見せてしっぽを振り乱している。
……たまに河合さんの精神年齢を疑いたくなる時があるが、それでも可愛いと思ってしまう自分もわりとどうしようもないと気付いて我に返る。
たぶんロリコンではないから大丈夫だとは思うが、過ちを犯さないという自信はないのが悲しいところである。
僕は自分の事をあまり信用も信頼もしていない。
「それはいつも着てるんですか?」
「いつもは着てないかな。ママになんて言われるか想像するとねぇ」
「……まあ、そのパジャマでなんとも思わないのはパケモントレーナーだけでしょうね」
「そうなんだよっ! まだちっちゃい子だったら可愛いけどさ、流石に高校生ともなるとやっぱちょっと恥ずかしいじゃん?!」
「河合さんにも人並みの羞恥心はあるんですね」
「あたしのこと何だと思ってるの?!」
いやだってパケモンLet’sの時にショコランTシャツ着てたし。
わりと普段使いできるデザインとはいえ、グッズTシャツを着るのはわりと勇気いるよねって話で。
河合さんのショコラン愛には
「よぉぉし!! ゲームするぞぉぉお!」
ダボダボなパジャマでテンション上げてゲームを始める河合さん。
はしゃいでる姿は小学生そのものにすら感じる。
そういえば小学生の頃のクラスにも居たな。
林間学校の夜にゲーム持ってきて張り切ってたやつとか恋バナしたがるやつとか。
まあ僕は部屋の隅っこにいましたけどね。
「てかさー、追加コンテンツのフィールドのパケモンのレベルって強くない?! ちょとキツいんですけど?」
「そりゃまあそうでしょう。基本的にはメインストーリー後の話ですし」
メインストーリーの時よりも平均的なレベルはもちろん上がっているわけだが、過去作のパケモンを始め過去作御三家なども野生で出現したりするわけで、自由度が上がる分ゲームバランスとしてはやはり総合的に上がっている。
据え置きゲームの限界を超えたわけで、よりやり込み要素が増えているのでユーザーとしてはとて有難い。
早く暗黒大陸編連載してくんないかなぁ、みたいな気持ちが叶った状態とも言えるだろう。
「な、何このパケモン……」
「どうしました?」
「どうしよ……可愛すぎる……」
河合さんが乙女な顔をして悶絶しているのはお菓子パケモンのマキャロンである。
追加コンテンツでのみ登場するショコランと
人によって追加コンテンツをプレイしていない限り知らないままだったりもするし、攻略情報やヨウツベ動画を見て初めて知った人もいるだろう。
「どどどどうしよう?!」
「河合さん」
「な、なに?!」
可愛さのあまりテンパっている河合さん。
そんな河合さんに僕は懇親の一撃を喰らわせよう。
「浮気、ですか?」
「ぎくッ!!」
うわぁ〜わかりやすく動揺したなぁ。
リアルでも絶対浮気とか不倫したらすぐバレるタイプなんだろうなぁこの人。
「べ、べつにそんな事ないし?!」
「ショコランたゃんに誓ってそう言えますか?」
「う、うぅぅ……」
深刻そうな顔をして頭を抱える河合さん。
行き過ぎた重い愛ゆえに人は苦しむ事もあるのか。
マキャロンに寝取られそうになって揺らぐ愛。
パケモンってわりと罪深いコンテンツだよな。
「あ、あれだから!! ショコランたゃんはあたしの嫁で、マキャロンちゃんは愛人だから!!」
「……そういうのを浮気とか不倫だとかの、総じて不貞というんですよね」
「可愛いは正義なのっ!!」
「さいですか」
正義って言葉は便利だよなぁ。
男が言ったらダメな事も女の子が言ったらわりと許される感あるし。
正義とはなんとも理不尽である。
「なら河合さんは将来の旦那さんが浮気しても許せるということですね」
「それは許さないね。三日三晩隣で泣いてやるっ!」
「う〜ん、理不尽」
男と女って、わかんないですな。
難解過ぎて僕には理解不能。
可愛いパケモンたちを眺めながら
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