第3話金谷、まさか暴走?

「よぉーし、全員集まれ!」

と、言うのは演劇部顧問の石神先生。中年の男だ。

「何だよ!石神」

武田は石神を見下している。何故ならばバツ2だからだ。

「今日は、最近、演劇部の内部で不満があるみたいで、アンケートで部員同士、良いところと改善のアドバイスをする事にしよう」


石神部員に紙を渡す。

30分後、発表となった。無記名でのアンケートなので、誰が誰の意見か分からない。


「OKOK、じゃあ発表するよ!先ずは亀山」


「はい」


「先ずは、良いところ。おっぱいがデカい!が3票、後は、真面目、2票、優しいが1票」


「先生、その3票は武田君らじゃ……」


「おいおい、人を疑ったらダメだよ!」

「じゃ、悪いところ。おっぱいデカ過ぎ3票、感情に流れやすい2票、考え過ぎ1票」


「絶対にアンタらよね?」

「ち、違うよ!な?金谷」

「うん」


「次、井口、悪いところから」

「台本がマニアック3票、オヤジ顔3票」

「お前ら、オレを批判してるのか?」

井口は皆んなに向かって言った。


「じゃあ、良いところ」

「責任感が強い3票、息が臭い1票、押し入れの匂いがする1票、まゆ毛がもはや海苔1票」

「きっさまらぁ〜」

「な、なんで俺たちに言うんだよ!」

井口は反論した。

「次、半沢」

「はい」

「良いところ。ヤリマン3票、優しい1票、真面目1票、思いやりを感じる1票」


「次は、神田。悪いところ。いてもいなくても良い3票、ムードメーカー2票、優しい1票」

「良かったな?神田」

「先生、3票はアイツらですか?」

「これは無記名投票だから、分からん」


「次は武田」

「オッス」

「悪いところ。うんこを漏らす、5票。寂しがり屋1票」

「お前ら、うんこは3回しか漏らした事、ねぇじゃねぇか!」

武田は呼吸を荒くした。

「良いところ。無し!5票。……あった!ホントは真面目なとこ」

武田は喜んだ!


「続いては、金谷!」

「良いところ。人を裏切る!2票、冷たい2票、短小包茎2票」


金谷はグラウンドを眺めながら、屁をこいた。


「どーでも良いよ!」

「か、金谷。良いところでこんなざまダヨ、大丈夫か?」


プス、プス、プス〜


「金谷、悪いところ。人の心を読まない!3票。自分に優しく他人には厳しい1票」


「顔がブサイク1票」


ピクッ!

金谷が反応した。


「母ちゃん、超ブス!」


「誰だ!そんなん書いたのわっ!お前か?てめえか?」


と、武田と元木を責めた。


「変な、言い掛かりはヤメてくれよ!」

元木と武田はニヤついていた。


「最後、井口!」


「ヘイ!石神!井口を褒めてやってくれっ!」


「じ、じゃあ、良いところ。無しっ!無しっ!無し6票!」


「な、無しってねえよなぁ」


「頑張れ、井口!悪いところで汚名返上だ!」


「悪いところ。演劇部のセリフを覚えられない馬鹿3票、イカ臭い1票」


「い、イカ臭いはねぇよなぁ〜」


「休日、芋ジャーで小学生と遊んでいる。1票」


あと、残りは1票。


「バカ」


「なぁ、石神、そいつそれだけ?」

「あぁ、そうだ」 


井口は窓際の金谷を見た。


母ちゃんを馬鹿にされても、女子テニス部を眺めていた。

石神は部員から体罰を受けたのである。

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