第8話 フルコン空手vs我流格闘術 2

 S館のA君と拳法のYさんが戦ってから、ほぼ半年後、そして極真空手のK君と私の幼な馴染みO君が戦ってからおよそ3ヶ月後のことです。

 


 極真の黒帯との試合以後、自信をつけたO君のたっての希望で、私が仲介役となって、このA君とO君が対戦することになりました。ただ、試合前にルールをどうするかを両サイドでよく話合っていなかったので、後でこれがトラブルの元になりました。このことは、また後で述べさせて頂きます。

 


 

 交流試合の当日に、A君は、友人たちと一緒に西南学院大学の体育館にやって来ました。まず、彼らを一階のウエイトトレーニング室まで案内して、着替えてもらいました。その日は、試合の事を聞きつけて、O君のウエイトトレーニング仲間や大学の友人も見学に来ていました。A君は、空手着を着終わると、私とO君たちに向って、


「何かやって見せましょうか?」


と言いました。つまり、試し割のようなパーフォーマンスをしてあげようと言う意味です。私は、バーベルスクワットをする時に両踵の下に置く厚さ8㎝ほどの木製の棒を壁に立てかけて、


「これを折ってくれませんか?」


と頼みました。すると彼は、


「ウーン、こんなもん・・・」


と言いながら、両手で帯を握ったまま、足刀蹴りでその棒を折りました。私は、内心、


(「足で折るんなら誰だって簡単に折れる。手刀か正拳で折って欲しかったんだよ。」)


と思いましたが、何も言いませんでした。どうやら、A君は、その場の雰囲気が読めない人のようです。まあ、最初にYさんと交流した時から、ずっとこの調子でしたから、こんな人なんだろうと納得はしてましたが、・・・・・・


 それから、その場にいた全員が、体育館の一番上にある少林寺拳法と合気道の道場まで移動しました。いよいよ、私が審判を務める交流試合の始まりです。(つづく)

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