第2話台本
「アイツ遅えなぁ〜」
と、元木が武田の心配をしていた。
親友なのだが、裏切った罪悪感を感じていた。
「あの男、きっと飛ぶわよ」
と、半沢はそう読んでいた。そして、
「皆んな、僕の『バベルの塔』より、詰まらなかったら、僕の台本で良いよね?」
と、井口が言うと、
金谷、亀山、神田は首を縦に振った。
時刻は午後5時。
部室として使ってる、教室の扉が開いた!
キョンシー様のお通りだぁ〜!人間どもは道を開けろ〜!
と、武田は黄色い札をばら撒きながら入ってきた。
「遅かったな!脚本家・武田!」
「ふん、裏切り者」
「お、オレは永世中立国だから、どっちにも付きたく無かったんだよ!キョンシーなら、オレはお前の仲間になる」
と、今度は元木は井口を裏切った。
「武田!まさか、キョンシーなのか?」
「バーカ!井口!今年のオスカー賞はオレがもらった!題して『馬鹿を探して、三千里』」
皆んな、冷たい目線を武田に送る。しかし、武田は、
「配役は決めた!」
「先ず、主役のガキは……金谷」
「オッス」
「次、馬鹿は元木」
「オッス」
「え〜と、宿のババアは半沢」
「ババア?……はいっ」
「ホルスタイン」
「亀山」
「ちょっと、私、人間じゃないの?何故にホルスタイン?」
「爆乳だから」
「……はい」
「馬鹿の手下」
「神田」
「ハイ」
「後は、そうだな、ハエ……井口」
「何だと?ハエ?お前……報復配役だな」
「OKOK、台本配るぞ」
武田は台本を配った。
皆んな「馬鹿を探して、三千里」の台本のページを捲った。
「武田!……これは、一体何語だい?」
と、元木が言うと、
「日本語だよ!」
「字が汚すぎて読めない!何で、パソコンで作らないの?」
と、半沢が言うと、
「これは、大スペクタルロマンの劇だ!PCに頼るのはこの台本に失礼だろうが!」
と、武田は反発した。
「やい、武田。オレ!ずっとセリフ無いと思うんだけど、ミス?」
「井口、お前はハエだ!ハエは喋らない」
「……」
「じゃ、何故、私はホルスタインなのにセリフがあるの?」
「映画に濡れ場は必要だ!馬鹿とセックスしてもらう!」
「いやよ!なんで、元木君とエッチしないと行けないの?」
「水戸黄門のお銀と一緒さ。そういう場面も必要だ!」
周りは、何とか台本を解読し立ち稽古した。
井口は、体育座りをしていた。唯一セリフの無い役だから許された。
30分後、武田の以外の人間は教室を去った。あまりにもアホすぎて、皆んなヤル気を無くしたからだ。
去り際、井口が言った。
「お前は、オレの台本ではワカメ役な?」
武田は1人寂しく帰ろうとすると、
「おい!武田。一緒に帰ろうぜ!」
と、金谷と元木が廊下で待っていた。
武田は、嬉しかった。
翌日の稽古から再び井口の台本を読まなくていけなくなったのである。
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